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侵入者

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「そうなの、なつ」
    自分からけしかけてしまった今更、何も言えない。
「そう?なら良かった」
   なつは、これからよろしくお願いします。と母のように深々と挨拶する。
「安藤さんの事は、僕が責任を持ってお世話します」
同じようにお辞儀をする川神さん。それから、程なくしてなつは帰った。
「安藤さん」
「はい」
「困ったことあったら本当に言って下さい。さっきはつい感情的になりましたが」
「今のところ大丈夫です」
体温計を抜き取り、川神さんに渡す。
食事をした後に食べたプリンはとても美味しかった。確かここのプリンは有名な所のだ。
「では、僕はこれから大学なので。何かあったら言ってください」
川神さんは、体温計を確認してボールペンで記入すると足早に外に出ていく。
「ふう」
   白いシーツに白いお布団。天井も白ければ窓の枠まで白い。床もクリーム色で何か病院という感じだ。
「楓先輩…」
   会いたい。手紙でも書こうかな。駄目だ、重たいかもしれない。何がいいかな。Limeで骨折したから来てなんて言えない。それに先輩はもう受験生だ。前聞いた時は、休みの日はこもりきりで勉強していたと。息抜きも必要だったんだ。その息抜きが、あの人だったんだろうか。
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