トリップ先の私は既に他の人と結婚していた件

選択肢

「みみ、貴方大丈夫なの？」
急にそう言われて驚く。菜都は、私の肩を揺さぶり半泣きになっている。私の予想とは全く違った反応に戸惑わずにはいられなかった。一体今何が起こっていると言うのだろう。菜都は、黒髪のセミロングで旅行が大好き。目は大きな二重ガタレ目になっていて、左目の横にはセクシー黒子がある。彼女は少しぽっちゃりとしているが、綺麗な顔立ちをしている。また年に三回くらいは国内海外合わせて旅行をしている。楽天家な彼女は楽しいことが大好きでいつもにこにこしていた。そんな彼女が何故と疑いたくなるほどに今顔を歪めている。
「大丈夫だよ、どうしたの」
逆に不安になり、菜都の腕を握る。
「私あの時カフェに居たのよ。お姉ちゃんに車で迎えに来てもらおうとしてて。それで、みみが車に轢かれてたから」
そう言われたものの、私はあの事故の瞬間からここに飛んでいる訳で知るはずも無い。痛みすら感じておらず、何なら元気に飛び回れるほどだ。元の世界に戻らない限り私の身体は、頑丈とは言えないものの普通の人と同じくらいには健康体であるだろうと思う。
「菜都あの時あそこに居たの？詳しく教えて欲しい。でも、ごめんね、私今から急ぎの用があって行かないといけないの」
「分かった、みみ。また、連絡するね。携帯番号教えて」
そう言われ、開くと一件の新着メッセージが届いていた。
「17時に迎えに行くね」
言わずもがなはるくんだった。その時ポコンと音がして
「夕飯のおかずを買いに行こう」
と今メッセージが来ていた。その写真のメインのアイコンは意図的になのか何も設定がされていなかった。若しくは元々の画像を変更したのではないかと思った。こちらの世界では私たちは新婚だから普通なら楽しそうな写真を待ち受けにしたりとかしているんだろう。
「みみ!ちょっと!急いでるんでしょ？」
ふと、考え事をついしてしまい菜都をおいてけぼりにしてしまっていた。
「これ、私の電話番号」
菜都は、画面を開き既に表示てくれていた。
「ありがとう、菜都」
「どういたしまして!!みみ、間違えそうだから一旦かけてご覧。歩きながらでいいから」
「分かった」
菜都に言われたとおりに、菜都に背を向け歩きながら電話を掛けると 
「みみ!困ったら絶対私を頼ること!!良いね！」 
そう言われ、後ろを振り返ると菜都は笑顔で両手を広げ手を振ってた。
「ありがとう!」
大きな声で菜都に叫び、私は急いで楓先輩の所へ向かう。彼女は私の一番の親友なのだ。こんなにも悩んでいたことが馬鹿らしく感じるくらいに心が軽くなった。