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27話 斬首にする

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 ゴショカツラギの雑木林を背後にしてドスエ軍は駐屯していた。

 オレ達先遣隊が近づくと、オレンジ色の中国服を着た女の子がキコキコ三輪車に乗って近づいてくる。

 肩に小さな白旗を担いでいる。

 これは降伏を意味するものではなく、攻撃するな、使者だという意味の慣例だ。

 慶ちゃんだった。

 オレの目の前までくると慶ちゃんは怒鳴った。

 「降伏しろよ!」

 「イヤだと言ったら?」

 「人を殺すつもりの奴は自分も殺されることを覚悟しろよ!」

 「今さらなんだ。そんな事を言うならヤマトに攻め込んでくるなよ。
 今のヤマトは王様の方針で専守防衛なんだ」

 「今の王様はフィリップ王だお。なにわ王は先代だお。ヤマトの領地を王に御返しするお」

 「フィリップ殿下は傀儡だ。いずれカイトを排除してフィリップ殿下に正式に王になっていただく」

 「……」

 オレの言葉を聞いて慶ちゃんは眉間に深いシワをよせて目をほそめた。

 「王様に対する忠誠心はあるんだな、なら改めて言う、降参するお」

 「なにわ王を裏切るわけにはいかない」

 「仕方ないお、バカには力で分からせるしかないお」

 慶ちゃんは三輪車をキコキコこいでオレ達に背中を向ける。

 「おのれ逆賊!」

 鎧で完全武装したイコマー第一師団の騎士の一団が慶ちゃんに後ろから切りかかる。

 ブウン!

 慶ちゃんが平手を振るうとその衝撃波だけで騎士たちは粉々に砕け散った。

 第一師団長、サンゴリアンが慌ててそこに駆け寄る。

 慶ちゃんは身構える。

 「申し訳ない、使者殿!」

 サンゴリアンは頭をさげた。

 慶ちゃんは自分の頭に右手の人差し指を当てた。

 「ぴろりろりん!ダイジョブ、記憶は消去したよ。荒野で狩りを楽しむこととしようだお」

 慶ちゃんはそう言って三輪車でキコキコ去っていった。

 俺達は、慶ちゃんの後に続いて、敵との距離を縮める。

 敵との距離が100メートルほどになったところで隊列を停止した。
 
 慶ちゃんの三輪車が敵の軍勢の中に消えていく。

 「もういいお~」

 遠くの方から慶ちゃんの声が聞こえ、

 敵陣からピューッという音とともに鏑矢が放たれた。

 「いくぞー!

 オレたちは突撃し、そのあとに生駒師団が続いた。
 
 敵の戦闘には戦車がおり、その上にちょこんと金色の鎧を着こんだ子供が乗っている。

 顔は見えないが、剣ちゃんであろう。

 おれはその戦車に突進した。

 いくぞーっ!」

 オレは拳を振り上げて、その鎧の子供を殴りとばした。

 バコン!

 大きな音がして鎧が飛び散り、中からバシャッと水た飛び出す。

 なんだ、こいつも水の精霊だったのか。

 と思った瞬間、オレは敵戦車に跳ね飛ばされた。

 「うわっ!」

 地面に落ちて、その戦車を見ると戦車の上にヒュンと水が集まる。

 「ほほほほほ、バカねあんた、私に拳は通用しないって言ったでしょ」

 それは忍ちゃんだった。

 「やられた!」

 周囲の敵兵がオレを取り囲み、一斉に槍で突いてくる。

 ブウン!

 オレは一回転しながら手のひらですべての槍の切っ先を払った。

 その衝撃波で周囲の兵士たちは粉々に砕け散った。

 「たとえ殺せなくても足を止めることはできる!」

 オレは忍ちゃんの戦車を追った。

 「同じ手を二度喰らうと思った?」

 忍ちゃんがオレに向かって手を広げると、ブシューッ!と地面から水が噴き出し、
 それは正方形の形となって、オレを包んだ。

 周囲を見ると、黒足猫やオソロシアなど、こちらの精鋭部隊は全員水の塊に包まれて
 身動きが取れなくなっている。

 まずい、打撃でオレを倒せないと知って、オレたちを窒息死させるつもりだ。


 オレは必死に手足を動かし、その正方形の水の塊から顔を出した。

 「ぷはーっ!」

 大きく息を吸った時である。

 「もらったー!マジ平手!」

 慶ちゃんが頭の上に居た、平手をふりあげている。

 手が間に合わない。殺される!


 その時である。


 「最大結界!」

 叫びながらオレの上に牛魔王女が覆いかぶさった。

 慶ちゃんの前に右手を広げ、その上に巨大な発光色の魔法陣が広がった。

 慶ちゃんが平手を振り下ろす。

 バキン!

 ガラスが割れるような音がして魔法結界は砕け散り、

 牛魔王女の右手、肩から右胸の辺りまで砕け散った。

 「ぐはっ!」

 吐血する牛魔王女。

 牛魔王女はそのままオレの肩口を左手でつかみ、水の中から引きずりだして外に投げ飛ばした。

 「私を殺せ!」

 牛魔王女は慶ちゃんに怒鳴りつけたが、慶ちゃんは冷静にストンと地面に降りた。

 そしてオレを探す。

 オレを見つけた慶ちゃんは右手を広げてぐるぐる回す。

 「いっくどー!ハッケヨーイ、ノコッタ!」
 
 オレの頭の中の血液が沸騰するのが分かった。
 「よくも牛魔王女をおおおおおおおおおー!」

 オレは慶ちゃんに向かって突進した。

 ブウン!

 オレの右拳と慶ちゃんの張り手が激突する。
 
 バチン!

 大きな火花が飛んで、オレの右拳と慶ちゃんの右手のひらが両方跳ね返される。

 「お!?」

 慶ちゃんはびっくりしている。

 ゴキッ

 オレの腕から変な音がした。
 右手の指の骨が折れた感覚がある。
 もう一撃右は使えない。

 間髪いれず、左で慶ちゃんの顔を殴りつけた。

 「ぴゃーっ!」

 慶ちゃんはボン!ボン‼ボン!!!ボン!!!!
 と四回リバウンドしてバウンと山の裾野にぶつかった。

 ズドドド!
 
 山が地割れして慶ちゃんは崖崩れの中に飲まれていった。

 
 ボーン!

 大量の土砂が破裂してそこから慶ちゃんが飛び出して来る。

 「びっくりしたなあ、もう」

 慶ちゃんはオレを見つける。

 「いっくどーおおおおおおおお!」

 ズドドドドドドドドド!

 慶ちゃんが突進してくる。

 もう一発もつか、もってくれオレの拳!

 「ドスコイ!ドスコイ!」

 慶ちゃんは両手で貼り手をしてくる。

 オレは左手しか使えない。

 ブウン!

 右ストレートで張り手をしてきた慶ちゃんに対してオレが外側から左フックカウンターを入れた。
 リーチが長いオレの腕が慶ちゃんの突進の加速もあって、もろに慶ちゃんの顔に直撃した。
 クロスカウンダーだ。

 ゴキッツ!

 イヤな音がした左の拳もやられた。

 ボン!

 地面にたたきつけられた慶ちゃんが大きく天空にリバウンドする。

 そしてビターンと地面に落ちる。
 「ぴょ~」

 地面にひっくり返ったまま慶ちゃんが唸る。

 「はあはあはあ」
 オレは完全に息があがっている。

 まだある!オレには頭突きがある。

 その前にトコトコと剣ちゃんが歩いてきた。

 やばい、ヤラレル、切られる!


 「はい、慶ちゃんのマケー」

 剣ちゃんは慶ちゃんに向かって言った。
 
 「ぴゃ?」

 慶ちゃんはピコッと起き上がる。

 そこに忍ちゃんもやってくる。

 「あら、慶ちゃん、あんなヘナチョコにやられたの?カッコ悪いわねえ。神薬あげるから
 復活しなさい」

 そう言って忍ちゃんは慶ちゃんに濃い水色の神薬とエンボスの入った小瓶を渡す。
 そうだ、あれはオレがヤマトの山の中で見つけてイコマーで売った瓶だ。
 そこに忍ちゃんが自分で作った回復薬を入れたのか。忍ちゃんの実力からいって、
 おそらく、最上級の回復薬にちがいない。

 マジかよ!復活とかありかよ!もうオレ終わりじゃん!

 慶ちゃんはその瓶を掴むと、トコトコとオレの処に走ってくる。

 ヤバい、やられる、終わる!

 「はい、これ」

 は?

 慶ちゃんはオレに神薬を手渡した。

 「忍ちゃんが作った最超の回復薬だお、あげるお」

 「え……?」
 
 「お前、慶タンに勝ったからね。最強ケッテーイ!パチパチパチ」
 慶ちゃんが拍手をした。

  「最強おめでちょー!」
  剣ちゃんも拍手をした。

 「ふん、悔しいけど最強と認めてやるわよ」
 忍ちゃんも拍手をした。

 オレは骨が折れてうまく掴めず震える手でその神薬を受け取った。



 そこにナニワ民国の兵士が駆け寄る。

 「お知らせします!」

 「なんだお」

 兵士が耳打ちする。

 慶ちゃんは目を丸くする。

 「ぴゃーっ!フィリップタソを金持ちジャック首相が斬首にすると言っただとー!」

 慶ちゃんは大声で怒鳴る。

 「慶様、お声が高い」

 「あ、慶タンだお」

 「あ、はい、慶タン様、すぐにフィリップ王をお救いください」

 「分かったお!忍ちゃん、剣ちゃん、フィリップタソを助けるお!全軍撤退だお!」

 「慶タン様、早く!」

 騎馬の兵士が手を伸ばす。

 「とどかないお~」

 慶ちゃんがピョンピョン飛ぶ」

 それを下に居た兵士が持ち上げて、馬の後ろに乗せる。

 慶ちゃんは兵士の後ろにしがみ付く。

 「み~ん、みん、みん、みん、み~ん」

 セミの鳴きまねをする慶ちゃん。

 騎馬の兵士はそのまま素早く走り去った。

 忍ちゃんはヒュンと水に変わって地面に吸い込まれた。


 それと同時に、四角形の水の塊に包まれて身動きが取れずに暴れていた
 オソロシアたちの周囲の水もバシャー!と崩れてオソロシアたちは地面に投げ出された。


 「くそ!あの水女どこ行った!ぶんなぐってやる!」

 オソロシアは周囲をキョロキョロ見回したが、すでに忍ちゃんの姿は無かった。


 剣ちゃんも兵士の馬の後ろに乗せられて撤退してゆく。


 

 オレは急いで牛魔王女の所に走り寄る。

 「はあ、はあ、はあ、はあ」

 牛魔王女は荒い息をしている。
 人間なら即死だったはずだ。

 これはもう、神薬を信じるしかない。

 俺は震える手で必死に神薬の蓋をあけて
 牛魔王女のえぐれた胸の上に垂らす。

 すると驚くべきことに、牛魔王女の胸は一瞬にして再生した。

 「これはいけるぞ!」

 おれは肩口にも神薬を垂らすと肩も再生した。

 だが、そこで神薬は無くなって、腕までは再生しなかった。

 傷口には、いっぱい鋭利で透明な水晶の欠片のようなものが刺さっていたが
 神薬をたらすと、それはどんどん傷口の表層に集まってゆき、さいごには
 腕の傷口が見えないくらい集まった。

 それは手で触ると危険かもしれないので、
 ペンチを調達してきて一つずつ引き抜いた。

 ウッ!
 ペンチで引き抜くたびに、骨折した手の指に激痛が走った。
 でも、そんな事は言っていられない。

 引き抜くたびに牛魔王女は「クウッ!」
 と呻いて非常に痛そうだったが、変にヒールの魔法をかけると
 また何かあるかもしれないので、
 とにかくペンチで引き抜いた。
   
 ペンチで挟むと、ペンチがジュっと音を立てて溶けるので、
 1本抜くのに1本ペンチが必要になった。


 あとで引き抜いた欠片に実験でヒール薬をかけるとボウッ!と音を立てて煙が出て、

 周囲に虹色の薄い雲母のようなものが散らばった。


 あとで、王立魔法院にこれを持ち込んで調べてもらったところ、
 魔法治癒薬に触れると、魔法防衛力を持っている者の体内の魔法配列を
 一旦バラバラに破壊して、そのあと、無茶苦茶に継ぎなおすトラップ魔法だとわかった。

 危なかった。

 神薬を使わずに、ヒール薬を使っていたら、牛魔王女は確実に死んでいた。

 神薬をかけてやった時、牛魔王女は涙を流しながら話を聞いてくれと言ってきた。

 回復したら聞いてやると言ったが、自分はもうここで死ぬから聞いてくれと必死に懇願された。

 それは、彼女の父の話だった。

 牛魔王女は大陸の魔物帝国を支配する魔王の娘だったらしい。

 大金持ちで、何不自由なく幼い頃から生活してきたそうだ。

 それが、あるとき、乱入してきた猿に父が殺されてしまった。

 世間から恐れられ、畏怖さえていた父の権威は一気に地に落ちて、
 牛魔王女も妖怪世界の笑いものになり、住んでいた家も売り払って、
 田舎で引きこもりをしていたそうだ。

 牛魔王女の属性は怠惰であったそうだ。
 そのため、周囲の妖怪たちは、娘が怠惰だったから、魔王は猿ごときに負けたのだと
 ウワサしたそうだ。

 そうした世間の目が怖くて、牛魔王女は中々魔術を学ぶ学校に行けなかったらしい。

 そうして、長い時間を無駄にしたあげく、せっかく来た魔王に変化するチャンスに
 術の勉強不足で牛に変化してしまったそうだ。
 本来、魔王になるためにはベルフェゴールに変化するか、最低でもその下位互換のフェニックスに
 変化しなければならなかった。その下の魔物は熊。牛魔王女は熊の魔物にすら変化できず、
 牛の魔王に変化してしまった。

 それでも、魔王の力は強く、巷の妖怪たちを集めて、魔界の片隅で威張り散らしていたそうだ。
 本当の魔界を支配する魔王城には乗り込まずに。

 ただ、片田舎で格下を相手に威張り散らしていた。

 そして、この現世にくれば圧倒的力で大活躍できると思っていたそうだ。

 「本当に苦しかった。いつも怖くて、怖くて仕方がなかった。怠けもので気楽なんかじゃない。
 本当に、新しい事に挑戦するのが怖かったんだ。だから、どうか、茶虎には優しくしてやってほしい。
 決して怠け者などと言わないでほしい」

 死ぬかもしれない状況で、牛魔王女はポロポロ涙を流して茶虎の事を心配していた。
 
 しばらくして、ナニワ民国から印刷物が発布された。

 そこにはフィリップ王と近衛軍 鷹取師団の連名が書いてあった。

 その内容によると、首相である金持ちジャックが、慶ちゃんが勝手に敵対勢力から
 キャンディーを貰った事を知り、その責任追及をフィリップ王に行ったそうだ。

 なにわ民国においては首相が金持ちジャック、大統領がカイトだった。

 金持ちジャックはカイトが決起するとき莫大な資金を投資しており、
 カイトの資金的支えとなっていたのだ。

 ジャックは王に対して、「オレはお前と鷹取師団の連中を全員打ち首にする力がある。
 それがイヤなら王の座を退位するか自殺するか、二つに一つを選べ。自殺したら、
 永久王位を維持し記念碑を立ててやる」

 と言ったそうだ。

 これに対して、戦場から急遽鷹取師団が帰ってきたことで、事態は一変した。

 慶ちゃんは激怒して、ヒョウゴーに帰ると言い出したが、カイトが必死にそれを止め、

 フィリップ王と鷹取師団の三人に謝罪したが、

 鷹取師団のみんなはナニワ民国軍への所属をやめたがっており、
 すぐにでも帰りたいようだが、一緒にフィリップ王を連れてかいりたいようで、
 それはカイトと金持ちジャックが拒否しているため、交渉が長引いているようであった。

 オレはどうしても状況が把握したいため、アメリカンカールと護衛としてボンベイを連れて

 ナニワ民国に潜入することにした。

 ボンベイは気配を消せるサイレンスの魔法が使える。
 アメリカンカールは複数、限定範囲で気配を消せるサイレンサーの魔法を使うことができる。

 このため、この二人を連れてナニワ民国に潜入した。


 ナニワ民国は混乱していた。

 おりしも、ナニワ大劇場で民衆を集め、金持ちジャックが釈明会見を行うところだった。

 一人1万pを払うと入れる。

 高かったが、三人分払って入った。

 
 金持ちジャックはフィリップ王と鷹取師団を全員斬首にして殺すと言ったことは、
  その場を和ますための冗談だと言って釈明していた。

 会場から失笑が漏れる。

 「首相をやめろー!」「帰れー!」

 民衆の怒号が飛んだが、金持ちジャックはあくまでも1年間、給料の50%オフで
 責任を取ったことにしたいらしかった。

 50%オフといっても、最初からどれだけ貰っているかわからないので、
 実態のないものだった。


 ナニワ民国が混乱状態にある以上、これ以上、ナニワ民国の戦争継続は無理であると思われる。


 オレはヤマトに帰ると、ミルセラにヤマトとナニワ民国の休戦協定を王に提案するよう進言した。

 この進言にミルセラは喜び、オレを同行して王府に向かった。



 王は元々、この戦争にへきえきしており、喜んでその提案を受け入れた。

 ナニワ民国としても、いつ、鷹取師団がヒョウゴーに帰るかもしれない状況で、
 戦争継続は無理と考えたのであろう。


 ヤマトの停戦協定の提案に合意した。


 この結果、ドスエもすぐにナニワ民国とヤマトとの停戦協定に動いた。

 そして、この地上に平和が訪れたのだった。
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