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三章
二十八話 千仏道大開戦(後編)
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行橋市内から北の小倉を目指していたドカンちゃんだが、グーグルマップで調べてみると。
千仏堂はむしろ、行橋市から西北の方向だった。
千仏堂は平尾台という草原の中にあった。
千仏堂にやってくると、ゴツゴツとした岩場に茶色い草がおいしげっていた。
そのただ中に木の柱に縛られたラガがいた。
「面目次第もない……」
ガラはシュンとしている。
その横には巨大な鬼がいた。
「お前は誰だ」
ドカンちゃんは鬼を睨み付けた。
「我は鬼八様だ!
お前らにはまず、絶望を与えよう。
この猫を血祭りにあげてやる」
鬼八は鋭い爪の手を振り上げる。
「やめろー!」
ザクッ!
鈍い音がした。
ドドン!
ラガを縛り付けていた木の柱が倒れる。
トラコが鋭い爪で柱を切り倒したからだ。
「コクヒョウ、この柱を持って逃げろ」
「ほいきた! 」
五メートルもの巨漢のコクヒョウが柱ごとガラを持ち上げて去って行く。
「よし、これぜ思う存分戦えるぞ、ガルルルルル」
トラコは鬼八に向かって唸った。
「トラコさん助けに来てくれたんですね!」
ドカンちゃんの目がうるむ。
「挨拶はあとだ」
トラコは鬼八をにらんだまま言った。
「ふん、このオレ様がたった一人で、お前らを相手にすると思うか。出でよ! 」
すると、土の中から鎧で武装した古代の戦士たちが這い出してきた。
何十、何百、何千もの軍勢が襲いかかってくる。
トラコはその軍勢を鋭い牙でなぎ倒すが、やっても、やってもあとから兵が沸いてくる。
「お前ら!こいつらを猫にしろ! 」
トラコが叫ぶと、着物を着て桶と杓子をもったネコ耳の女中たちが表れ、
兵士にお湯をかけた。
お湯をかけられた兵士は次々と兵士になってゆく。
「だめだ、数が多すぎる! このままじゃ押しきられる」
悲痛な声でトラコが叫んだ。
その時である。
「待たせたわね!」
そこに現れたのはピクシーだった。
その後ろからマヌルが現れる。
「このロリコンどもめ~!」
マヌルは叫んで、黒い竜巻の真ん中に目がある姿になって兵士たちを吹き飛ばす。
ボンが現れる。
ボンが敵に向かって手をかざすとそこから西洋の本が出てくる。
「グリモアールを持って命ずる。ガーゴイルよ、敵を蹂躙せよ!」
ボンが叫ぶと土の中からワラワラとガーゴイルが表せ、敵兵士に襲いかかる。
天からチー子が舞い降りてきて、オガタマの枝を振って舞い踊る。
すると、敵兵たちはチャームの呪文にかかり、戦意喪失して立ちすくむ。
それでも、倒した兵、戦意喪失した兵のあとから、あとから、兵が地中から
わき出してくる。
「おい、ドカンちゃん!」
トラコがドカンちゃんに声をかける。
「これは、あの鬼八本体を倒さないかぎり、鬼八の分身がいくらでも増えるぞ!
あいつを倒せるのはお前たちしかいない。頼んだぞ!」
「はい、わかりました」
ドカンちゃんはチカンちゃんを見る。
「うん!」
チカンちゃんは頷く。
「いくぞー!」
ドカンちゃんとチカンちゃんは鬼八に突進する。
「生意気なあ!」
鬼八は鋭い爪をドカンちゃんに振り下ろす。
「ドカンちゃんはすごいんだぞ!」
ガツン!
虹色の盾が鬼八の爪を跳ね返す。
「なんだこれは!」
鬼八は驚く。
「ドカンちゃんは成長したんだ! いっぱい学んで、いっぱい成長したんだー!」
チカンちゃんが叫ぶと虹の盾はものすごく大きくなった。
「な、なんだこれは、なんだー!」
鬼八が驚愕して叫ぶ。
ドカンちゃんもそのあまりの大きさに驚いて、呆然とその虹の盾を見上げる。
「これがボクの力なの?こんなにボクは成長したの?」
「そうだよ!ドカンちゃんは成長したんだ!
こんなにも成長したんだよ! いまだ!いくよ!」
「うん、わかった!」
ドカンちゃんとチカンちゃんは拳をふりあげる。
「一人一人は弱くても、みんなで力をあわせれば、巨大な力になるんだ。
いま、必殺の友情パーンチ!」
ドカンちゃんとチカンちゃんは力を合わせて鬼八に友情パンチを食らわせた。
「馬鹿な!馬鹿なーああああああーっ!」
叫びながら鬼八は砕け散った。
千仏堂はむしろ、行橋市から西北の方向だった。
千仏堂は平尾台という草原の中にあった。
千仏堂にやってくると、ゴツゴツとした岩場に茶色い草がおいしげっていた。
そのただ中に木の柱に縛られたラガがいた。
「面目次第もない……」
ガラはシュンとしている。
その横には巨大な鬼がいた。
「お前は誰だ」
ドカンちゃんは鬼を睨み付けた。
「我は鬼八様だ!
お前らにはまず、絶望を与えよう。
この猫を血祭りにあげてやる」
鬼八は鋭い爪の手を振り上げる。
「やめろー!」
ザクッ!
鈍い音がした。
ドドン!
ラガを縛り付けていた木の柱が倒れる。
トラコが鋭い爪で柱を切り倒したからだ。
「コクヒョウ、この柱を持って逃げろ」
「ほいきた! 」
五メートルもの巨漢のコクヒョウが柱ごとガラを持ち上げて去って行く。
「よし、これぜ思う存分戦えるぞ、ガルルルルル」
トラコは鬼八に向かって唸った。
「トラコさん助けに来てくれたんですね!」
ドカンちゃんの目がうるむ。
「挨拶はあとだ」
トラコは鬼八をにらんだまま言った。
「ふん、このオレ様がたった一人で、お前らを相手にすると思うか。出でよ! 」
すると、土の中から鎧で武装した古代の戦士たちが這い出してきた。
何十、何百、何千もの軍勢が襲いかかってくる。
トラコはその軍勢を鋭い牙でなぎ倒すが、やっても、やってもあとから兵が沸いてくる。
「お前ら!こいつらを猫にしろ! 」
トラコが叫ぶと、着物を着て桶と杓子をもったネコ耳の女中たちが表れ、
兵士にお湯をかけた。
お湯をかけられた兵士は次々と兵士になってゆく。
「だめだ、数が多すぎる! このままじゃ押しきられる」
悲痛な声でトラコが叫んだ。
その時である。
「待たせたわね!」
そこに現れたのはピクシーだった。
その後ろからマヌルが現れる。
「このロリコンどもめ~!」
マヌルは叫んで、黒い竜巻の真ん中に目がある姿になって兵士たちを吹き飛ばす。
ボンが現れる。
ボンが敵に向かって手をかざすとそこから西洋の本が出てくる。
「グリモアールを持って命ずる。ガーゴイルよ、敵を蹂躙せよ!」
ボンが叫ぶと土の中からワラワラとガーゴイルが表せ、敵兵士に襲いかかる。
天からチー子が舞い降りてきて、オガタマの枝を振って舞い踊る。
すると、敵兵たちはチャームの呪文にかかり、戦意喪失して立ちすくむ。
それでも、倒した兵、戦意喪失した兵のあとから、あとから、兵が地中から
わき出してくる。
「おい、ドカンちゃん!」
トラコがドカンちゃんに声をかける。
「これは、あの鬼八本体を倒さないかぎり、鬼八の分身がいくらでも増えるぞ!
あいつを倒せるのはお前たちしかいない。頼んだぞ!」
「はい、わかりました」
ドカンちゃんはチカンちゃんを見る。
「うん!」
チカンちゃんは頷く。
「いくぞー!」
ドカンちゃんとチカンちゃんは鬼八に突進する。
「生意気なあ!」
鬼八は鋭い爪をドカンちゃんに振り下ろす。
「ドカンちゃんはすごいんだぞ!」
ガツン!
虹色の盾が鬼八の爪を跳ね返す。
「なんだこれは!」
鬼八は驚く。
「ドカンちゃんは成長したんだ! いっぱい学んで、いっぱい成長したんだー!」
チカンちゃんが叫ぶと虹の盾はものすごく大きくなった。
「な、なんだこれは、なんだー!」
鬼八が驚愕して叫ぶ。
ドカンちゃんもそのあまりの大きさに驚いて、呆然とその虹の盾を見上げる。
「これがボクの力なの?こんなにボクは成長したの?」
「そうだよ!ドカンちゃんは成長したんだ!
こんなにも成長したんだよ! いまだ!いくよ!」
「うん、わかった!」
ドカンちゃんとチカンちゃんは拳をふりあげる。
「一人一人は弱くても、みんなで力をあわせれば、巨大な力になるんだ。
いま、必殺の友情パーンチ!」
ドカンちゃんとチカンちゃんは力を合わせて鬼八に友情パンチを食らわせた。
「馬鹿な!馬鹿なーああああああーっ!」
叫びながら鬼八は砕け散った。
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