ケイちゃんがゆく!

楠乃小玉

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十八話 ちょっとした冒険旅行

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 今日はお父さんと一緒に銀行に行った。

 お父さんが銀行の貯金通帳を無くしてしまったのだ。

 だから、新しい通帳をつくりに行った。

 銀行に行くと、すごく長い時間待たされた。

 長い時間待たされたのでおしっこに行きたくなった。

 銀行の行員の人に言うと、銀行はお客さんが自由に
 入れるおトイレは無いようだ。

 銀行員が使うトイレに案内された。

 そこに慶ちゃん、忍ちゃん、剣ちゃんがついてくる。
 
 「だめだよ、付いて来ちゃ」

 ボクが小声で言うと、慶ちゃんたちがヒュンと消えた。

 たぶん、透明になって付いてきているに違いない。

 男子トイレに案内され、行員さんたちはトイレの前で待った。

 たぶん、慶ちゃんたちが付いてきているだろうから、
 恥ずかしいと思ったボクは個室トイレに入った。

 「ぎゃはははは! 」

 外で慶ちゃんや剣ちゃんの笑い声が聞こえる。

 ボクは個室トイレから出てきたら、そこに慶ちゃんや剣ちゃんや忍ちゃんが居た。

 「ねえねえ、これ見て」

 そう言って慶ちゃんが指をさす。

 そこには、男子の便座に川柳のようなものが書いてあった。
 
 「筒を前に出せ、ださねば取り散る松茸のつゆ」

 お客さんに見せないで行員だけで使うから命令口調。

 なんだこれと思ってボクは笑いをこらえるので必死だった。

 ボクがトイレから出ると、慶ちゃんたちはヒュンと姿を消した。

 そして、銀行のトイレから出たのだった。

 ちょっとした冒険旅行だった。
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