三國志 on 世説新語

ヘツポツ斎

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蜀編

諸葛亮2 応変の将略

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郗司空拜北府,王黃門詣郗門拜,云:「應變將略,非其所長。」驟詠之不已。郗倉謂嘉賓曰:「公今日拜,子猷言語殊不遜,深不可容!」嘉賓曰:「此是陳壽作諸葛評。人以汝家比武侯,復何所言?」(排調44)


東晋の時代。

郗愔ちいんというひとが、
対五胡国家の防衛拠点、
「北府」の総司令官に任命された。

それを聞いて
郗愔の家にやってきた王徽之おうきし
門の前でしきりに喚く。

「臨機応変の軍略が苦手!
 臨機応変の軍略が苦手
 おい郗愔、そんなお前が
 本当にそんな大任
 果たせると思ってんのか!
 プースクスクスwwwwwww」

うざい。

それを郗愔の息子、郗超ちちょう郗融ちゆうが聞く。
弟の郗融がブチギレた。

「任についたばかりの父上に対し、
 無礼にもほどがありませんか!
 到底許せません!」

だが兄の郗超は涼しい顔。

「お前なぁ、三国志忘れたのか?
 あれ、諸葛亮しょかつりょうのこと評価した
 陳寿ちんじゅの言葉だぞ。
 わざわざお前の家のこと、
 諸葛亮レベルの勲門だ、
 って宣伝してくれてんだから、
 敢えて何か言う必要あるか?」


 ○


應變將略非其所長
この八文字が無駄に独り歩きして中途半端な正史厨から「孔明に軍才無いからwww」みたいな感じでいじられるのだが、これをもうちょいきっちり拾うと「可謂識治之良才,管、蕭之亞匹矣。然連年動眾,未能成功,蓋應變將略,非其所長歟!」。この人の政治の才能は往年の名宰相である管仲や蕭何に匹敵するものと言える。ただ、連年の北伐に多くの将兵を動かしたのにもかかわらず功を挙げきれなかったのは、臨機応変の兵略が得意ではなかった、となる。陳寿、そこは断言してない。

郗愔
 東晋の名将郗鑒ちかんの息子。祖父と息子が輝き過ぎてて、割と存在感薄め。王徽之にからかわれるのもやむない。

王徽之
 書聖王羲之おうぎしの五男。本人も名筆家ではあるのだが、それ以上に晋書でも世説新語でもウザ絡み担当として無双している。

郗超
 桓温かんおんの参謀としての働きを見せた。京口に赴任するもいちいち腰の重い父の郗愔に業を煮やし、その名を偽って実質的な前線引退しますよ宣言をさせた。これによって桓温は北西両府の軍権を掌握するに到る。まさしく「桓温にとっての諸葛亮」だ。

郗融
「郗愔の息子だよ。まぁ郗超の名声に隠れたけどね」で史書の記述が終わってる悲しい人。ここでも兄貴の噛ませだし。
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