60年生きてきて、何があったかというと何もない。

コレクター

　女の人は、ブランド品を好きな人が多い。
　PRADA のバッグが流行れば買い求め、VUITTON の財布を皆が持つ。言葉は悪くなるが、バッグはナイロンのエコバッグと大差ないし、財布は皮革ではなく、分厚いビニール製だ。何万という金を出すのなら、革製の物を購入したほうが長持ちすると思うのだが、気持ちは解らないでもない。
　男は、物を収集してしまう。女性からすれば、ゴミにしか見えない物すら集めてしまう。
　切手・古銭・マッチ箱・ピンバッジ・テレホンカード・鉄道グッズ・アイドルグッズ・トミカのミニカー・プラモデル・フィギア・トレーディングカード・スニーカー・腕時計・・・推挙すればキリがない。
　空き瓶・空き缶・ペットボトルの蓋・食品のパッケージ・・・この辺りになると女性は理解不能だと思うが、男は理解できる。
　僕も少しだけ、その癖（へき）がある。車が好きなので、何台か（といっても40~50台はある。コレクターとは呼べないが・・・）のミニカーが部屋の一角を占拠している。家内にとっては、邪魔にしか思えないコーナーだ。
　でも理解してほしい。そのガラクタには少しばかりの思い入れと思い出がある。猫に咥えられ、前足で弾いて遊ばれ、アンテナが折れたミニカーを、泣きそうになりながら回収しているおっさんのサマを、ニタニタとした笑みを浮かべながら、あまり見ないでください。