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電子レンジ

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1966 ターンテーブル式電子レンジ 1号機 シャープ

 東京の小学校から岡山の小学校に転校して少し経ったころだったから、僕は小学5・6年生だったと思う。

「自転車を買ったら、電子レンジをもらった」
と訳の分からないことを言い、親父が帰ってきた。

 正解は、(妹にリクエストされたピンク色の)
「自転車を買いに行ったら、
『電子レンジを購入いただけたかたには、子供用の自転車をプレゼント(自転車のカラーは5色から選択可)』
という電器店の店頭ののぼりが目に入り、電子レンジを購入し、自転車をプレゼントされた」
である。

 妹はピンクの自転車を見て、おおはしゃぎだ。

「色は俺が選んだ」

 妹が最初からピンクをリクエストしていたことは家族全員が知っている。

 お母さんとおばあちゃんは電子レンジを見てポカンとしたままである。当時の電子レンジが超高額品であることは、小学生の僕でも理解している。

父:本末転倒 意味不明 理解不能 朝令暮改  母・祖母:五里霧中 艱難辛苦(かんなんしんく)
 四字熟語をプレゼントしてあげる。

 後々、お母さんとおばあちゃんに聞かされたのだが3年ローン(36回分割払い)だったらしい。

 小学校の修学旅行は、バッグが無かったので、百貨店の手提げ紙袋に着替えを入れていった。
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