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25 俺の姫プレイとコラボカフェ 2

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 <土曜日 10:15>

 ついにこの日が来た!
 コラボカフェ開催初日!

 逸る気持ちが抑えきれない俺は、いつもより早く目を覚ました。
 休日のルーティンであるランニングを済ませ、シャワーを浴びる。

 俺はグレーのパーカー、黒のパンツへと着替えた。
 肌寒いかもしれないので、パーカーの上から黒のコーチジャケットを羽織って、家を出る。

 電車に揺られて二十分。池袋駅に到着する。
 待ち合わせ場所は池袋駅にあるフクロウ像。少し離れた所で待つ。

 スマホで時間を確認すると、約束の時間まであと二十分もある。
 少し早く着きすぎたかもしれない。


「今着いた……っと」

 俺達は互いの連絡手段を何も持っていなかった為、これを機に……と、前もってSNSを交換をしておいた。
 四人同時にチャットが出来るグループ部屋に、到着した旨を書き込む。

 続けて、皆が気付きやすいように自分の服装のことも簡単に書き込んだ。
 すぐに既読が付き、レンから「俺も着いてる」と返事がきた。

(えっ? どこいるんだ?)

 キョロキョロと辺りを見回す。

 それらしき人物が見当たらない気がするんだが……。

 すると、後ろから肩をトントンと叩かれた。 
 俺が振り返ると、そこには高身長のイケメンがいた。

「チヒロ……か?」

 モデルと言われても違和感のない顔立ち。
 オフホワイトのタートル、黒のベロアジャケットに黒いパンツ。
 手首につけてる時計と指輪は、顔面偏差値と同じくらい高そうだ。

「まさか……レン……?」
「……ああ」

 マジかよ。こんなの聞いてねぇ……。

 フクロウ像の前で、待ち合わせしているであろう女子達も、チラチラとレンに視線を送っている。

 そこへ周りをキョロキョロしながら、スマホを触っている青年が視界に入った。
 俺とレン、二人の手元にあるスマホが『ピロン』と音を立てる。

『僕も今着いたよ』

 トモヤだ。
 青年がこっちを見たので、手を振る。

「チヒロ……?」
「おう! トモヤ!」

 白シャツにオーバーサイズ気味のチャコールチェックのジャケット、黒スキニーパンツ姿のトモヤが、こっちへ来る。
 おお。タナカさん状態のトモヤも眼鏡してたけど、現実世界のトモヤも眼鏡してるのか。
 あ。口元にホクロがある。

「しかし……トモヤもイケメンか……」

 トモヤの身長は俺と同じくらいだが、顔が俺より遥かに整ってる。
 俺とレンが二人で並んでいた時よりも、更に女の子達の視線が増えた気がするぞ。

 おい。フツメンはいないのか、フツメンは。


『こんにちは。今着きました』

 マサトのお兄さんも到着したようだ。
 手元のスマホが『ピロン』と鳴った。

 深緑のカーディガンを羽織った眼鏡の男性が、キョロキョロとしている。

(……ん?)

「ねぇ……チヒロ。あの人がきっとマサトのお兄さんだよね?」
「見間違えようがねぇな……」

 マサトのアバター顔にそっっっっくり!!!

 ***


 全員集合したので場所を移動する。
 目的地へ向かってる途中で、トモヤが俺に話しかけてきた。

「チヒロ、今日のコラボカフェの場所は池袋で本当に良かったの……?」
「んー?」
「秋葉原でも同じイベントやってるから、そっちじゃなくて良かったのかなって……」
「?? イベントの中身は同じなんだろ?」

 はて? と首を傾げる。
 違いなんて確か無かったはずだが。

「池袋のほうが近かったからさ~! 俺、こっちにしたんだ」
「……そうだよね。チヒロって……そういうヤツだったよね」
「ふふふ……チヒロ君らしいですねぇ。弟に聞いていた通りです」
「??」

 俺らしい………って何?
 今の会話に何かそんな要素あったか?

「…………」

 レンはただ視線をこちらに送っているだけだが、何となく「はぁ……」って言いたそうなのが伝わってくるぞ。

 何が言いたかったのか分からないまま、コラボカフェの店へ向かう。
 そして店に到着して、俺は皆が言っていた事に気付くのだった。


「……なんか……めちゃくちゃ女子が多くない……か……?」

 
──チヒロは重度のゲーマーではあるが、オタクでは無い。

 オタク女子の聖地のことなど、俺が知っているはずも無かった。
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