上 下
398 / 427
◆番外編◆ 新年に訪れた神宮寺家で☓☓☓

#17 ~side要~

しおりを挟む
言い訳に聞こえるかもしれないが、仕方なかったんだ。

まだ結婚して一月にも満たない新婚ほやほやなんだし。

可愛くて愛おしくてしょうがない美菜を一秒でも長く独り占めしたいって思うのは当然の感情だろう?

けれども、そういう感情のままに、美菜のことを本当に腕の中だけに閉じ込めておくわけにもいかず……。

実際には、長らく仕事にも追われてしまっていたため、美菜との新婚生活をゆっくり謳歌することもままならなくて。

まだまだ先だとは言え、あと数か月もしたら、お腹の子も生まれてくるし。

今のうち、せめて年末年始くらいは、美菜とふたりきっりでゆっくり過ごしたかったのに……。

家族(特に母親)からはしつこいくらいに、

『美菜さんは要より十歳も若いんだし、たまには家事から解放してあげないと、捨てられちゃうわよ。それが嫌なら年末年始はこっちでゆっくりすごしなさい』

と、美菜の名前を出されてしまっては、無視を決め込むことなんてできなかった。

それなのに、いざ連れて帰ってくれば、息子しかいなかった所為か、母親も、祖父母までもが、素直で可愛い美菜にべったりで、それはありがたいことだが、こんなに近くに居るのに、美菜と話す隙すらないとはどういうことだ!

そこへきての、思いがけない隼の接触と挑発に、まんまと嫉妬して、その延長で、美菜に速く求めてほしいがために散々イジメてしまい。

そんな俺の内情なんて知る由もない美菜に、意地の悪い口調で誘導したというのに。

「美菜、もう指だけじゃ物足りないんじゃないのか?」
「……ど、どうして……分かるん……ですか?」

相変わらず少々鈍いところのある美菜が驚いたような声を放つものだから、罪悪感に苛まれてしまった俺は本音を暴露するほかなかったのだ。

思い返せば、美菜と出逢ってからというもの俺は美菜の純粋さに調子を狂わされてばかりいる。

そのたびに、ヘタレな情けないところや、格好悪いところばかり晒してしまっている。

なのに、そんな俺の短所も全部容認してくれる美菜のお陰で俺はいつも調子に乗ってしまうのだ。

こうして今も、美菜は俺の意地悪な言葉攻めにも、

「もう、指だけじゃ物足りません。速く要さんで満たしてください。今すぐ要さんが欲しい」

ついさっき俺のバラしてしまった願望を踏まえた言葉を返してくれるものだから、俺はますます調子づいてしまっている。

それに加えて、可笑しなスイッチ全開になってしまっている俺は、美菜の望みを叶えるためと称して自分の望むを叶えるために、可愛い美菜の身体を正面に向かせて自分の膝上に乗せて背後から抱きかかえた。

そうして、美菜が身にまとっているワンピースの裾を腰元まで捲りあげつつ、美菜の白い滑らかな内腿の肌をねっとりと撫であげてやれば、その先の快楽を期待でもするかのように、美菜の身体が小刻みに震えあがった。

そうっと下へと這わせた手で下着の上から触れただけで、もう既にぐっしょりと濡れてるさまが下着から透けてありありと見て取れる。

「……ぁっ……んぅ……」

そのなんとも卑猥な光景と、羞恥に襲われた美菜が思わず漏らしたであろう甘やかな吐息とが俺の劣情を煽って、早くも反応を示し始めた俺の分身が猛々しく漲っていく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

ワケあり上司とヒミツの共有

咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。 でも、社内で有名な津田部長。 ハンサム&クールな出で立ちが、 女子社員のハートを鷲掴みにしている。 接点なんて、何もない。 社内の廊下で、2、3度すれ違った位。 だから、 私が津田部長のヒミツを知ったのは、 偶然。 社内の誰も気が付いていないヒミツを 私は知ってしまった。 「どどど、どうしよう……!!」 私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

恋とキスは背伸びして

葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員 成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長 年齢差 9歳 身長差 22㎝ 役職 雲泥の差 この違い、恋愛には大きな壁? そして同期の卓の存在 異性の親友は成立する? 数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの 二人の恋の物語

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

入海月子
恋愛
有本瑞希 仕事に燃える設計士 27歳 × 黒瀬諒 飄々として軽い一級建築士 35歳 女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。 彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。 ある日、同僚のミスが発覚して――。

ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました

瀬崎由美
恋愛
穂香は、付き合って一年半の彼氏である栄悟と同棲中。でも、一緒に住んでいたマンションへと帰宅すると、家の中はほぼもぬけの殻。家具や家電と共に姿を消した栄悟とは連絡が取れない。彼が持っているはずの合鍵の行方も分からないから怖いと、ビジネスホテルやネットカフェを転々とする日々。そんな穂香の事情を知ったオーナーが自宅マンションの空いている部屋に居候することを提案してくる。一緒に住むうち、怖くて仕事に厳しい完璧イケメンで近寄りがたいと思っていたオーナーがド天然なのことを知った穂香。居候しながら彼のフォローをしていくうちに、その意外性に惹かれていく。

処理中です...