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◆番外編◆ 夫婦になって初めての☓☓☓
#1
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♪゜・*:.。. .。.:*・♪
大切な人たちに祝福されて、素敵な結婚式を挙げてから、早いものでもう一週間が過ぎようとしている。
私の誕生日に入籍して、綾瀬美菜から神宮寺美菜になってからも、もう一月近く経つけど。
妊婦検診などで、『神宮寺美菜さん』なんて呼ばれるたびに、なんだかまだくすぐったい感じがする。
そして、あと一週間もすれば妊娠六カ月を迎えることになる私のお腹も、妊婦さんらしくふっくらしてきて。
最近は、元気に動き回る赤ちゃんの胎動もよく感じられるようになってきた。
相変わらず、要さんの仕事は忙しくて、帰りが遅い日もあるけれど、妙さんが二十一時まで居てくれるし。
なにより、ふたりで暮らすようになってからというもの、プロポーズの時の宣言通り、どんなに忙しくても、疲れていても、隙さえあれば、あの手この手で、私のことをとろっとろに甘やかそうとしてくる要さんのお陰で、寂しいなんて思っている暇もないくらいだ。
本当に、こんなにも幸せでいいのかなって思っちゃうくらい、幸せな甘い甘い日々を送らせてもらっている。
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
いつもより早い時間に目を覚ましてしまった私が、キッチンで朝ご飯の準備をしていて。
ふいに、要さんにプレゼントしてもらったペアの腕時計に視線がいき。
――あれ? いつもならもうとっくに起きてくる時間なんだけどなぁ?
最近、忙しかったから、疲れちゃってるのかもしれない。
まだ時間もあるし、ギリギリまで寝かせてあげることにしよう。
そう決めた私が、朝ご飯の支度も洗濯も終えて、寝室で眠る要さんを起こしに行って。
まだ気持ちよさげに布団に包まって寝入っている様子の要さんをそうっと揺すりつつ、
「要さん、もうそろそろ起きてください」
そういって声をかけていた時だった。
「――キャッ!?」
不意に、グイッと腕を引っ張られた私が、驚いて短い悲鳴をあげた刹那、布団の中に包まれてしまっていたのは。
そして、どうやらまだ寝惚けてしまっているらしい要さんに布団の中で胸に抱き寄せられた私が、ハッとして、
「かっ、要さん、起きてくださいってばぁ」
まだ瞼を閉ざしたまま、綺麗なお顔の眉間に皺を寄せて、口をムニャムニャさせてる要さんの頬に手を添えて、自分の方へと引き寄せてみるも。
気持ちよさげに寝息を立てていて、一向に起きようとする素振りが見られない。
どうしよう? この調子だと、夏目さんが迎えに来てくれるまでに準備ができないかもしれない。
それにしても……。
――あぁ、もう、そんな無防備な表情で寝入っちゃって。可愛すぎて、いつまでも見てられるんですけど。
――あぁ、もう、スマホの待ち受けにしたい。
いつもは寝起きのいい筈の要さんが疲れている所為か、起きなくて途方に暮れながらも。
こんなこと滅多にないものだから、『この貴重な要さんの姿を記念に残したい』なんて、ちょっと邪《よこしま》な考えが私の脳裏にチラつき始めたちょうどその時。
「……ん? 美菜、どうした? そんなにくっついてきて。そんなに俺に可愛がってほしいのか?」
寝惚け眼をパチパチさせつつ、まだ目覚めたばかりで、寝惚けている様子の要さんが、自分で抱き寄せた私のことを首を僅かに傾げながら、嬉しそうに顔を綻ばせ、そんなことを訊いてきた。
寝起きで少し掠れた低い声はメチャクチャ色っぽいのに、その仕草がなんとも可愛くて。
こんなことをしている場合じゃないというのに、ついうっかり胸がキュンってなっちゃったくらいだ。
大切な人たちに祝福されて、素敵な結婚式を挙げてから、早いものでもう一週間が過ぎようとしている。
私の誕生日に入籍して、綾瀬美菜から神宮寺美菜になってからも、もう一月近く経つけど。
妊婦検診などで、『神宮寺美菜さん』なんて呼ばれるたびに、なんだかまだくすぐったい感じがする。
そして、あと一週間もすれば妊娠六カ月を迎えることになる私のお腹も、妊婦さんらしくふっくらしてきて。
最近は、元気に動き回る赤ちゃんの胎動もよく感じられるようになってきた。
相変わらず、要さんの仕事は忙しくて、帰りが遅い日もあるけれど、妙さんが二十一時まで居てくれるし。
なにより、ふたりで暮らすようになってからというもの、プロポーズの時の宣言通り、どんなに忙しくても、疲れていても、隙さえあれば、あの手この手で、私のことをとろっとろに甘やかそうとしてくる要さんのお陰で、寂しいなんて思っている暇もないくらいだ。
本当に、こんなにも幸せでいいのかなって思っちゃうくらい、幸せな甘い甘い日々を送らせてもらっている。
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
いつもより早い時間に目を覚ましてしまった私が、キッチンで朝ご飯の準備をしていて。
ふいに、要さんにプレゼントしてもらったペアの腕時計に視線がいき。
――あれ? いつもならもうとっくに起きてくる時間なんだけどなぁ?
最近、忙しかったから、疲れちゃってるのかもしれない。
まだ時間もあるし、ギリギリまで寝かせてあげることにしよう。
そう決めた私が、朝ご飯の支度も洗濯も終えて、寝室で眠る要さんを起こしに行って。
まだ気持ちよさげに布団に包まって寝入っている様子の要さんをそうっと揺すりつつ、
「要さん、もうそろそろ起きてください」
そういって声をかけていた時だった。
「――キャッ!?」
不意に、グイッと腕を引っ張られた私が、驚いて短い悲鳴をあげた刹那、布団の中に包まれてしまっていたのは。
そして、どうやらまだ寝惚けてしまっているらしい要さんに布団の中で胸に抱き寄せられた私が、ハッとして、
「かっ、要さん、起きてくださいってばぁ」
まだ瞼を閉ざしたまま、綺麗なお顔の眉間に皺を寄せて、口をムニャムニャさせてる要さんの頬に手を添えて、自分の方へと引き寄せてみるも。
気持ちよさげに寝息を立てていて、一向に起きようとする素振りが見られない。
どうしよう? この調子だと、夏目さんが迎えに来てくれるまでに準備ができないかもしれない。
それにしても……。
――あぁ、もう、そんな無防備な表情で寝入っちゃって。可愛すぎて、いつまでも見てられるんですけど。
――あぁ、もう、スマホの待ち受けにしたい。
いつもは寝起きのいい筈の要さんが疲れている所為か、起きなくて途方に暮れながらも。
こんなこと滅多にないものだから、『この貴重な要さんの姿を記念に残したい』なんて、ちょっと邪《よこしま》な考えが私の脳裏にチラつき始めたちょうどその時。
「……ん? 美菜、どうした? そんなにくっついてきて。そんなに俺に可愛がってほしいのか?」
寝惚け眼をパチパチさせつつ、まだ目覚めたばかりで、寝惚けている様子の要さんが、自分で抱き寄せた私のことを首を僅かに傾げながら、嬉しそうに顔を綻ばせ、そんなことを訊いてきた。
寝起きで少し掠れた低い声はメチャクチャ色っぽいのに、その仕草がなんとも可愛くて。
こんなことをしている場合じゃないというのに、ついうっかり胸がキュンってなっちゃったくらいだ。
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