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◆番外編◆ なにより愛しいもの~side要~
#18
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腕の中で、ただただしがみついてることしかしかできないほどに、余裕のない可愛い美菜。
喉から手が出るほど欲しくて欲しくて堪らない、なんて言うと、大袈裟だって思われるかもしれないが、本当にそれくらい、美菜のことが欲しくて欲しくて堪らなかった。
それがどうしてかなんて、自分でもよく分からない。
けど、出逢ったときから、他の誰とも違ってて、うまくは言えないけど、嫌われたくないと思った。ただ触れたいと思った。
契約を交わして、美菜と一緒に過ごすようになって、どんどん惹かれて、嵌まって、気づけば抜け出せなくなってて……。
人を好きになるのなんて、理屈じゃないんだな、なんてこの歳になって、初めて想い知った。
今は、想いも通じて、こうして触れあって、こんなに近くに感じられるのに。
どういう訳か、それでも、まだ不安で、もっともっと深いところで繋がりあってたい、そういう焦りにも似た想いにかられる。
美優とのことがそうさせるのかとも思ったけど、そうじゃなくて、美菜の存在が俺にとって、それほど大きくなっているんだろう。
――だから、もしこれから、例え何があったとしても、絶対に、美菜だけは離さない。
次から次に涌き出てくる不安を拭い去りたくて、美菜ともっとくっついていたくて。
美菜の唇から離れると同時、体勢を変えるために美菜の中から己自身を引き抜くと。
美菜が俺と『離れたくない』と言う風に、浮かせたの俺の腰に両脚を絡めようとした刹那。
まるでそのタイミングを見計らったようになったが、己自身をズクンと勢いよく美菜の最奥へと突き立てたのはたまたまだった。
けれど、少々刺激が強すぎたようで、美菜の身体が弓なりに仰け反ってしまっていて。
それと一緒に、美菜の中が酷くうねって、突き上げた俺を締め付けてくる。
堪らなくなった俺は、美菜の身体の上に倒れ込むように覆い被さるしかなかった。
ちょうど美菜の肩の辺りに顔を埋めた俺は、美菜の華奢な身体を軋むほど強く抱き締めながら、うねりに抗って、何度も何度も腰を打ち付けた。
「ひゃあんっ……あっ……あっ……あんっ、……やっ……あっ……あんっ……」
美菜の甘い声に紛れて、「美菜」と愛しい名を夢中になって何度も何度も呼ぶ俺の声だけが広い寝室に響いては消えていく。
もう余裕なんてないはずなのに、それでも美菜の反応がいちいち気になって仕方ない。
美菜の僅かな変化も見逃さないように、どんな美菜の姿もこの目にちゃんと焼きつけておきたい、なんて思ってしまう。
そんな俺の心情なんて知らない美菜は、余裕のない俺とは違って、乱れる姿を見られたくないのか、両手で顔を覆い隠してしまった。
……どうやら、まだ恥ずかしいなんて思う余裕があるようで、なんだか面白くない。
けれども、惚れた弱味で、俺はそんな美菜のことがどうしようもなく可愛いくて堪らなくて、俺は危うく達してしまいそうになって。
それをなんとか呻くだけで堪えた俺は、愛しい美菜を抱きしめながら呼吸を落ち着かすことができたのだった。
そんな切羽詰まった状況だったクセに、美菜には余裕あるフリを決め込んで、起き上がり、
「こーら。そんなことしたら、美菜の可愛い声が聞こえないし、可愛い顔が見えないだろう?」
なんて、俺はそんなことを言って、美菜の両手を顔の横に縫い付けるように固定させ。
露になった美菜の目前まで迫った俺は、見下ろしながらまっすぐに美菜の顔を自分の腕だけじゃなく、瞳の中にも捉えた。
恥ずかしいのに、俺に逃げ場を取り上げられたもんだから怒ったのだろう。
美菜は少しムッとした表情で、けれど自分ではどうすることもできないから、俺のことを軽く睨み返すことしかできないでいる。
でも、そんな美菜の瞳にも、表情にも、今までにないくらいの色気があるから堪らない。
それらに煽りにあおられてしまった俺の僅かに残っていた理性は、もののみごとに、一瞬で吹き飛んでしまった。
『もっともっと触れていたい。もっともっと触れあって、溶けあって、ひとつになってしまいたい。離れることのないように』
そんな言葉ばかりが頭の中で繰り返される。
「怒るな。美菜があんまり締め付けてくるからイキそうになって、ちょっと中断しただけだ。中断しただけで、そんなに怒って。そんなに気持ち良かったのか?」
理性をなくし、いつもの如く可笑しなスイッチが入った俺は、ニヤリと口角を上げ、なおも美菜に追い討ちをかけるのだった。
喉から手が出るほど欲しくて欲しくて堪らない、なんて言うと、大袈裟だって思われるかもしれないが、本当にそれくらい、美菜のことが欲しくて欲しくて堪らなかった。
それがどうしてかなんて、自分でもよく分からない。
けど、出逢ったときから、他の誰とも違ってて、うまくは言えないけど、嫌われたくないと思った。ただ触れたいと思った。
契約を交わして、美菜と一緒に過ごすようになって、どんどん惹かれて、嵌まって、気づけば抜け出せなくなってて……。
人を好きになるのなんて、理屈じゃないんだな、なんてこの歳になって、初めて想い知った。
今は、想いも通じて、こうして触れあって、こんなに近くに感じられるのに。
どういう訳か、それでも、まだ不安で、もっともっと深いところで繋がりあってたい、そういう焦りにも似た想いにかられる。
美優とのことがそうさせるのかとも思ったけど、そうじゃなくて、美菜の存在が俺にとって、それほど大きくなっているんだろう。
――だから、もしこれから、例え何があったとしても、絶対に、美菜だけは離さない。
次から次に涌き出てくる不安を拭い去りたくて、美菜ともっとくっついていたくて。
美菜の唇から離れると同時、体勢を変えるために美菜の中から己自身を引き抜くと。
美菜が俺と『離れたくない』と言う風に、浮かせたの俺の腰に両脚を絡めようとした刹那。
まるでそのタイミングを見計らったようになったが、己自身をズクンと勢いよく美菜の最奥へと突き立てたのはたまたまだった。
けれど、少々刺激が強すぎたようで、美菜の身体が弓なりに仰け反ってしまっていて。
それと一緒に、美菜の中が酷くうねって、突き上げた俺を締め付けてくる。
堪らなくなった俺は、美菜の身体の上に倒れ込むように覆い被さるしかなかった。
ちょうど美菜の肩の辺りに顔を埋めた俺は、美菜の華奢な身体を軋むほど強く抱き締めながら、うねりに抗って、何度も何度も腰を打ち付けた。
「ひゃあんっ……あっ……あっ……あんっ、……やっ……あっ……あんっ……」
美菜の甘い声に紛れて、「美菜」と愛しい名を夢中になって何度も何度も呼ぶ俺の声だけが広い寝室に響いては消えていく。
もう余裕なんてないはずなのに、それでも美菜の反応がいちいち気になって仕方ない。
美菜の僅かな変化も見逃さないように、どんな美菜の姿もこの目にちゃんと焼きつけておきたい、なんて思ってしまう。
そんな俺の心情なんて知らない美菜は、余裕のない俺とは違って、乱れる姿を見られたくないのか、両手で顔を覆い隠してしまった。
……どうやら、まだ恥ずかしいなんて思う余裕があるようで、なんだか面白くない。
けれども、惚れた弱味で、俺はそんな美菜のことがどうしようもなく可愛いくて堪らなくて、俺は危うく達してしまいそうになって。
それをなんとか呻くだけで堪えた俺は、愛しい美菜を抱きしめながら呼吸を落ち着かすことができたのだった。
そんな切羽詰まった状況だったクセに、美菜には余裕あるフリを決め込んで、起き上がり、
「こーら。そんなことしたら、美菜の可愛い声が聞こえないし、可愛い顔が見えないだろう?」
なんて、俺はそんなことを言って、美菜の両手を顔の横に縫い付けるように固定させ。
露になった美菜の目前まで迫った俺は、見下ろしながらまっすぐに美菜の顔を自分の腕だけじゃなく、瞳の中にも捉えた。
恥ずかしいのに、俺に逃げ場を取り上げられたもんだから怒ったのだろう。
美菜は少しムッとした表情で、けれど自分ではどうすることもできないから、俺のことを軽く睨み返すことしかできないでいる。
でも、そんな美菜の瞳にも、表情にも、今までにないくらいの色気があるから堪らない。
それらに煽りにあおられてしまった俺の僅かに残っていた理性は、もののみごとに、一瞬で吹き飛んでしまった。
『もっともっと触れていたい。もっともっと触れあって、溶けあって、ひとつになってしまいたい。離れることのないように』
そんな言葉ばかりが頭の中で繰り返される。
「怒るな。美菜があんまり締め付けてくるからイキそうになって、ちょっと中断しただけだ。中断しただけで、そんなに怒って。そんなに気持ち良かったのか?」
理性をなくし、いつもの如く可笑しなスイッチが入った俺は、ニヤリと口角を上げ、なおも美菜に追い討ちをかけるのだった。
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