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◆番外編◆ かなわないもの~side要~

#16

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好きな女にそんなことを言われて嬉しくない訳がない。

愛おしい美菜があまりにも可愛いことを言ってくるもんだから、俺は思わず美菜のことを抱きしめていた。


「ダメじゃない。そんな風に思ってもらえて嬉しいくらいだから、そんなことで泣かなくていい」


そんな俺に、腕の中の美菜が首にしがみついてきて。


「じゃぁ、いいですか?」

「あぁ」


打って変わって、嬉しそうな声でそう言われてしまい、美菜が泣き止んだことにホッとしてしまった俺は、ついうっかり返事をしてしまったのだった。



***



そんなこんなで俺は、美菜からバスルームに先に行くように言われて。

何をしていたのか数分遅れてきた美菜は、火を噴くんじゃないかってくらいに真っ赤になってしまっている。

きっと、勢いであーは言ってしまったものの、恥ずかしくて堪らないんだろうと思う。

美菜のことが愛おしくて可愛くて堪らない俺は、助け舟を出してやろうと思い。

少しだけ振り返って、『もういい』って言ってやろうとしたちょうどその瞬間。

入り口のドアに背を向けて立っていた俺の背中に美菜が抱き着いてきて。

背中に美菜のなんとも柔らかな胸の感触が微かにだが伝わってくるから堪らない。


「座ってください」


けれど、そう言ってきた美菜の声は、心なしか少し震えているように聞こえて、慌てて邪念を追い払って。

また泣いてるんじゃないかと心配になった俺が、「美菜?」と声を掛けて窺おうとしてみたのだが……。


「いいから早く座ってください!」


恥ずかしくて堪らない所為なのか、俺から顔が見えないように俯き気味に。

でも、今度は言うことを聞かない俺に、怒ったように早口で捲し立ててきた美菜。

まぁ、泣いてはいないようだし、恥ずかしがり屋の美菜のことだ、すぐに降参するだろうと思っていた俺が、美菜の言う通りにバスタブの渕へと腰を下ろすと。


「じっとしててくださいね」


「……あぁ、分かった」


美菜が俺の返事を聞きながら正面にきて、俺の未だ元気なアレを見下ろしてくる。

そして、ゴクリと唾を飲み下すような様子を見せたかと思えば。

俺の両膝それぞれに手を置いて一気に開かせ、何故かその間にしゃがみ込んでしまった美菜。

そのあまりにも非現実的な光景に、呆気にとられてフリーズしてしまった俺なんか置き去りにして。

美菜はアレの根元を掴んでそこへ自身の唇を寄せると、次の瞬間にはもうアレは口へと含まれていた。

美菜の暖かな咥内で包み込まれた途端、僅かではあったけれど、初めて挿入した美菜の中を思わせるような、その感触と暖かさに。

思わず……

「んあぁっ、みっ、美、菜……はぁ……ぁっ……」

そんな情けない声を出すことしかできなくて……。

それに、久しぶりに味わうその暖かさに、美菜の熱い舌が絡まってくるお陰で、えもいわれぬ快感が脊髄から脳へと駆け抜けていく。

美菜は恥ずかしい所為か瞼を閉じながら、無茶苦茶に、けれど一生懸命に舌を絡めてくるその様さまが、また余計に興奮と快感をじわじわと煽ってくるものだから。

もう俺は、抗うこともできずに、されるがままでいることしかできない有り様で。

そんな余裕のない俺は、何度も悩ましげな声と熱い吐息を弾ませることしかできない。

気を抜いたら、暴発してしまいそうだけど、不慣れな美菜の舌のたどたどしい動きだけでは、すぐにはイクことがデキそうにない。

イキそうでイケない生殺しのような愉悦に堪らず、美菜の頭をグッと両手で押さえて身悶えていると……。

それに気付いた美菜が瞼を上げて俺のことを見上げてきて、余裕のない俺の姿を見た途端に嬉しそうに愛おしげに瞳を眇めていて。

いつもは可愛いらしい美菜の、艶めいた女の色気を纏ったその表情に魅入られた俺の昂りは増すばかりで。

いよいよ限界が近くなった俺を察したかのような絶妙なタイミングで、アレを目一杯、喉奥ギリギリまで咥え込んだ美菜が、前後に差し入れを繰り出してきた。

美菜に強すぎる刺激をお見舞いされて、とうとう限界を迎えそうになった俺は、美菜の頭を抱え込んで身悶えさせられ、呆気なくイカされて。


「……はぁっ……美、、菜っ、ぅっ……イッ……くっ……ン、ああぁっ、、……はぁ、、はぁ……はぁ」


美菜の頭を抱え込んで溜まりにたまってた欲の全てを吐き出してしまった俺は、全身を痙攣させた状態で美菜にしなだれかかるようにして抱きついたまま、暫くは荒い息を繰り繰り返すことしかできずにいた。
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