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揺らめく心と核心~前編~
#2
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ちょうどそのタイミングで、私は胃の辺りがキリキリと締め付けられるような不快感に襲われた。
かと思えば、もうとっくに解消していた筈の夏バテが復活したのか、はたまた精神的なものなのか、今度は胸やけした時のようにムカムカしてきて、なんだか気持ち悪くなってきた。
突然吐き気を催してしまった私が、吐しゃ物が喉奥からこみ上げてくるような感覚に、なんとか堪えようとしているところを、どうやら異変に気付いたらしい隼さん。
「……吐き気のようですが大丈夫ですか? 顔色も真っ青ですね? もしかして、悪阻とかじゃないでしょうね?」
ついさっきまで私のことを力ずくでどうにかしようとしていた隼さんは、手のひらを返したように、私の体調を気遣ってくれているのか、組み敷いていた私の身体から早々に退くと、さっきまでの冷たい無表情を崩して、とっても心配そうな表情で、完全に解放した私の顔を窺うように覗き込んできた。
その表情は、心配性の要さんを彷彿とさせる。
顔も喋り方も、性格も全然違って見えても、やっぱり血を分けた兄弟なんだな、なんて、私は自分の置かれている状況も忘れて、そんな風に呑気に感心してしまったほどだ。
数十秒遅れで、隼さんに言われた言葉を反芻した私は、そういえば、先月はずいぶん遅れてきたんだっけ。
あれ、でも、そういえば、もうきててもおかしくない筈なんだけど。
身に覚えがありすぎるほどあるけれど、要さんは私のことを気遣って、避妊もちゃんとしてくれていたし、生理だってもともと不順だったから、今回もきっと違うよね。
自分の中でそう結論が出て、それを声にしようと思う間もなく、また吐き気を催してしまった私は、自分の口元を両手で押さえて、大きな机の上で横になったまま丸くなっていることしかできずにいる。
そこへ、再び隼さんの声がして。
「……まっ、まさか、ご懐妊されていたとは知らずに、もっ……申し訳ありませんっ! 美菜さん、大丈夫ですか? どっ、どういたしましょうか? あっ、救急車をお呼びしますので、少々待ちいただけますかっ?」
隼さんの声がしたことに変わりはないのだけれど、どうやら私が妊娠していると早合点してしまった隼さんは、ついさっきまで私のことをどうこうしようとしてた人と同一人物だとは思えないほど、酷く狼狽えているご様子だ。
その証拠に、ただの吐き気だというのに、救急車を呼ぼうとしているようだ。
そんな隼さんは慌てた様子で、ジャケットからスマホを取り出して操作し始めてしまっている。
違うと言いたいところだけれど、吐き気を催してしまっている私には、隼さんを止めるようなそんな余裕はない。
そこへ、隼さんのスマホに着信があったらしく、広い会議室にバイブ音が響き渡った。
かと思えば、もうとっくに解消していた筈の夏バテが復活したのか、はたまた精神的なものなのか、今度は胸やけした時のようにムカムカしてきて、なんだか気持ち悪くなってきた。
突然吐き気を催してしまった私が、吐しゃ物が喉奥からこみ上げてくるような感覚に、なんとか堪えようとしているところを、どうやら異変に気付いたらしい隼さん。
「……吐き気のようですが大丈夫ですか? 顔色も真っ青ですね? もしかして、悪阻とかじゃないでしょうね?」
ついさっきまで私のことを力ずくでどうにかしようとしていた隼さんは、手のひらを返したように、私の体調を気遣ってくれているのか、組み敷いていた私の身体から早々に退くと、さっきまでの冷たい無表情を崩して、とっても心配そうな表情で、完全に解放した私の顔を窺うように覗き込んできた。
その表情は、心配性の要さんを彷彿とさせる。
顔も喋り方も、性格も全然違って見えても、やっぱり血を分けた兄弟なんだな、なんて、私は自分の置かれている状況も忘れて、そんな風に呑気に感心してしまったほどだ。
数十秒遅れで、隼さんに言われた言葉を反芻した私は、そういえば、先月はずいぶん遅れてきたんだっけ。
あれ、でも、そういえば、もうきててもおかしくない筈なんだけど。
身に覚えがありすぎるほどあるけれど、要さんは私のことを気遣って、避妊もちゃんとしてくれていたし、生理だってもともと不順だったから、今回もきっと違うよね。
自分の中でそう結論が出て、それを声にしようと思う間もなく、また吐き気を催してしまった私は、自分の口元を両手で押さえて、大きな机の上で横になったまま丸くなっていることしかできずにいる。
そこへ、再び隼さんの声がして。
「……まっ、まさか、ご懐妊されていたとは知らずに、もっ……申し訳ありませんっ! 美菜さん、大丈夫ですか? どっ、どういたしましょうか? あっ、救急車をお呼びしますので、少々待ちいただけますかっ?」
隼さんの声がしたことに変わりはないのだけれど、どうやら私が妊娠していると早合点してしまった隼さんは、ついさっきまで私のことをどうこうしようとしてた人と同一人物だとは思えないほど、酷く狼狽えているご様子だ。
その証拠に、ただの吐き気だというのに、救急車を呼ぼうとしているようだ。
そんな隼さんは慌てた様子で、ジャケットからスマホを取り出して操作し始めてしまっている。
違うと言いたいところだけれど、吐き気を催してしまっている私には、隼さんを止めるようなそんな余裕はない。
そこへ、隼さんのスマホに着信があったらしく、広い会議室にバイブ音が響き渡った。
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