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縺れあう糸

#22

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結局、私はいつものごとくおかしなスイッチ全開で、いつになく余裕をなくしてしまってた様子の要さんによって、日付が変わる時間まで、たーっぷりと可愛がられたのだった。

ほぼほぼ同じタイミングで、もう何度目かも分からない絶頂を仲良く迎えた私と要さん。
 
要さんに可愛がってもらってる間、ずーっとくっついていた筈なのに、それでもまだまだ、もっともっとくっついていたくて、私は要さんの背中に腕を回してしがみついたままでいる。

それは要さんも同じ気持ちだったようで、要さんも私のことを胸に抱き寄せ、腕に包み込んだまま、何度も優しいキスの雨を降らせてくれていて。

絶頂を迎えてもなお、私のナカで、迸《ほとばし》る熱い飛沫を注ぎ込み続ける要さんの鼓動が心地よく素肌に伝わってくる。

まだまださっきまでの甘く刺激的だった一時の余韻が冷めやらぬ中、

「美菜とずっとこうしていたい」
「私も。大好きな要さんとずーっとくっついていたいです」
「こーら、そんな可愛いこと言われたら、俺の分身がその気になっちゃうだろ」
「////」
「こーら、その反応も可愛いすぎだ。それ以上煽ったら、副社長室で啼かせてやる」
「////」

要さんと恋人らしい甘い言葉を交わしていた筈が、いつのまにか、私と同じようにドキドキと高鳴る要さんの鼓動を直に感じながら、幸福感に包まれながら夢の世界へと誘《いざな》われていたようだった。



♪゜・*:.。. .。.:*・♪



週末の二日間の間、色々あったし、要さんにたーっぷり可愛がられたりもしたから、朝ちゃんと起きることができるか心配だったけれど、思いの外早く目を覚ました私が、スマホの画面を覗くと、まだ午前五時半だったから驚きだ。

あの後、ピッタリとくっついたままで一緒に眠りについた要さんは、休日出勤だったようだし、私を可愛がるのにも容赦なかったし、相当お疲れだったようで、私を腕枕したままぐっすりと眠っているご様子で。

――要さんの無防備な寝顔を見つめていると、いつも大人っぽくて麗しい綺麗なお顔が、なんだか幼く見えて、可愛いくて堪らなくて、胸がキュンキュンしてしまう。
 
朝に弱い私とは違って、いっつも早く起きてしまってる要さんの寝顔なんて、滅多に見られないから余計だ。

このままジーっと何時間でも見ていられそうだ。

貴重な要さんの寝顔をキュンキュンしながら眺めていた私は、あることをはたと思いたって、要さんの頬にチュッと軽く口づけてから、起こさないようにそうっと腕の中から抜け出して。

そのままバスルームへ向かいシャワーを浴びて身支度を済ませた私は、キッチンへと向かい、要さんと夏目さん、そして自分の分のお弁当作りにとりかっかったのだった。

そう、私が思いついたあることとは、お弁当作りのことだったのだ。

要さんには、気持ちを疑ってしまった上、嘘までついちゃって、余計な心配をかけてしまったお詫びと、たっぷりの愛情をこめて。

夏目さんには、色々相談に乗ってもらったお礼と、辛いことを思い出させてしまった昨日のお詫びと、日頃の感謝をこめて。

――要さん、喜んでくれるかな? 料理上手な夏目さんにお弁当を作るなんて、無謀だったかな? なんて思いながらも、私にできることなんて他に思い浮かばないから、仕方ないと早々に諦め、お弁当作りへと頭をシフトすることにして……。

おかずを何にしようか、と思案しながら冷蔵庫の食材とにらめっこした結果、豚の生姜焼をメインにすることに決まり、まずは豚肉の下ごしらえを済ませた。

次に取りかかった、厚焼き玉子の形が少々不格好になってしまったけれど、切っちゃえば大丈夫、なんて自分に言い聞かせつつ、ウインナーをお決まりのタコやカニの形にカットして、熱したフライパンで炒めたりした。
 
そして、なんとか完成して、ホッとしたところに、

「あれ!?美菜ちゃん!?どした?腹でも減ったの?」

朝に弱い私が自分よりも早くキッチンに居るものだから、どうやら夏目さんは、私がお腹を空かせたと思ってしまったらしい。

そんなちょっと失礼な夏目さんの酷く驚いた声が静かだったキッチン中に響き渡った。
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