105 / 427
甘くて苦いビターチョコのように
#25
しおりを挟む要さんの熱くて甘い口づけによってとろっとろに溶かされた私が、口づけから解放された刹那、蕩けた身体で要さんの首にしがみついた状態でしなだれかかれば……。
「そんなにくっつかれたら、美菜の可愛い顔が見えないだろ?」
そう言ってきた要さんによって、私の身体はあっけなく要さんの身体から引き剥がされてしまって。
当然、私の目の前には、可笑しなスイッチ全開になってしまった要さんの、怖いくらい綺麗な、あの妖艶な微笑が待ち構えてて。
「ほら、こっち見てろ」
まっすぐに見据えられて、そんなことを言われても、とてもじゃないけど要さんとまともに視線なんて合わせられる筈がない。
さっきは、安心できるって思ったけど、大好きな要さんにこんなにぴったりとくっつかれて。
しかも、こんな至近距離で、ずっと要さんに見られてると思うと、どうしても意識しちゃって、メチャクチャ恥ずかしいんだもん。
「……む、無理です。恥ずかしい」
しがみついてた要さんの首に飛び付くようにして再び抱きついて、恥ずかしくて堪らない旨を伝えてみるも……。
「なら、恥ずかしいなんて思うような余裕なんて、なくしてやらなきゃな」
なんの躊躇もなく、そう言ってきた要さんによって、私の無防備だった左胸の膨らみを大きな手でそっと優しく包み込まれて。
やわやわと揉みしだかれて、手で軽く撫でられてるだけで、敏感な胸の尖りが手に触れて擦れてしまうから堪らない。
「……あっ……やっ、……んぅっ」
それだけで粟立ってしまう身体が自分の意思とは関係なく、要さんに支えられた腕の中で、弓なりにビクビクと小刻みに仰け反ってしまう。
それを、やっぱり、可笑しなスイッチ全開になってしまった要さんによって、言葉でも攻められて。
「ちょっと触れただけで、そんなに気持ちいいのか? じゃぁ、もっと良くしてやる」
それだけでも充分追い詰められているというのに……。
「もう、手だけじゃ物足りないんだろう?」
愉しそうに、そんなことを言ってきた要さんによって、今度は私の無防備だった右の胸の尖りを口に含まれて。
熱い舌先で何度も執拗に、ねぶって捏ねられてしまっては、甘すぎる愉悦に抗うことなんてできず、自分のものとは思えないくらいの甘ったるい嬌声が静かな寝室に響いていく。
それに伴い、要さんの巧みな腰の動きまでもが合わさって、二ヶ所同時に攻め立てられて……。
要さん自身で最奥を軽くノックするようにしてソフトに優しく、でも軽快なそのリズムに、身体が揺さぶられる度に。
えもいわれぬ愉悦に襲われ、なんとか保っている意識が飛んでしまいそうになる。
「……やぁっ、……あんっ……やっ、ひゃっ……んぅっ……」
けれども、それは、どうやら要さんも同じようで。
私の胸の尖りを攻め立ててた筈の舌の動きが疎かになってしまった要さんの口からも、時折、呻くような、刹那げな声が、微かに零れ落ちてくるもんだから。
そんな余裕なさげな要さんのことが愛おしくて堪らなくなって。
無性に抱き締めたくなって、要さんの身体にギュッと抱きつけば……。
そしたら、同じように要さんも私のことをギュッと力強く抱き締めてくれて。
「美菜」
そう言って何度も何度も愛しげに名前を呼んでくれるから、もうそれだけで幸せで、蕩けて昇天してしまいそうになる。
こんな風に、誰かのことを愛おしいなんて思う日が来るなんて思わなかったし。
こんな風に、誰かに愛おしいと思ってもらえることが、こんなにも幸せなことだなんて、知らなかった。
その相手が、こんなにも大好きになった要さんだなんて、幸せすぎて、夢を見てるみたいで。
ーーいつかこの夢が醒めちゃうんじゃないかって、怖くもなる。
0
お気に入りに追加
1,141
あなたにおすすめの小説

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語


不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。

ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました
瀬崎由美
恋愛
穂香は、付き合って一年半の彼氏である栄悟と同棲中。でも、一緒に住んでいたマンションへと帰宅すると、家の中はほぼもぬけの殻。家具や家電と共に姿を消した栄悟とは連絡が取れない。彼が持っているはずの合鍵の行方も分からないから怖いと、ビジネスホテルやネットカフェを転々とする日々。そんな穂香の事情を知ったオーナーが自宅マンションの空いている部屋に居候することを提案してくる。一緒に住むうち、怖くて仕事に厳しい完璧イケメンで近寄りがたいと思っていたオーナーがド天然なのことを知った穂香。居候しながら彼のフォローをしていくうちに、その意外性に惹かれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる