【R18】訳あり御曹司と秘密の契約【本編完結・番外編不定期更新中】

甘くて苦いビターチョコのように

♯８

さっきまで、あんなに余裕がないような表情をしていた筈の副社長。

それが今は、私の胸の膨らみを柔らかく包み込んでいて、敏感になって主張してしまっているその先を指で捏《こ》ねたり弾いたりして弄んでいらっしゃる。

「……やぁ……あっ……ンッ」

そのたびに、甘くて艶《つや》やかな吐息を零してしまう私のことを満足気にキスの合間に下から見詰めながら、

「美菜は、ここを弄られるのが好きだな。今度はドコを弄ってほしい？」

なーんて、またまたなにやら可笑しなスイッチが入ってしまった様子の副社長。

水を得た魚のようにイキイキとしてらしゃいます。

それはもう、悔しいほどに、神々《こうごう》しいほどにキラキラと輝いていらっしゃいます。

思わずムッとした表情で、麗しい副社長のことを恨めしく見詰めることしかできない可哀想な私。

私としては、今だけは余裕なんてなくして、美優さんのことなんか忘れて欲しいっていうのに……。

そんな想いに囚われてしまっている私は、副社長のアレを包み込んでいる右手にグッと力を籠めてしまうのだった。

すると、たちまち正面で綺麗なお顔を悩ましげに歪ませる余裕をなくした様子の副社長。

僅かにですが、息が荒くなってきたような気がします。

そんな副社長の様子に気をよくしたおバカな私は、

「気持ちいいですか？」

そんなことを聞いてしまうのだが……。

それを聞いた副社長は、途端に、綺麗なお顔をキリリと引き締めさせたかと思うと。

次の瞬間には、私の顎を指で捉えて真っ直ぐに挑むような眼差しで見据えてくると。

「今日の美菜は随分と余裕なんだな？　いつもはすぐにイクくせに。

面白い。どこまで余裕で居られるか試してやる。手加減なんかしてやらないから、覚悟しろ」

さっきにも増して、可笑しなスイッチを全開にした副社長が妖艶な微笑みを浮かばせて意地悪く口角を釣り上げながら、そんな大人げないことを言ってきた。

――どうやら私は、副社長のプライドに火をつけてしまったようです。

こうして、あっという間に、形勢逆転とばかりに、立場も体制も逆転させられた私は、大人げない副社長によってあっけなく組み敷かれることとなったのだった。