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近づく距離
#7
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危うく、麗しい副社長のイロカに魅了されかかってた私が、なんとか足掻いてみるも……。
「あ? そんなに俺と一緒に居るのが嫌なのか?」
副社長は、またこうやって凄んでくるんだけど、ここで、負けるわけにもいかない訳で……。
「……そ、そうじゃなくって。
あの、だって、副社長と私が一緒に出勤って、不自然じゃないですか。
会社の人に見られたりして、色々、変なこと言われたら、副社長に迷惑かかっちゃいますし」
だから副社長の立場を案じて、そう言っているのに……。
「あ? 何が不自然なんだ?
会長への挨拶だって済ませてあるし、ちゃんと筋は通してあるんだ。なんの問題もない。
言いたいヤツには言わせておけばいい。
俺はそんなことイチイチ気にしない」
どういうわけか、今日は、虫の居所でも悪いのか、まだ、そうやってしつこく詰め寄ってくる。
いつもの副社長だったら、煩わしいのが嫌だからか、『勝手にしろ』とだけ言い放つと、あとは、プイッと不機嫌そうに窓の方に向いたまま、黙り込んでしまうだけなのに。
ほとほと堪りかねた私が、
「いや、だって、それは、そうですけど。
やっぱり、仕事に支障が……」
そしたら、今度は、
「だったら、婚約者だってキチッと公表すればいいだろう?」
またまた、そんなことを言ってくる。
運転席の夏目さんも、いつもと違う副社長の様子に気づいたのか、ルームミラー越しから、チラチラと気遣わしげに、こちらを気にかけてくれているようだ。
とうとう見かねた夏目さんが助け舟を出してくれた。
「まぁ、まぁ、要、落ち着けって。
そんなに焦らなくてもいいんじゃねーの?
まだ、アレも解決してないんだしさぁ……。
ほら、美菜ちゃんが困ってるだろう?
それに、美菜ちゃんが入社して、まだやっと二月経ったばっかなんだし。
もうちょっと時間おいてからじゃないと、周りに怪しまれても困るしさぁ……。
美菜ちゃんだって仕事やりにくいだろうし。
だよね? 美菜ちゃん?」
「はいっ! サッスガ夏目さんっ。おっしゃる通りです」
夏目さんのお陰で、漸く、これでなんとかこの場が収まってくれそうだ。
副社長のことを好きになってしまったとはいえ、副社長にとって私は、ただの社員で、道具に過ぎないんだし。
ーーこのまま、なし崩し的に、婚約してしまうのは、やっぱり嫌だ。
それに、せめて、会社でいる時くらいは、そういうことは忘れて、今まで通り、平穏に過ごしていたい。
そう思って、ホッとしてた私の身体が急に、グラリと傾いたかと思えば、
「うるさいっ! 夏目には関係ない。俺は今、美菜と話してるんだ。黙ってろ!
お前も、あんまり俺をイラつかせるな!
何かあると、夏目、夏目って。夏目の言うことは聞けるのに、俺の言うことは聞けないのか? さっきから、俺には楯突いてくるクセに。もう、黙ってろ!」
「あ? そんなに俺と一緒に居るのが嫌なのか?」
副社長は、またこうやって凄んでくるんだけど、ここで、負けるわけにもいかない訳で……。
「……そ、そうじゃなくって。
あの、だって、副社長と私が一緒に出勤って、不自然じゃないですか。
会社の人に見られたりして、色々、変なこと言われたら、副社長に迷惑かかっちゃいますし」
だから副社長の立場を案じて、そう言っているのに……。
「あ? 何が不自然なんだ?
会長への挨拶だって済ませてあるし、ちゃんと筋は通してあるんだ。なんの問題もない。
言いたいヤツには言わせておけばいい。
俺はそんなことイチイチ気にしない」
どういうわけか、今日は、虫の居所でも悪いのか、まだ、そうやってしつこく詰め寄ってくる。
いつもの副社長だったら、煩わしいのが嫌だからか、『勝手にしろ』とだけ言い放つと、あとは、プイッと不機嫌そうに窓の方に向いたまま、黙り込んでしまうだけなのに。
ほとほと堪りかねた私が、
「いや、だって、それは、そうですけど。
やっぱり、仕事に支障が……」
そしたら、今度は、
「だったら、婚約者だってキチッと公表すればいいだろう?」
またまた、そんなことを言ってくる。
運転席の夏目さんも、いつもと違う副社長の様子に気づいたのか、ルームミラー越しから、チラチラと気遣わしげに、こちらを気にかけてくれているようだ。
とうとう見かねた夏目さんが助け舟を出してくれた。
「まぁ、まぁ、要、落ち着けって。
そんなに焦らなくてもいいんじゃねーの?
まだ、アレも解決してないんだしさぁ……。
ほら、美菜ちゃんが困ってるだろう?
それに、美菜ちゃんが入社して、まだやっと二月経ったばっかなんだし。
もうちょっと時間おいてからじゃないと、周りに怪しまれても困るしさぁ……。
美菜ちゃんだって仕事やりにくいだろうし。
だよね? 美菜ちゃん?」
「はいっ! サッスガ夏目さんっ。おっしゃる通りです」
夏目さんのお陰で、漸く、これでなんとかこの場が収まってくれそうだ。
副社長のことを好きになってしまったとはいえ、副社長にとって私は、ただの社員で、道具に過ぎないんだし。
ーーこのまま、なし崩し的に、婚約してしまうのは、やっぱり嫌だ。
それに、せめて、会社でいる時くらいは、そういうことは忘れて、今まで通り、平穏に過ごしていたい。
そう思って、ホッとしてた私の身体が急に、グラリと傾いたかと思えば、
「うるさいっ! 夏目には関係ない。俺は今、美菜と話してるんだ。黙ってろ!
お前も、あんまり俺をイラつかせるな!
何かあると、夏目、夏目って。夏目の言うことは聞けるのに、俺の言うことは聞けないのか? さっきから、俺には楯突いてくるクセに。もう、黙ってろ!」
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