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近づく距離
#1
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奇妙な同居生活をすることになったあの日、自分の副社長への気持ちに気付いてしまった私は、その想いにそっと蓋をして、無かったことにして過ごしている。
……そうでもしていないと、虚しさに押し潰されてしまいそうだからだ。
早いもので、あの日から、そろそろ一ヶ月が過ぎようとしている。
あんなに爽やかだった五月がまるで嘘だったかのように、六月に入った途端に梅雨入りしてしまって。
ジメジメとした鬱陶しい重苦しさの中で、私は、なんとか自分を奮い立たせて色々と踏ん張っているのだった。
そしてあの副社長はといえば、あの日の宣言通りに、二人っきりになると、とっても優しく接してくれているのだが、やっぱりそこは流石の副社長。
私を可愛がっているうちに、何かの拍子に、なにやら可笑しなスイッチが入ってしまうらしく……。
たちまち、怖いくらいに美しい不敵で妖艶な微笑みを浮かべた副社長によって、ありえないほどの猛攻撃を食らった私は、あっという間に、白い世界へと誘《いざなわ》われてしまうのだった。
それは、それは、見事なまでに鮮やかに……。
最近の日課になりつつある、夏目さんと一緒に夕食の支度もなんとか無事に済ませて。
夏目さんが作ってくれた美味しそうで、しかもコジャレタ料理に混じって、お婆ちゃん子の私が作った茶色い料理に、
「美菜の作るものは、いつも地味だな? まぁ、最初の頃より味はマシになったが」
というなんとも微妙な副社長のお言葉にもメゲずに夕食も食べ終えて。
夏目さんとの楽しいお喋りに花を咲かせながら、汚れた食器の後片付けもして。
そんな時に決まって、何故か不機嫌モードの副社長に食後のコーヒーを恐る恐るお出しして。
その後は、書斎に篭るか、バーカウンターで一人物思いに耽《ふけ》る副社長。
そんな副社長と一緒のベッドでの就寝までの間の、ほんの数時間が私にとっての至福の時間となっていて。
今夜も、これまたゴージャスでバブリーなバスルームで、のんびりゆったり過ごすことになっていた筈だったのだが……。
この日は、副社長の気まぐれで、現在私はブクブクと沸き立つように溢れかえる泡《あぶく》に塗《まみ》れながら、バスタブの中で可愛がられているのだった。
「美菜は、本当に、乳首弄られるのが好きだな?」
「んぁあっ…も、…やっ、……だめぇ」
「嫌じゃないだろ? もう、こんなにヌルヌルにして。これも泡か?」
……そうでもしていないと、虚しさに押し潰されてしまいそうだからだ。
早いもので、あの日から、そろそろ一ヶ月が過ぎようとしている。
あんなに爽やかだった五月がまるで嘘だったかのように、六月に入った途端に梅雨入りしてしまって。
ジメジメとした鬱陶しい重苦しさの中で、私は、なんとか自分を奮い立たせて色々と踏ん張っているのだった。
そしてあの副社長はといえば、あの日の宣言通りに、二人っきりになると、とっても優しく接してくれているのだが、やっぱりそこは流石の副社長。
私を可愛がっているうちに、何かの拍子に、なにやら可笑しなスイッチが入ってしまうらしく……。
たちまち、怖いくらいに美しい不敵で妖艶な微笑みを浮かべた副社長によって、ありえないほどの猛攻撃を食らった私は、あっという間に、白い世界へと誘《いざなわ》われてしまうのだった。
それは、それは、見事なまでに鮮やかに……。
最近の日課になりつつある、夏目さんと一緒に夕食の支度もなんとか無事に済ませて。
夏目さんが作ってくれた美味しそうで、しかもコジャレタ料理に混じって、お婆ちゃん子の私が作った茶色い料理に、
「美菜の作るものは、いつも地味だな? まぁ、最初の頃より味はマシになったが」
というなんとも微妙な副社長のお言葉にもメゲずに夕食も食べ終えて。
夏目さんとの楽しいお喋りに花を咲かせながら、汚れた食器の後片付けもして。
そんな時に決まって、何故か不機嫌モードの副社長に食後のコーヒーを恐る恐るお出しして。
その後は、書斎に篭るか、バーカウンターで一人物思いに耽《ふけ》る副社長。
そんな副社長と一緒のベッドでの就寝までの間の、ほんの数時間が私にとっての至福の時間となっていて。
今夜も、これまたゴージャスでバブリーなバスルームで、のんびりゆったり過ごすことになっていた筈だったのだが……。
この日は、副社長の気まぐれで、現在私はブクブクと沸き立つように溢れかえる泡《あぶく》に塗《まみ》れながら、バスタブの中で可愛がられているのだった。
「美菜は、本当に、乳首弄られるのが好きだな?」
「んぁあっ…も、…やっ、……だめぇ」
「嫌じゃないだろ? もう、こんなにヌルヌルにして。これも泡か?」
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