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episoudo:16
#11 ~直樹side~
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そんな俺に、五十嵐も影響されているのか、本当に昔のように普通に話せていることが、なんだかくすぐったくもあり、嬉しくもあり、なんだか変な感じがする。
けれど、それも悪くはない、なんて思ってみたりなんかして……。
そんな時だった、俺に声が掛かったのは。
「松岡さーん。可愛い奥さんと元気なお子さんがお待ちですよー!」
「はいっ! すぐ行きますっ!
……じゃぁ、俺行くわ。奥さんによろしく。じゃっ、おしあわせに。また今度」
「あぁ。お前も、おめでとう。おしあわせに」
……まさか、異父兄弟揃って同じ日に子供が生まれるなんてビックリ仰天だ。
それに、アッチはどうだか知らないが、長い時間がかかってしまったが、やっと友人に戻ることができた気がして、俺は嬉しかった。
これも、愛に出逢うことができて、人との繋がりの大切さを知ることができたお陰だろう……。
心の中で、俺は、また愛に感謝することになった。
俺と愛の元へ舞い降りてきた天使は、本当にちっさくて、触れてしまうのが怖いくらいに儚げで、でも、泣き声はとても元気で力強かった。
このまま、いつまででも、眺めて居られそうなぐらい可愛くて、愛おしい大切なカケガエノナイ存在。
これから、もっともっと頑張って、愛やこの小さな命を守れるように、もっともっと強い自分になりたい、心からそう思った。
穏やかな優しい母親の表情をした愛の腕に包まれた小さな命を見詰めたまんま、父親としての決意を固めていた俺は、きっとまた、泣きそうな表情をしていたのかも知れない。
それに、まだ愛に『ありがとう』の一言しか言えていなかったし。
「……直樹? やっぱり、女の子だったから、ショックだった?」
そんな俺のせいで、どうやら愛のことを不安にさせてしまっていたらしい。
あーあ、俺は、何やってるんだろう……。
ついさっき、この大事なカケガエノナイ二人を守るために強くなりたいって思っていたばかりだというのに……。
どうやら、俺がそうなるにはまだまだ長い道のりになってしまいそうだ。
けど、これから、少しずつ、一歩一歩そうなれるようコツコツ頑張っていくしかないんだよなぁ、全てはこれからだ。
まずは、目の前で心配そうに俺の様子を窺っている愛の不安を取り除いてやらないと……。
そんなことをあれこれ思案していた俺は、愛に向き合って、
「将来のこと考えたらそりゃぁ、ちょっとショックだけどさぁ。愛もこの子も元気でいてくれて凄く嬉しい。それに、俺には、愛が居るだろ?」
愛の瞳を真っ直ぐに見詰めて訊ねれば、「うん」って、嬉しそうに、微塵の躊躇いもなく即答してくれる愛。
――これ以上、幸せなことなんて他にあるのだろうか。
この幸せを守るためなら、俺はなんだってするだろう……。
愛に、俺のこの想いを少しでも伝えたくて……。
そして、もっともっと、強くて頼りがいのある男になるための誓いをたてるためにも……。
「きっとこれから、色んなことがあって、今みたいに愛を不安にさせたりすることがあるかもしれないけど……。俺に、一生かけて守らせてください。大袈裟に聞こえるかもしれないけど、世界で一番、愛のことを愛しています」
愛に向けて言ったものの、すぐに後悔が押し寄せてきて、なんだか居た堪れない気持ちになってきた。
今になって、愛の反応が怖くなったからだ。
けれど、そんな俺の心配は稀有だったようだ。
「直樹、ズルイ。そんなこと言われたら、泣いちゃうでしょう? バカ。けどすっごく嬉しい。私も、世界で一番、直樹が好き」
愛は、涙を零しながら、それでも嬉しそうに微笑みを返してくれるから、それが嬉しくて俺まで泣けてきた。
そんな情けない表情を愛に見られたくはなくて、しばらくの間、愛おしい愛ごと小さな姫を自分のこの腕に包み込んだままでいた。
けれど、それも悪くはない、なんて思ってみたりなんかして……。
そんな時だった、俺に声が掛かったのは。
「松岡さーん。可愛い奥さんと元気なお子さんがお待ちですよー!」
「はいっ! すぐ行きますっ!
……じゃぁ、俺行くわ。奥さんによろしく。じゃっ、おしあわせに。また今度」
「あぁ。お前も、おめでとう。おしあわせに」
……まさか、異父兄弟揃って同じ日に子供が生まれるなんてビックリ仰天だ。
それに、アッチはどうだか知らないが、長い時間がかかってしまったが、やっと友人に戻ることができた気がして、俺は嬉しかった。
これも、愛に出逢うことができて、人との繋がりの大切さを知ることができたお陰だろう……。
心の中で、俺は、また愛に感謝することになった。
俺と愛の元へ舞い降りてきた天使は、本当にちっさくて、触れてしまうのが怖いくらいに儚げで、でも、泣き声はとても元気で力強かった。
このまま、いつまででも、眺めて居られそうなぐらい可愛くて、愛おしい大切なカケガエノナイ存在。
これから、もっともっと頑張って、愛やこの小さな命を守れるように、もっともっと強い自分になりたい、心からそう思った。
穏やかな優しい母親の表情をした愛の腕に包まれた小さな命を見詰めたまんま、父親としての決意を固めていた俺は、きっとまた、泣きそうな表情をしていたのかも知れない。
それに、まだ愛に『ありがとう』の一言しか言えていなかったし。
「……直樹? やっぱり、女の子だったから、ショックだった?」
そんな俺のせいで、どうやら愛のことを不安にさせてしまっていたらしい。
あーあ、俺は、何やってるんだろう……。
ついさっき、この大事なカケガエノナイ二人を守るために強くなりたいって思っていたばかりだというのに……。
どうやら、俺がそうなるにはまだまだ長い道のりになってしまいそうだ。
けど、これから、少しずつ、一歩一歩そうなれるようコツコツ頑張っていくしかないんだよなぁ、全てはこれからだ。
まずは、目の前で心配そうに俺の様子を窺っている愛の不安を取り除いてやらないと……。
そんなことをあれこれ思案していた俺は、愛に向き合って、
「将来のこと考えたらそりゃぁ、ちょっとショックだけどさぁ。愛もこの子も元気でいてくれて凄く嬉しい。それに、俺には、愛が居るだろ?」
愛の瞳を真っ直ぐに見詰めて訊ねれば、「うん」って、嬉しそうに、微塵の躊躇いもなく即答してくれる愛。
――これ以上、幸せなことなんて他にあるのだろうか。
この幸せを守るためなら、俺はなんだってするだろう……。
愛に、俺のこの想いを少しでも伝えたくて……。
そして、もっともっと、強くて頼りがいのある男になるための誓いをたてるためにも……。
「きっとこれから、色んなことがあって、今みたいに愛を不安にさせたりすることがあるかもしれないけど……。俺に、一生かけて守らせてください。大袈裟に聞こえるかもしれないけど、世界で一番、愛のことを愛しています」
愛に向けて言ったものの、すぐに後悔が押し寄せてきて、なんだか居た堪れない気持ちになってきた。
今になって、愛の反応が怖くなったからだ。
けれど、そんな俺の心配は稀有だったようだ。
「直樹、ズルイ。そんなこと言われたら、泣いちゃうでしょう? バカ。けどすっごく嬉しい。私も、世界で一番、直樹が好き」
愛は、涙を零しながら、それでも嬉しそうに微笑みを返してくれるから、それが嬉しくて俺まで泣けてきた。
そんな情けない表情を愛に見られたくはなくて、しばらくの間、愛おしい愛ごと小さな姫を自分のこの腕に包み込んだままでいた。
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