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episoudo:11
#5
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途端に、爽やかな休日の朝には似つかわしくないような、その余りの痛々しい……
チャラ男が漏らした悲痛な色に、部屋の空気までもが、暗く……重く……圧し掛かってくるようで……。
ーー『身代わり』
その言葉を耳にするだけで、何とも言えない切なさと、喉に何かが詰まったような息苦しさに、何もかも全てを呑み込まれてしまいそうだ。
また、昨夜みたいに、自分を見失ってしまいそうになる。
――直樹のことを疑ってしまいそうになる。
けど、きっとそうじゃない。
ううん、絶対そうじゃない。
直樹は、私の知る誰よりも、強引で、暑苦しいほど情熱的で。
バカが付くほど真っ直ぐで、誰かに嘘をつくなんてことできる人じゃない。
ましてや、私を芽衣さんの身代わりになんかできるはずがない。
入社以来、直樹の傍でずっと直樹のことを見てきたからよく解る。
それは、きっと、チャラ男も一緒だと思う。
口では、軽いこと言って、直樹によく説教されてるチャラ男だけれど。
小さい頃から直樹によく懐いてて、いつも後を追ってたらしいチャラ男には解っているはずだ。
私がいけないんだ。
昨夜、自分を見失ってあんなこと言っちゃったから。
なんとか、早くチャラ男の誤解を解かないと……。
私は、目的を果たすためにも。
まるで、自分が泣き崩れたりしないように、私の身体に縋りつくように抱き着いているチャラ男に向けて、しっかりと照準を合わせたのだった。
勢いをつけて、俯いてた顔をガバリと上げた私は、チャラ男の苦しそうに歪められた顔目掛けて真っ直ぐに、強く揺るぎない想いを込めた視線を投げつけた。
漸く、いつものような勢いを取り戻した私は、チャラ男のことを射るようにして見据えたまま、
「違うっ、違うのっ! 日下先輩から、この春まで直樹の部下だった人のこと、色々聞かされてて……。その人を、直樹が親友と取り合ったって聞いたから、気になってしょうがなくって。……私、芽衣さんみたいに可愛くないし、自信がなかったから……。昨夜、直樹に、そのこと聞いたら、直樹、ビックリして、なんにも言わないから。直樹に身代わりにされたって思い込んで……。
きっと、私が急にそんなこと言っちゃったから、ビックリしたんだと思う。だから……私が、悪いの。勝手に勘違いしてただけなのっ!」
チャラ男に伝えたいことの全てを言い放ったのだった。
まさか、チャラ男の口から……
とんでもないものが容赦なく放たれるなんて思いもせずに……。
チャラ男から返事が返ってきたのは、私が言い終わってすぐのことだった。
言い終えた私が、『ふう』と小さな息をついた瞬間。
つい……さっきまで、私の身体に、まるで縋るようにして、抱きついてた筈の痛々しい程に見えてたチャラ男が。
形勢逆転とばかりに……
コイツ、今更、何を言ってんだって言うような視線を向けて、私の両肩をグイッと強く揺さぶるように掴んできたと思ったら。
まるで、逃さないと言うように、犯罪者の取り調べのような口調で、
「……じゃぁ、聞くけど。なんで、お前の携帯に返事がねーんだよ?」
遠慮無く痛いところを鋭く突いてきた。
深く考えないようにしてたことを、こうやって、そう、ハッキリと、第三者から言われてしまうと。
せっかく取り戻してた自分を見失ってしまいそうで。
ーータチマチ怖くなる……。
「……そ、それは、…なんか、事情が…」
さっきまでの勢いなんてどこへやら。
また、いつもの勢いを失ってしまった私は、チャラ男に掴まれた両肩もそのままに、情けない顔を、これ以上見られないように極限まで顔を伏せ、ただ下を見つめることしかできなくて……。
そんな私に、尚も残酷なモノがチャラ男の口から飛び出して来るのだった。
チャラ男が漏らした悲痛な色に、部屋の空気までもが、暗く……重く……圧し掛かってくるようで……。
ーー『身代わり』
その言葉を耳にするだけで、何とも言えない切なさと、喉に何かが詰まったような息苦しさに、何もかも全てを呑み込まれてしまいそうだ。
また、昨夜みたいに、自分を見失ってしまいそうになる。
――直樹のことを疑ってしまいそうになる。
けど、きっとそうじゃない。
ううん、絶対そうじゃない。
直樹は、私の知る誰よりも、強引で、暑苦しいほど情熱的で。
バカが付くほど真っ直ぐで、誰かに嘘をつくなんてことできる人じゃない。
ましてや、私を芽衣さんの身代わりになんかできるはずがない。
入社以来、直樹の傍でずっと直樹のことを見てきたからよく解る。
それは、きっと、チャラ男も一緒だと思う。
口では、軽いこと言って、直樹によく説教されてるチャラ男だけれど。
小さい頃から直樹によく懐いてて、いつも後を追ってたらしいチャラ男には解っているはずだ。
私がいけないんだ。
昨夜、自分を見失ってあんなこと言っちゃったから。
なんとか、早くチャラ男の誤解を解かないと……。
私は、目的を果たすためにも。
まるで、自分が泣き崩れたりしないように、私の身体に縋りつくように抱き着いているチャラ男に向けて、しっかりと照準を合わせたのだった。
勢いをつけて、俯いてた顔をガバリと上げた私は、チャラ男の苦しそうに歪められた顔目掛けて真っ直ぐに、強く揺るぎない想いを込めた視線を投げつけた。
漸く、いつものような勢いを取り戻した私は、チャラ男のことを射るようにして見据えたまま、
「違うっ、違うのっ! 日下先輩から、この春まで直樹の部下だった人のこと、色々聞かされてて……。その人を、直樹が親友と取り合ったって聞いたから、気になってしょうがなくって。……私、芽衣さんみたいに可愛くないし、自信がなかったから……。昨夜、直樹に、そのこと聞いたら、直樹、ビックリして、なんにも言わないから。直樹に身代わりにされたって思い込んで……。
きっと、私が急にそんなこと言っちゃったから、ビックリしたんだと思う。だから……私が、悪いの。勝手に勘違いしてただけなのっ!」
チャラ男に伝えたいことの全てを言い放ったのだった。
まさか、チャラ男の口から……
とんでもないものが容赦なく放たれるなんて思いもせずに……。
チャラ男から返事が返ってきたのは、私が言い終わってすぐのことだった。
言い終えた私が、『ふう』と小さな息をついた瞬間。
つい……さっきまで、私の身体に、まるで縋るようにして、抱きついてた筈の痛々しい程に見えてたチャラ男が。
形勢逆転とばかりに……
コイツ、今更、何を言ってんだって言うような視線を向けて、私の両肩をグイッと強く揺さぶるように掴んできたと思ったら。
まるで、逃さないと言うように、犯罪者の取り調べのような口調で、
「……じゃぁ、聞くけど。なんで、お前の携帯に返事がねーんだよ?」
遠慮無く痛いところを鋭く突いてきた。
深く考えないようにしてたことを、こうやって、そう、ハッキリと、第三者から言われてしまうと。
せっかく取り戻してた自分を見失ってしまいそうで。
ーータチマチ怖くなる……。
「……そ、それは、…なんか、事情が…」
さっきまでの勢いなんてどこへやら。
また、いつもの勢いを失ってしまった私は、チャラ男に掴まれた両肩もそのままに、情けない顔を、これ以上見られないように極限まで顔を伏せ、ただ下を見つめることしかできなくて……。
そんな私に、尚も残酷なモノがチャラ男の口から飛び出して来るのだった。
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