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episoudo:9
#7
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強引に言い放った俺の言葉に。
一瞬、時間でも止まったんじゃねぇのかって錯覚してしまうほど。
急に電池が切れたようにピクリとも動かなくなってしまった愛。
そんな愛の様子に、一体何が起こったんだって感じで見守ることしかできずにいる俺。
二人ともまだ素っ裸だし、なんとも間抜けで可笑しな光景だ。
そんなことをボンヤリ考えてた俺の顔を、愛がイキナリ凄い勢いで振り返ってきたかと思えば。
少し前まで、あんなにポロポロ零してた涙なんかどこへやら、またまたキッつい視線で突き刺すように睨みつけてきた。
まるで、強引に言い放った俺に対抗するかのように……。
さっきの勢いとは比べもんになんないようなものすんごい勢いで。
「バッカじゃないのっ!? 一生って、プロポーズみたいなこと言って……。なんでもかんでも強引に言えば男らしいとか思ってんの!? ふざけんなっ! そんなこと言われたからって、女が誰でも喜ぶと思ったら大間違いなんだからっ!
もう、ヤダっ! 放してっ!」
俺の言うことなんか……
なんにもに聞き入れたりしないって言うように。
小気味いいくらいの啖呵を切って、ピシャリと跳ね返してきやがった。
けれど、俺は、愛の機嫌が取りたいからって、ただ勢いに任せて言った訳じゃない……。
6つ年下で、まだ23にも満たない愛に、しかも付き合ってすぐに言って怒らした前例だってあって。
それ以来、ちゃんと口に出して言えなかっただけで、俺の中では至って真剣に考えていたことなんだし。
そんなふうに軽く取られちゃ堪んねぇよ――。
勢いづいて聞く耳を持たない愛に、とうとうカチンときてしまった俺の頭をまるで冷やすようにして。
絶妙なタイミングで、愛から可愛いクシャミが放たれたのだった。
「クシュンッ!!」
滑稽なまでに愛にベタボレで、完全に骨抜きにされちまってる俺は、愛に風邪なんかひかせたくねぇってだけで、カチンときていた筈の気持ちを無理やりどっかへ押しやった。
そして、少しでも早く風呂からあがるために、相も変わらず俺の腕の中でジタバタ暴れる愛の身体を、無理やり強引に肩に背負うようにして担ぎ上げた。
当然、可愛いクシャミをした愛は、
「ちょっとー! なんで担がれなきゃなんないのよっ! ヤダっ、放してよっ! ヤダって言ってんでしょー!? ねぇ、ちょっと、直樹! 聞こえないのっ!?」
まだ興奮冷めやらずって感じで喚くし、手脚をバタバタとさせて暴れまくるもんだから。
とてもじゃないが、このままじゃ危なくて運べやしない。
そんな、思い通りになんねぇ苛立ちと。
自分の愛に対する真剣な想いを愛にちゃんと伝えることもできず、軽く受け流されてしまったことに対しての憤りやなんやかんやのせいで。
俺の頭ん中は色んな感情でグチャグチャになってしまっていた。
いくら、愛が俺のことを好きでいてくれてるって、ついさっき愛の口から聞いたとしても、それで気を良くして強引なことを言ったとしても……。
それは、愛が俺のことを受け止めてくれるからであって。
いくら正式なものでないとはいえ、食らってしまったダメージはかなりのもんだったようだ……。
「もたもたしてたら風邪ひくし、落とされたくなかったら、バタバタ暴れんなっ! お前女だろ? ちょっとは大人しくしてろよっ!」
そのせいか、俺が愛に放ったものは、思いのほか抑揚のない冷たい口調でキツい言葉になってしまっていた。
言ってしまった後で、しまったと思ってしまうくらい、自分でも驚いちまうくらいのもんだった……。
一瞬、時間でも止まったんじゃねぇのかって錯覚してしまうほど。
急に電池が切れたようにピクリとも動かなくなってしまった愛。
そんな愛の様子に、一体何が起こったんだって感じで見守ることしかできずにいる俺。
二人ともまだ素っ裸だし、なんとも間抜けで可笑しな光景だ。
そんなことをボンヤリ考えてた俺の顔を、愛がイキナリ凄い勢いで振り返ってきたかと思えば。
少し前まで、あんなにポロポロ零してた涙なんかどこへやら、またまたキッつい視線で突き刺すように睨みつけてきた。
まるで、強引に言い放った俺に対抗するかのように……。
さっきの勢いとは比べもんになんないようなものすんごい勢いで。
「バッカじゃないのっ!? 一生って、プロポーズみたいなこと言って……。なんでもかんでも強引に言えば男らしいとか思ってんの!? ふざけんなっ! そんなこと言われたからって、女が誰でも喜ぶと思ったら大間違いなんだからっ!
もう、ヤダっ! 放してっ!」
俺の言うことなんか……
なんにもに聞き入れたりしないって言うように。
小気味いいくらいの啖呵を切って、ピシャリと跳ね返してきやがった。
けれど、俺は、愛の機嫌が取りたいからって、ただ勢いに任せて言った訳じゃない……。
6つ年下で、まだ23にも満たない愛に、しかも付き合ってすぐに言って怒らした前例だってあって。
それ以来、ちゃんと口に出して言えなかっただけで、俺の中では至って真剣に考えていたことなんだし。
そんなふうに軽く取られちゃ堪んねぇよ――。
勢いづいて聞く耳を持たない愛に、とうとうカチンときてしまった俺の頭をまるで冷やすようにして。
絶妙なタイミングで、愛から可愛いクシャミが放たれたのだった。
「クシュンッ!!」
滑稽なまでに愛にベタボレで、完全に骨抜きにされちまってる俺は、愛に風邪なんかひかせたくねぇってだけで、カチンときていた筈の気持ちを無理やりどっかへ押しやった。
そして、少しでも早く風呂からあがるために、相も変わらず俺の腕の中でジタバタ暴れる愛の身体を、無理やり強引に肩に背負うようにして担ぎ上げた。
当然、可愛いクシャミをした愛は、
「ちょっとー! なんで担がれなきゃなんないのよっ! ヤダっ、放してよっ! ヤダって言ってんでしょー!? ねぇ、ちょっと、直樹! 聞こえないのっ!?」
まだ興奮冷めやらずって感じで喚くし、手脚をバタバタとさせて暴れまくるもんだから。
とてもじゃないが、このままじゃ危なくて運べやしない。
そんな、思い通りになんねぇ苛立ちと。
自分の愛に対する真剣な想いを愛にちゃんと伝えることもできず、軽く受け流されてしまったことに対しての憤りやなんやかんやのせいで。
俺の頭ん中は色んな感情でグチャグチャになってしまっていた。
いくら、愛が俺のことを好きでいてくれてるって、ついさっき愛の口から聞いたとしても、それで気を良くして強引なことを言ったとしても……。
それは、愛が俺のことを受け止めてくれるからであって。
いくら正式なものでないとはいえ、食らってしまったダメージはかなりのもんだったようだ……。
「もたもたしてたら風邪ひくし、落とされたくなかったら、バタバタ暴れんなっ! お前女だろ? ちょっとは大人しくしてろよっ!」
そのせいか、俺が愛に放ったものは、思いのほか抑揚のない冷たい口調でキツい言葉になってしまっていた。
言ってしまった後で、しまったと思ってしまうくらい、自分でも驚いちまうくらいのもんだった……。
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