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はじまりの夜 #5 ✱
しおりを挟む「ううん、全然痛くない。圭のものになれたっていう『証』だもん。すっごく嬉しい。もっと一杯つけて欲しいくらい」
そんな想いで放った言葉に対して圭からは、悩ましがな吐息と一緒に、
「またそうやって俺のことを煽る。もうどうなっても知らねーからな」
どこか投げやりな言葉が返ってきた。
けれど言葉とは裏腹に圭が私のことを大事に扱ってくれることを知っている。
どんなに我を忘れようとも、ぞんざいに扱われたことなど一度もない。
「うん、いいよ」
なんの躊躇も戸惑いもなく即答を返した。
そんな私に対して苦笑交じりの笑みを零した圭が宣言してそうっとのしかかってくる。
「わかった。今夜は初夜だから目一杯可愛がってやる」
今一度すべてを委ねるように瞳を閉じれば、それが合図だったかのようにそうっと優しく唇を奪われていた。
キスを交わしながら胸の膨らみをやわやわと揉みしだかれる。
「んぅ……あっ……ふぅん」
甘やかな愉悦のせいで思考が徐々にぼやけていく。
唇の隙間からは、甘ったるい嬌声が溢れてしまう。
隙なく重なり合った身体には、互いの汗や体液がまとわりついている。
身動ぎするたびに、圭の誇張した昂りが熱く蕩けた蜜口や熟れた粒を掠めることで愉悦が生じてしまう。
ーー早く満たして欲しい。
そういって請うてでもいるかのように、自ら腰を擦りつけてしまう。
それを、『そんなに焦るなよ』と宥めるように圭がキスな合間に後頭部を優しく撫でる。
焦らされているようで内心ムッとしていると、唇を解放された。
そこへチュッとこめかみにキスを落とした圭が、
「俺の奥さんはずいぶんとせっかちだな。そんなに欲しいのか?」
情事限定で発動させる意地悪な言葉で問いかけてくる。
ーーもう、なんど言わせたら気が済むのよ!
内心ではそう思うけれど、そんなことを返すような余裕などない。
「うん、今すぐ、欲しい」
圭の背中に縋りつつ声を紡げば、満足そうに笑みを浮かべた圭が、「俺も」そう言ってきたと同時。
秘裂を往き来していた昂りをグリグリと最奥めがけて一息に捩じ込まれていた。
急激に蜜洞を押し開くように熱杭を穿たれた圧迫感に息が詰まる。
「あぁッ……んんーーッ!?」
はくはくと喘いでいると胸の膨らみを捉えた圭の掌が、熟れた尖りを円を描くように捏ねくり始めた。
そうしてもう片方の胸の膨らみの先端に狙いを定め食らいついてくる。
熱い舌で嬲るように尖りを何度も転がし弄ぶ。
途端に甘やかな愉悦に見舞われ、私は跳ねるように喉を仰け反らした。
圧迫感に喘いでいた蜜洞には、最奥から新たに生じた愛蜜が次々に溢れてくる。
そのせいか、さっきまでのものとは比較にならない強烈な愉悦が大きな波となって押し寄せてくる。
最早、どこが気持ちいいかもわからないほど、至るところが気持ちいい。
圭の広い背中に必死になって縋っていることしかできないでいた。
圭は興奮状態で一心不乱に怒濤の抽挿を繰り出し続けている。
時折、煩わしげに髪を手で掻き上げている際に汗がボトボトと降ってくる。
その汗さえも愛おしいと思ってしまう。
次々に生じてくる強烈な愉悦に塗れ、ぼんやりとした眼で圭の姿に魅入っていた。
やがて愛おしそうに私の胸元に顔を埋めたまま、最奥にある子宮口の入り口を雁首でノックするように穿ち始める。
切羽詰まったその様子から、終わりが近いことが窺える。
私は圭の頭を包み込むようにして抱えることで強烈な愉悦を堪えしのいでいた。
そろそろキスが恋しくなってきた頃、圭が私の胸元から顔を上げ、私のことを欲情の熱を宿した熱い眼差しで見つめてくる。
匂い立つような妖艶な色香を纏った様に魅入られていると、唇を奪われ、熱烈なキスをお見舞いされた。
「……んぅ……んんッ~~」
くちゅくちゅと水音が響く中、乱れた呼吸と互いの唾液のせいで酸欠になりそうだ。
頭がクラクラとしてきて思考が覚束ない。
いよいよ余裕がないのか、キスを解き悩ましげに呻いた圭の律動が一層の激しさを増す。
「……はぁ……はぁ……ぐ、ぁッ」
強烈な快感が大きな波どころか、津波のように押し寄せる。
そんなタイミングで圭が雁首の括れギリギリまで自身の肉棒をズルリと引き抜いた。
そうして間髪開けずに、熱く滾って剛直と化した昂りを根元まで一気に叩きつけるようにしてバチュンと腰を打ち付け。
「……りんッ……り、ん……りんッ」
余裕なく切羽詰まった声で私の名を幾度も幾度も譫言のように繰り返す。
「んっ……やっ……は、ぁああーーんッ!?」
瞬間、強烈な愉悦の津波に浚われ達した私の膣内で、胴震いする圭の陰茎が暴れるように打ち震え、熱く迸る精を放つ。
生き物のようにドクドクと脈動し続ける感触を直に感じつつ、達した私は四肢を痙攣させていた。
互いの結合部は、交じり合った互いの体液が泡だって白濁したもので溢れかえっている。
終わったことを物語っているけど、離れたくない。このままずっとずっと圭とくっついていたいと思ってしまう。
あたかも同じ思いでいるというように、さっきまで胴震いしていた圭に、より一層強い力でぎゅうぎゅうに抱き竦められ。
「鈴、愛してる。死んでも離さない。俺だけのものだ」
圭の情熱的な声を感じつつ、達した余韻とふわふわとした幸せな微睡みの中、いつしか私の意識はゆっくりと途絶えていったのだった。
そうして数十分後、次に意識を取り戻したときにも、私の身体はさも当然のことのように圭の腕によりとっても大事そうに包み込んでくれていて。
「鈴、無理させて悪かった。身体きつくないか?」
いつものように、不安げな表現で謝罪してきた圭により優しく気遣ってもらい。
「ううん。全然、平気。圭とまだまだくっついてたいんだもん」
途端に気を良くしてしまう私は、これまたいつものように、性懲りもなくそう返し、結局は、恐ろしくタフで絶倫の圭のことをその気にさせてしまうのだった。
この調子だと、リゾートホテルに滞在する三日間は昼夜関係なく、ベッドの上で過ごす羽目になりそうだ。
ーーでも新婚ホヤホヤなんだし、それも悪くはないかも。
そう思ってしまう私は、この三年の間、圭のゴッドハンドにより、身も心もスッカリ圭色に染められているに違いない。
圭との甘やかなキスの合間にふとそんなことを思ってしまった私は、
『こら、集中しろ』
とでもいうように、深くて熱い大人のキスを仕掛けてきた圭により、身も心もとろっとろに蕩かされ骨抜きにされることとなったのだった。
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