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久方ぶりの甘い夜 #2 ✱

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 否、一瞬でも意識が途切れてくれた方が良かったかもしれない。

 そうすれば、一時の間でも、羞恥を感じずに済んだのだから。

 そう思ってしまうくらい、一ヶ月ぶりの情交に加えて、プロポーズ直後の気持ちの昂りが影響していたのだろう。

 窪塚による攻め立てはいつにも増して凶暴さを孕んでいた。

 ……私がそう感じてしまうのも、久方ぶりだからかもしれないけれど、兎にも角にも、窪塚はこれまで以上のドSっぷりを遺憾なく発揮していたように思う。

 飢えた獣のように胸の突起ばかりを嬲り続ける窪塚の容赦ない愛撫に、羞恥と甘すぎる強烈な快感に身悶える私のことを窪塚は見据えて、ジッと熱い視線を注いだままでいる。

 あたかも自分の愛撫により腕の中で身悶え乱れに乱れていた私の痴態の一部始終を目に焼き付けるかのように。

 窪塚のその様子からは、私の微かな機微さえも逃さないというような徹底した気概がひしひしと伝わってくる。

 なんとか視線から逃れたい一心で切れ切れに声を放つも。

「////……やぁ……だッ……み、ないッーーや、ぁあんっ」

 窪塚は、欲情にまみれた熱い眼差しを注いだままで、どこか妖艶さと鋭さを思わせる微笑を零すと、いつしか胸を愛撫していたはずの窪塚の右手が下腹部をまさぐっていた。

 ワンピースの裾を割って侵入した窪塚の指先は、薄い茂みを掻き分けすぐにお目当ての場所に這わされていて、下着越しに厭らしい手つきで秘裂を撫で上げる。

 その瞬間、ゾクゾクとした戦慄が背筋に走り、下腹部の奥がキューンと切なく疼く感触がして。

 ーー一刻も早く触れて欲しい。もっともっと奥深くまでその指で掻き混ぜて欲しい。昂ぶりで一杯突いて満たして欲しい。

 心と身体がそう訴えかけてくる。

 理性が欲望に傾きかける寸前、私の胸から僅かに唇を浮かせた窪塚の意地の悪い声音が放たれ、羞恥心をことごとく煽ってくる。

「見ないでって言う割にはすっげー濡れてんじゃん。本当は視姦されんの好きなんじゃねーの? 鈴ちゃん、やらし~」

 僅かに踏みとどまっていた理性がストッパーとなり、意地悪な窪塚にいつもの調子で反撃を返したのだが。

「……ちっ、ちがーー」
「ーーへぇ、こんなになってんのに? じゃあ、もっと鈴のこっちの口もぐちゃぐちゃにして、俺のことを欲しいって、素直に言えるくらい一杯苛めてやんねーとな」
「ーーあっ、や、んんぅーーッ!?」

 言い終えないうちに言葉を遮られた上に、下着をずらした僅かな隙から忍ばされた指を根元まで一気に泥濘んだ秘裂にズブズブと穿たれ、わざと、ぐちゅっ、グチャッ、と淫猥な水音を立てられてしまう。

 そして窪塚は、これまで以上に意地の悪さが増した言葉攻めも欠かさない。

 この二年という交際期間で、本人である私よりも、私の身体の何もかもすべてを知り尽くしている窪塚のゴッドハンドと唇によって、容赦なく攻め立てられてしまっては、私の反撃など、何の意味もなさないのだった。

 窪塚の腕の中で、揺らめく素肌の胸を曝け出し、窪塚の熱い唇と蠢く舌とで、胸の尖りを吸い尽くされ嬲り倒され。

 長く節くれだった指では、夥しい蜜で溢れかえった蜜洞で蠕動する媚壁を絶えず引っ掻き攪拌されて……。

 混沌と白んだ意識のなか、窪塚の首に両の腕を絡ませ必死にしがみついたままでいる私は、髪を振り乱し、身体を踊るようにくねらせ、甘く艶めいた嬌声を放つことしかできないでいる。

 もうここがリビングダイニングのソファだとか、照明の煌々とした灯りが降り注いでいるだとか、そういうことを気にしているような余裕など完全に霧散してしまっているのだった。

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