上 下
107 / 109
#9 純愛ラプソディ。

#18

しおりを挟む
 ただただ窪塚の逞しい腕の中で、必死になって背中にしがみついていることしかできない。

 そんな私のことを激しく揺さぶるようにして、興奮状態の窪塚が突き上げてきて、次々に襲いくる凄まじい快感に身悶えつつ声の限りに喘がされている。

「あっ……はぁ、んぅッ……」

 今にも狂ってしまいそうなほどに気持ちいい。

 少しでも気を抜けば、綺麗サッパリ意識を手放してしまいそうだ。

 そうこうしているうち、眼前にチカチカと閃光がチラつき始めた。

 それに伴い、意識が薄ぼんやりと白んでいく。

 そろそろ終わりが近づいているようだ。

 もう、終わっちゃうんだ。嫌だな。

 このままもっともっと窪塚のことを近くで感じていたいな。

 もういっそ、このまま窪塚と一緒に溶け合ってひとつになれたらいいのに。

 窪塚の逞しい腕の中で、言いようのない寂しさと名残惜しさを感じつつ、私は強烈な快感に翻弄されていた。

 そしてふと気づくのだ。

 もしかしたら、あの、『なんだ、思ってたより早かったね』発言は、こういう気持ちの表れだったんじゃないのかと。

 自分では気づいていなかっただけで、ずっと窪塚のことを好きだった訳だし。

 そういう心情から、無意識に放った言葉だったと考えた方がしっくりくる。

 といっても、記憶が残っていないので、確証など持てはしないのだが。

 それにしても、処女のクセに、そんなこと言ってたなんて、私ってば、もう、本当に呆れてしまう。

 でも、どうせ恥ずかしい想いをするんだったら、あの夜のことだけは、ちゃんと覚えておきたかったな。

 何かのきっかけで、思い出せればいいのに。

 恐ろしくタフで絶倫な窪塚によって繰り出される強烈な快感のお陰で、夢うつつ状態の私は、いつしかそんなことを思っていた。

 すると、私のことを欲望にまみれた獣と化してしまっている窪塚がぎゅうぎゅうに抱きしめてきて。

「……鈴のナカ、気持ちよすぎてヤバいッ」

 やっぱり余裕なく、そんなことを言ってきて、窪塚は私のことをそのままベッドに押し倒し、覆い被さるようにしてのしかかってくる。

 そうして、独り言ちるように呟きを落とした。

「これなら、まだ保ちそうだ」

 余裕がないなら、私もソロソロ限界だし、無理せずそのまま終わってくれてもいいのに。

 でもきっと、あの夜の私の発言が今も引っかかっているからなんだろうな。

 窪塚の呟きを拾った私が、考えに耽っていた刹那。

 窪塚が私の胸元に顔を埋めてきて、尚もぎゅぎゅっと抱きついてきた。

 どうやらこのままなんとか達してしまわないように耐えしのごうという算段のようだ。

 蕩けた頭でそんなことを思っていると、窪塚が胸の膨らみを両手で鷲掴んできて、熟れて敏感になっている乳首にむしゃぶりついてきた。

 一瞬、意識が途絶えそうなほどの衝撃波と快感とに見舞われ、身体が大きく跳ね上がる。

 けれど息をつく暇も与えないというように、腰を引いた窪塚が滾りに滾って、もはや剛直と化した肉棒で膣壁を抉るようにズブズブと激しく攻め立ててくる。

「ーーあっ、ヤッ、あああぁんッ!?」

 一際大きな快感の波に一気に頂点まで押し上げられてしまった私は、今日一番の高い嬌声を放ってしまっていた。

 自分の放った嬌声を意識の片隅で捉えつつ、私の身体を力強く抱き込んだ窪塚が胴震いしながら激しく吐精する感覚に尚も感じ入る。

 痙攣した身体がふわふわしていて、このままぷかぷかと浮遊して、今にも昇天してしまいそうだ。

 そんななんとも幸せな心地のなか私は意識を手放してしまうのだった。

 ハッキリと覚えてないが、数分ほど意識を手放してしまっていたらしい。

 その時に、完全になくしてしたと思っていたあの夜の記憶の断片を思い出していたようだ。

 というより、記憶の断片を映像としてチラッとだけ垣間見たと言った方が正しいかもしれない。


✧✦✧


『鈴、好きだ。りんッ……りん』

 つい今しがた、私が絶頂を迎える寸前と同じように、映像の中の窪塚は、一心不乱に激しい抽挿を繰り出していた。

 そして熱に浮かされたように私の名前と愛を紡ぎ出している。

 それに対して私は、窪塚の腕の中で背中に腕を回して、必死にしがみついていたようだ。

 そんな私のことを余裕がないながらも、やっぱり窪塚は気遣わしげに、私の顔や身体に優しい甘やかな口づけを降らし続けていたようだった。


✧✦✧


 窪塚がちゃんと好きだと言ってくれていたこともそうだが。

 その時に、無数のキスの雨を降らせていたはずの痕跡が、一つとして残っていなかったことにも驚いた。

 おそらく、窪塚のことを嫌っていた私のことを気遣ってのことだったのだろう。

 窪塚のことだから、私とこうして想いが通じ合っていなかったら、ずっとそのまま本当のことは話さずにいたかもしれない。

 否、絶対にそうしていたに違いない。

 そんなにも想っていてくれたんだと、嬉しい反面。

 窪塚の心情を想うと、胸が締め付けられる心地がする。

 なんとかすぐに意識を取り戻せたものの、あの夜の記憶の断片のせいで、また後悔の念に囚われそうになっていた。

 そこに、窪塚のとても心配そうな声音が意識に割り込んできて。

「鈴……」

 その声でようやく現実世界に引き戻されることになった。

 声に導かれた私が目を向けると、声音同様に不安にくれる窪塚の端正な顔が視界に映し出された、その瞬間。

 感極まってしまった私は窪塚の胸にぎゅっと抱きついてしまっていた。

 そんな私のことを逞しい腕にふわりと包み込むようにして抱きしめてくれた窪塚は、まるで全部理解してくれているかように、黙って背中を擦ってくれている。

 実際には、達した直後なので、身体を気遣ってくれているのだろう。

 窪塚はいつもいつも私のことを優先してくれていた。

 こうやってこれまでのことを想い返すたびに、窪塚の想いに気づかされる。

 これからだってきっとそうに違いない。

 そのたびに、窪塚のことをもっともっと好きになっていくんだろう。

 私がそうであるように、窪塚にとってもそうでありたい。

 だからもう絶対に後悔なんてしない。

 あの夜があったお陰で、今こうして窪塚と一緒にいられるのだから。

 再び後悔の念に囚われそうだったけど、窪塚のお陰で、軌道修正することができた。

 私は、もう前だけを見据えるために、今一度、一歩踏み出すつもりで声を紡いだ。

「もう、そんなに心配しなくても平気だってばッ。ほら、この通り。ね?」

「否、けど、俺、理性見失ってたし。本当に大丈夫なのか?」

 ようやく想いが通じ合えた窪塚と身も心も固い絆で結ばれてーーこの幸せをまだまだ一緒に分かちあっていたい。

 その想いに突き動かされて、お強請りを炸裂させれば……。

「多少は怠いけど、大丈夫だってば。そんなことより、まだまだ窪塚のこと傍で感じてたいの。だからお願い。ね?」

「そんな可愛いお強請りされたら、ヤバいだろ」

「ーーええッ!? うっそ。復活、早すぎない?」

「鈴が可愛いことばっか言ってくるからだろ。こんなにも俺のこと煽ったんだからさ、ちゃんと責任とってくれねーと」

「////……えっ、あっ……ひゃんッ!?」

 私の想いが通じたのか、窪塚の分身が驚異的な復活を遂げてしまった。

 同時に、窪塚もヤル気を漲らせているようだ。

 どうやら恋から愛へと進化を遂げた私と窪塚の互いを想い合う気持ちには、途轍もないパワーを秘めているらしい。

 そんな私と窪塚の甘やかなひと時は、まだまだはじまったばかりのようだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

イケメンエリート軍団の籠の中

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 唯一の女子、受付兼秘書係が定年退職となり 女子社員募集要項がネットを賑わした 1名の採用に300人以上が殺到する 松村舞衣(24歳) 友達につき合って応募しただけなのに 何故かその超難関を突破する 凪さん、映司さん、謙人さん、 トオルさん、ジャスティン イケメンでエリートで華麗なる超一流の人々 でも、なんか、なんだか、息苦しい~~ イケメンエリート軍団の鳥かごの中に 私、飼われてしまったみたい… 「俺がお前に極上の恋愛を教えてやる 他の奴とか? そんなの無視すればいいんだよ」

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【R18】エリートビジネスマンの裏の顔

白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます​─​──​。 私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。 同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが…… この生活に果たして救いはあるのか。 ※サムネにAI生成画像を使用しています

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜

湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」 30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。 一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。 「ねぇ。酔っちゃったの……… ………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」 一夜のアバンチュールの筈だった。 運命とは時に残酷で甘い……… 羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。 覗いて行きませんか? ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ・R18の話には※をつけます。 ・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。 ・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。

副社長氏の一途な恋~執心が結んだ授かり婚~

真木
恋愛
相原麻衣子は、冷たく見えて情に厚い。彼女がいつも衝突ばかりしている、同期の「副社長氏」反田晃を想っているのは秘密だ。麻衣子はある日、晃と一夜を過ごした後、姿をくらます。数年後、晃はミス・アイハラという女性が小さな男の子の手を引いて暮らしているのを知って……。

冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました

せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜 神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。 舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。 専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。 そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。 さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。 その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。 海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。 会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。 一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。 再会の日は……。

処理中です...