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#6 不埒な純愛 

#9

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 けれど、まだまだ始まったばかり。

 否、正確には、まだ何も始まってなどいない。

 バスルームで窪塚のゴッドハンドによって施されたあれこれは、これからの淫猥な情事のための前準備に過ぎないのだから。

 この恥ずかしすぎる状況に、顔を両掌で覆い隠して、尚も瞼をギュッと閉ざして耐えしのぐことしかできないでいる。

 そんな私に、そのことを知らしめるかのように、窪塚は秘所に熱い呼気を勢いよく、ふうと吹きかけてきた。

 途端にブルブルと身体が小刻みに打ち震え、思わず悩ましい吐息を漏らし、次の攻めに備えようと身構える間もなく。

「はぁん……ヤっ、ぁああんッ!?」

 窪塚の形のいい唇によって、躊躇なく蕾に喰らいつくようにしてむしゃぶりつかれてしまった。

 花びらを剥かれ剥き出しとなった肉芽から、いかずちにでも撃たれてしまったかのような強烈な快感が電流のような痺れとともに全身を駆け巡る。

 眼前には、あたかも火花でも散ったかのようなはではでしい閃光が弾け飛び、悲鳴のような嬌声を放った私は、その場で大きく飛び跳ねるようにしてビクンッと身を仰け反らせた。

 その直後、私はぐったりとベッドに沈み込んだ身体と四肢とをだらしなく伸ばし弛緩させたまま放心状態に陥っている。

 そこに、何やら随分と疲れたような悩ましげな窪塚の声がボンヤリとした意識に割り込んでくる。

「はぁ……こんなんでイくとか可愛すぎだろ。そんな可愛すぎるイキ顔見せられたんじゃ、もうダメだわ。イッたすぐで悪いけど、もうちょっとだけ付き合ってもらうぞ」

 その言葉の意味を朦朧としてしまっている私の頭が理解するよりも先に、ベッドからサイドチェストのほうに身を乗り出し、引き出しから何かを取り出すと、なにやらガサゴソと物音をたてはじめた窪塚。

 私の脚元からベッドの端に移動しているため、ここからは窪塚が何をしてるか窺い知ることはできない。

 それが避妊具を装着する音だと察したときには、私の両脚は窪塚の眼前で再び大胆に押し開かれ、恥部は暴かれた後で。

 おそらく溢れかえった蜜で大洪水を起こしているだろう蜜口と紅く熟れてぷっくりと膨れ上がった蕾とに、その猛々しい存在感をひけらかすかのようにして、最大限に張り詰め滾るように熱くなっている窪塚自身をあてがわれていた。

 そうして間を置かずに、さっきも含めバスルームで幾度となく達したことで敏感になってしまっている蕾と泥濘んだ蜜口へと、天を突き上げるようにそそり勃った屹立で焦らすようにしてゆっくりと、蜜を塗りたくり撫で付けるようにして、往き来されただけで、えもいわれぬ快感がそこからじわじわと生じてくる。

 自分の意思とは関係なく、身体は速くその猛々しい屹立で満たして欲しいと、自ら雄を淫らに誘い込んででもいるかのように、熱い蜜で泥濘んだ蜜口がヒクヒクとひくついてしまう。

 どうしようもなく恥ずかしいのに、そんなものなど、もうどうでもよくなってくるほどに、一刻も速く満たして欲しいーー。

 頭の中は、そのことだけで埋め尽くされていく。

 本能の赴くままに身体が貪欲にそう希ってしまうのだからどうしようもなかった。

 熱く滾った窪塚自身で満たされるその瞬間を、今か今かと待ち焦がれているというのに……。

 窪塚はさっきから、じっくりと焦らすようにして、自身の竿の根元に手を添えて、未だ蕾に溢れかえっている蜜を塗りたくるようにして、ぬちゃぬちゃと厭らしい水音をたてつつ往復させているだけで、一向に満たしてくれる素振りが見受けられない。

 おそらく……いいや、絶対に。

 いつも強気で素直になれない私から、『速く満たして欲しい』そう言って懇願してくるのを待っているのだろう。

 普段の私なら、絶対にそんなことは言ったりしない。

 けれども、情事になると毎回決まって窪塚がこれでもかっていうほどに、ドSっぷりを発揮してくるのもだから、どうやら以前窪塚にも指摘されたように、M気質であるらしい私は、毎度毎度、実にあっさりとなんとも呆気なく屈してしまうのだ。

 今回も例に漏れず、こうしてただ蕾や蜜口に触れられているだけで、愉悦を生じてしまう私の身も心も、窪塚にすぐに白旗を掲げてしまうのだった。

「もう……ヤダぁ。焦らさ、ないでぇ。窪塚ぁ、はや……くぅ」

 窪塚の血管が脈打つ様が目視できるほどに猛々しい肉棒で恥部に触れられるたびに、襲いくる快感に身を打ち震わせ抗うことしかできないながらも、なんとか切れ切れに放ったその声を聞き届けた瞬間。

 どうしたことか、私の大胆に開け放たれた脚の間の窪塚の動きがピタリと静止した。

 当然、すぐに満たしてもらえるだろうと思っていた私が不思議に思い閉ざしていた瞼を上げると、苦しげな表情をした窪塚のやけに熱のこもった強い眼差しに射抜かれてしまい。

 どういうわけか魅入られたように目を逸らせなくなる。

 けれどそれもほんの数秒のことだ。

 すぐに私の身体の上に覆いかぶさるようにしてのしかかってきた窪塚によって、ぎゅうぎゅうに抱き込まれ、耳元で囁く言葉にまで、ドSっぷりを遺憾なく発揮されてしまうのだった。

「そんなに俺のが気に入ったんなら、これから嫌って言うほど、たっぷりと味わわせてやるよ」

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