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#2 不埒な攻防戦
#3
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――は!? 何言ってんの? 意味がわかんないんですけど。
寝るなら一人で寝ろっつーの。そんでもって二度と目を覚ますな。
窪塚の趣味の悪いジョークに憤慨し、未だ私のことを組み敷いたままの窪塚に向けて、とがった怒声と鋭利の如く鋭い視線を放ちながら。
「笑えない冗談言ってないで、さっさとどきなさいよッ!」
顔面めがけて平手打ちでもお見舞いしてやろうと手を振り上げるも。
さすがは神の手の息子と思わせるほどの瞬発力で、難なく私の手首をつかみ取っておいて。
「あっぶねー」
全然怖くもなかったクセに、わざとらしく大袈裟に肩を竦めて怯えたような素振りを見せる窪塚。
それだけでも、この上ないくらいに腹立たしいというのに。
このクズ男は、間髪入れず。
「さっきもそうだけどさぁ。高梨って、こうやってすぐにカーッとなって、すーぐ手出してくるのさえなければ、いい女なのになぁ。あー、ほんと勿体ねぇ」
どこまでも愉しそうな表情で私のことを見下しつつ、面白おかしく揶揄うような口ぶりで、長年、周囲の人間から事あるごとに言われてきて、自分でも気にしてることを鋭く突いてきた。
たちまち腹の底の方から熱いものがふつふつとこみ上げてきて、無性に腹が立って腹が立って仕方ない。
でもだからって、ここで怒ったら、窪塚の思う壺だし。
また同じようなことを言って揶揄われるのがオチだ。
言い返すだけ無駄だし、聞き流していればいいだけのこと。
そんなこと分かってるのに、どうしても黙ってはいられなかった。
「――ッ!! 煩いわねえ。あんたに関係ないでしょうがッ!」
窪塚に指摘されたかみたかで、カチンときて言い返してしまっていた。
もうこれは生まれながらに持って生まれた気性なのだからどうしようもない。
ここで我慢できるんだったら、とっくの昔からそうしているし。周りからもそんなこと言われることもなかったに違いない。
吐いた唾はもう取り消せないのだから、もうなるようになってしまえ。
すっかり開き直ってしまった私は、窪塚のことを睨みあげながら。
――もう、何を言われようと耳なんて貸すもんか。
そう思い、窪塚から顔を背けてシカトを決め込んだ私の耳に、またしても窪塚から聞き捨てならない言葉が届くのだった。
「そんなんだから、男ひでりが続いてんじゃねーの? この前も、ずいぶんご無沙汰だったみたいだし。あぁ、それで欲求不満って訳か。なるほどねぇ」
その瞬間、何処からともなく、ブチッという音が聞こえたような気がした。
寝るなら一人で寝ろっつーの。そんでもって二度と目を覚ますな。
窪塚の趣味の悪いジョークに憤慨し、未だ私のことを組み敷いたままの窪塚に向けて、とがった怒声と鋭利の如く鋭い視線を放ちながら。
「笑えない冗談言ってないで、さっさとどきなさいよッ!」
顔面めがけて平手打ちでもお見舞いしてやろうと手を振り上げるも。
さすがは神の手の息子と思わせるほどの瞬発力で、難なく私の手首をつかみ取っておいて。
「あっぶねー」
全然怖くもなかったクセに、わざとらしく大袈裟に肩を竦めて怯えたような素振りを見せる窪塚。
それだけでも、この上ないくらいに腹立たしいというのに。
このクズ男は、間髪入れず。
「さっきもそうだけどさぁ。高梨って、こうやってすぐにカーッとなって、すーぐ手出してくるのさえなければ、いい女なのになぁ。あー、ほんと勿体ねぇ」
どこまでも愉しそうな表情で私のことを見下しつつ、面白おかしく揶揄うような口ぶりで、長年、周囲の人間から事あるごとに言われてきて、自分でも気にしてることを鋭く突いてきた。
たちまち腹の底の方から熱いものがふつふつとこみ上げてきて、無性に腹が立って腹が立って仕方ない。
でもだからって、ここで怒ったら、窪塚の思う壺だし。
また同じようなことを言って揶揄われるのがオチだ。
言い返すだけ無駄だし、聞き流していればいいだけのこと。
そんなこと分かってるのに、どうしても黙ってはいられなかった。
「――ッ!! 煩いわねえ。あんたに関係ないでしょうがッ!」
窪塚に指摘されたかみたかで、カチンときて言い返してしまっていた。
もうこれは生まれながらに持って生まれた気性なのだからどうしようもない。
ここで我慢できるんだったら、とっくの昔からそうしているし。周りからもそんなこと言われることもなかったに違いない。
吐いた唾はもう取り消せないのだから、もうなるようになってしまえ。
すっかり開き直ってしまった私は、窪塚のことを睨みあげながら。
――もう、何を言われようと耳なんて貸すもんか。
そう思い、窪塚から顔を背けてシカトを決め込んだ私の耳に、またしても窪塚から聞き捨てならない言葉が届くのだった。
「そんなんだから、男ひでりが続いてんじゃねーの? この前も、ずいぶんご無沙汰だったみたいだし。あぁ、それで欲求不満って訳か。なるほどねぇ」
その瞬間、何処からともなく、ブチッという音が聞こえたような気がした。
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