いじわるドクター

羽村美海

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episodo:7

#10

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*芽依side*


お子ちゃまな私なんかと違って、


いつも落ち着いて、年上だし、大人な海翔さんは余裕で…、


私はいつもいつも…からかわれてばかりで、ズルイって思ってた。



『余裕ぶってるだけだ。安心しろ』



って、いう海翔さんの言葉を聞いて驚いてしまったけど、



海翔さんに抱き寄せられてる胸に耳を寄せてすましてみれば……、


私の鼓動と同じぐらいの速さで高鳴る鼓動が伝わってくる。



「……あ、ホントだ」


「……あぁ」



いつものように、


私に短く答えた海翔さんは、


信号が青に変わると、


ゆっくり私から離れて、滑らせるようにして車を緩やかに発信させた。



少しだけ…バツ悪そうに……。



そんな貴重な海翔さんから目が離せないで居ると。



「……イルミネーション、見てたんだろ?」



なんて、


遠回しに、


あんまり見るなよって言ってくる。



「海翔さんを見ていたいの。ダメ?」



だから、私も、


少しだけ、意地悪を言いたくなってしまった。



「……運転の邪魔になる。ダメだ」



それに素っ気なく…


拗ねたように返事を返してくる海翔さんが子供っぽくて可愛いから、



「見てるだけなのに?」


「……気が散るだろ?」


「恥ずかしい の?」


「……別に…」



もう少し、意地悪を言っても良いよね?


いつも意地悪されてるんだから……。



海翔さんのお陰で、


嘘みたいに緊張が解けた私は、


いつものように海翔さんに話しかけていた。



初めて乗せてもらった助手席は、とても居心地が良くて。



このままずっと海翔さんと一緒に、


こうやってゆっくりと過ごして居たいって、


……真剣に思ってしまう。



そんなことを考えながら…


海翔さんとの幸せで楽しい時間を過ごして居ると、


目的地に到着してしまったようだった。



あんなに煌びやかだった都会の賑やかな喧騒はどこへやら。



駐車場へ車が……まるで誘(いざな)われるようにして吸い込まれてゆく。



その先には、


綺麗に手入れされた樹木が植えられていて。



足元から、柔らかい淡い光にライトアップされていた。



きっと、


季節によって綺麗な花々が彩っているんだろう…小さな庭は、


まるでおとぎ話に出てくるような小さな森を思わせた。





「芽依、どうした?車にでも酔ったのか?」



ポカンと口を開けて


見入って居たであろう私の顔を


不思議そうに覗き込んでくる海翔さん。



その余りの至近距離に、


さっきまで落ち着いてた筈の鼓動が、


また慌ただしく…あり得ないぐらいの速さで、リズムを刻み始めた。
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