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第一章
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電車に数十分揺られ、待ち合わせの水族館へ。まりなちゃん、栞奈ちゃん、メグちゃんは既に到着していた。
「お待たせー!」
学校ではない場所で会うのって、なんだか新鮮!
「わー、本当に年上のカレシだ!」
青空が綺麗な中、暑いくらいの日差しと、海沿いの強い風。友達とのきゃっきゃした声と、年上の彼氏。
なんか、青春しているって感じ!
「あー、デートだからって可愛くしてる!」
早速、ヘアアレンジした編み込みに気が付いた栞奈ちゃん。女の子は見つけるのが早い。
ちらり、と楓真を見ると、口角を上げてくれた。気が付いていたかどうかわからないけど、今気が付いてくれたらいい。
なんか……幸せかも。
悠真くんが結婚することになって、地獄の底のさらに底に落とされた気分だった。それなのに、どうしてこんな気持ちになれるんだろう。
歩き始めると、自然と私と楓真をみんなが囲む。
「ねーどこで出会ったの? てか、同じ中学のセンパイ?」
「うん、中3だよ」
「どこが好きなの?」
ウソの彼氏だから色々答えにくいけれど、好きなところは「結構頼りになるとこ」と正直に答えた。
「どこまでいったの?」
「デートなら……遠出は今日が初めてだよ」
その答えに、みんなが笑う。
「場所じゃなくてー、ねぇー?」
なんでそういうリアクションなんだろう? と楓真を見ると、苦いものを食べたみたいな顔をした。
「楓真先輩、ウブな波奈ちゃんをいじめちゃだめだよ」
ウブって何? まりなちゃんの言葉にも、ハテナばっかり。
もぉー。わかんない!
助けを求めて楓真を見ても、そっぽを向いている。
「ペンギンのエサやり、始まるって!」
私は話を変えるように、看板を指さして先頭を歩いた。まりなちゃんが下調べした通りの時間だ。
受付をすませ、お皿の上に載った小魚とトングを受け取る。
エサやりゾーンにいくと……可愛いペンギンが、ヨチヨチとこちらに歩いてくる!
「かわいい~!!」
ペンギンに夢中になり、みんなからの質問攻めは一旦おわり。
大人のペンギンの食欲がすごくてちょっと引いてしまったり、小さな子供のペンギンが飼育員さんからエサをもらおうとなついていたり。
写真で見るのとは違って面白い!
小さな魚をトングでつまみ、ペンギンの口元へ。パクっと勢いよく口にする姿に野生を感じた。
生き物って、おもしろいな。私はペットを飼ったことがないけど、もし一緒に暮らしたら……って妄想はよくしている。
ちらりと楓真を見る。楓真はペンギンしか見ていなかった。
「はぁ~~かわいいなぁ~~」
思いのほか、楓真はペンギンを可愛がっていて、普段見たことないくらいに顔がとろけていた。
こんな楓真の姿、初めて見た。一見クールだけどたまに調子に乗って笑わせてくれる楓真も、動物を前にするとこんなにデレデレするんだ。意外な一面。
5月の強い日差しを浴びながら、私はぼんやりとニコニコ笑顔の楓真の横顔を見ていた。
ペンギンのエサやり体験が終わったところで、屋内に移動。暑いから、涼しいところでちょっと休憩したい!
楓真も疲れてないかな? だいじょうぶかな?
「楓真、疲れたら言ってね」
「大丈夫、俺体力あるから」
「楓真、飲み物買ってこようか?」
「大丈夫」
「楓真……」
「もぉ~波奈ちゃん、楓真先輩の名前呼びすぎ!」
ずっと楓真、楓真って呼んでいたら、まりなちゃんにつっこまれてしまった。栞奈ちゃんは、わざとらしくウシシと笑う。
「ラブラブですねぇ」
メグちゃんが、うふふと笑う。
楓真は、照れくさそうにうつむいた。
「大丈夫だって。でもありがと」
おせっかいしすぎてしまったけど、楓真からお礼を言われるのは嬉しかった。
なんかね、楓真って放っておけないんだ。
「お待たせー!」
学校ではない場所で会うのって、なんだか新鮮!
「わー、本当に年上のカレシだ!」
青空が綺麗な中、暑いくらいの日差しと、海沿いの強い風。友達とのきゃっきゃした声と、年上の彼氏。
なんか、青春しているって感じ!
「あー、デートだからって可愛くしてる!」
早速、ヘアアレンジした編み込みに気が付いた栞奈ちゃん。女の子は見つけるのが早い。
ちらり、と楓真を見ると、口角を上げてくれた。気が付いていたかどうかわからないけど、今気が付いてくれたらいい。
なんか……幸せかも。
悠真くんが結婚することになって、地獄の底のさらに底に落とされた気分だった。それなのに、どうしてこんな気持ちになれるんだろう。
歩き始めると、自然と私と楓真をみんなが囲む。
「ねーどこで出会ったの? てか、同じ中学のセンパイ?」
「うん、中3だよ」
「どこが好きなの?」
ウソの彼氏だから色々答えにくいけれど、好きなところは「結構頼りになるとこ」と正直に答えた。
「どこまでいったの?」
「デートなら……遠出は今日が初めてだよ」
その答えに、みんなが笑う。
「場所じゃなくてー、ねぇー?」
なんでそういうリアクションなんだろう? と楓真を見ると、苦いものを食べたみたいな顔をした。
「楓真先輩、ウブな波奈ちゃんをいじめちゃだめだよ」
ウブって何? まりなちゃんの言葉にも、ハテナばっかり。
もぉー。わかんない!
助けを求めて楓真を見ても、そっぽを向いている。
「ペンギンのエサやり、始まるって!」
私は話を変えるように、看板を指さして先頭を歩いた。まりなちゃんが下調べした通りの時間だ。
受付をすませ、お皿の上に載った小魚とトングを受け取る。
エサやりゾーンにいくと……可愛いペンギンが、ヨチヨチとこちらに歩いてくる!
「かわいい~!!」
ペンギンに夢中になり、みんなからの質問攻めは一旦おわり。
大人のペンギンの食欲がすごくてちょっと引いてしまったり、小さな子供のペンギンが飼育員さんからエサをもらおうとなついていたり。
写真で見るのとは違って面白い!
小さな魚をトングでつまみ、ペンギンの口元へ。パクっと勢いよく口にする姿に野生を感じた。
生き物って、おもしろいな。私はペットを飼ったことがないけど、もし一緒に暮らしたら……って妄想はよくしている。
ちらりと楓真を見る。楓真はペンギンしか見ていなかった。
「はぁ~~かわいいなぁ~~」
思いのほか、楓真はペンギンを可愛がっていて、普段見たことないくらいに顔がとろけていた。
こんな楓真の姿、初めて見た。一見クールだけどたまに調子に乗って笑わせてくれる楓真も、動物を前にするとこんなにデレデレするんだ。意外な一面。
5月の強い日差しを浴びながら、私はぼんやりとニコニコ笑顔の楓真の横顔を見ていた。
ペンギンのエサやり体験が終わったところで、屋内に移動。暑いから、涼しいところでちょっと休憩したい!
楓真も疲れてないかな? だいじょうぶかな?
「楓真、疲れたら言ってね」
「大丈夫、俺体力あるから」
「楓真、飲み物買ってこようか?」
「大丈夫」
「楓真……」
「もぉ~波奈ちゃん、楓真先輩の名前呼びすぎ!」
ずっと楓真、楓真って呼んでいたら、まりなちゃんにつっこまれてしまった。栞奈ちゃんは、わざとらしくウシシと笑う。
「ラブラブですねぇ」
メグちゃんが、うふふと笑う。
楓真は、照れくさそうにうつむいた。
「大丈夫だって。でもありがと」
おせっかいしすぎてしまったけど、楓真からお礼を言われるのは嬉しかった。
なんかね、楓真って放っておけないんだ。
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