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第一章
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騙された。男はみんな嘘つきだ。
私は中学1年生にして、世の中の真理を知ってしまったのだ。
悔しすぎて、食欲が止まらない。夕飯もさっき食べたのに、自分の部屋でポテチを食べ続けている。
美味しいお菓子をもってしても、傷は癒えないんだから!
「あんま食べ過ぎるなよ」
家族のものではない、男の子の声が隣から聞こえた。
「なによ、楓真のせいじゃない!」
「え、俺なの?」
楓真は、となりの家に住んでいる中3の男の子。わけあって私の家で、1ヶ月のうち何日間は同じ屋根の下で生活しているんだ。
なんで食欲が収まらないかというと、楓真から衝撃的な事実を聞いて私はショックを受けてしまったから。
衝撃的な事実とは……楓真のお兄ちゃんで私の初恋の人、悠真くんが婚約したってこと!
「ひどくない? 私は悠真くんと付き合う気だったのに裏切った!」
「それは、波奈の思い込みだろ?」
呆れたように、楓真が言う。
思い込みじゃないもん。私は頬を膨らませて反撃する。
「悠真くん、大きくなったら結婚しようねって言ったら、うんって言った!」
「それ、波奈が5歳くらいの時で兄ちゃんが中学生とかの時だろ? 真に受けるなよ」
「あとはー、先週の話だけど、友だちに紹介したいって言ったらいいよーって」
「……それは、近所のお兄ちゃんとして紹介したい、って受け取ったんだろうな」
「困るんだよね、約束しちゃったんだよ」
嫌な予感、と言わんばかりに、楓真が顔を歪める。
「誰に、なにを約束したわけ?」
「友だちに、年上の彼氏を紹介するって」
「付き合ってもいないのに?」
「ゼッタイ付き合うって思ってたし」
「波奈は中1、兄ちゃんは社会人だぞ? そのうえ兄ちゃんは、波奈のオムツ替えもしたくらいなのに。波奈が大人になったところでどうにかなる問題でもない」
論破された。これを言われると、何も返せない。
本当に、これは汚点中の汚点。なんで、悠真くんに子育てを手伝わせたんだよウチの親は!
「……とにかく、困るの! 友だちに、波奈ちゃんはウソつきって思われたくないの。だから」
私は、楓真の顔をまじまじと見つめた。
「楓真は中3で一応年上じゃない?」
あからさまに、イヤな顔をする。どうやら予想はついたみたい。
「というわけで、私の彼氏になって!」
私は中学1年生にして、世の中の真理を知ってしまったのだ。
悔しすぎて、食欲が止まらない。夕飯もさっき食べたのに、自分の部屋でポテチを食べ続けている。
美味しいお菓子をもってしても、傷は癒えないんだから!
「あんま食べ過ぎるなよ」
家族のものではない、男の子の声が隣から聞こえた。
「なによ、楓真のせいじゃない!」
「え、俺なの?」
楓真は、となりの家に住んでいる中3の男の子。わけあって私の家で、1ヶ月のうち何日間は同じ屋根の下で生活しているんだ。
なんで食欲が収まらないかというと、楓真から衝撃的な事実を聞いて私はショックを受けてしまったから。
衝撃的な事実とは……楓真のお兄ちゃんで私の初恋の人、悠真くんが婚約したってこと!
「ひどくない? 私は悠真くんと付き合う気だったのに裏切った!」
「それは、波奈の思い込みだろ?」
呆れたように、楓真が言う。
思い込みじゃないもん。私は頬を膨らませて反撃する。
「悠真くん、大きくなったら結婚しようねって言ったら、うんって言った!」
「それ、波奈が5歳くらいの時で兄ちゃんが中学生とかの時だろ? 真に受けるなよ」
「あとはー、先週の話だけど、友だちに紹介したいって言ったらいいよーって」
「……それは、近所のお兄ちゃんとして紹介したい、って受け取ったんだろうな」
「困るんだよね、約束しちゃったんだよ」
嫌な予感、と言わんばかりに、楓真が顔を歪める。
「誰に、なにを約束したわけ?」
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「付き合ってもいないのに?」
「ゼッタイ付き合うって思ってたし」
「波奈は中1、兄ちゃんは社会人だぞ? そのうえ兄ちゃんは、波奈のオムツ替えもしたくらいなのに。波奈が大人になったところでどうにかなる問題でもない」
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本当に、これは汚点中の汚点。なんで、悠真くんに子育てを手伝わせたんだよウチの親は!
「……とにかく、困るの! 友だちに、波奈ちゃんはウソつきって思われたくないの。だから」
私は、楓真の顔をまじまじと見つめた。
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あからさまに、イヤな顔をする。どうやら予想はついたみたい。
「というわけで、私の彼氏になって!」
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