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第七章
第六十七話 奔走
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「すみません! 良かったら話を聞かせて貰えませんか?」
声かけられた女の子は、俺を怪しそうな目で見て、少し怯えた感じになっている。
「いっき! だから女の子は私と結月ちゃんに任せてって言ったのに!」
確かに、今の俺は傍から見たら、ナンパしてるちゃらい男子高校生にしか見えないだろう。見た目は真面目なのはともかくとして。
「ありがとうございました!」
芽依は大きな声で感謝の挨拶を述べて、俺にドヤ顔で向き直った。
「いっきって女心分からなさすぎ!」
「確かに、お兄さんは女の子の心とか分からなさそうだもんね」
なぜか結月も義妹モードで俺の批判をする。
「俺のどこが女心分からないっていうんだよ」
「「そういうとこ!」」
芽依も結月と随分仲良くなったな……俺の質問に対する返答が見事にハモった。
俺は一息ついて、はるとたちのことを考えだした。
はると、れんと葵の3人はうまくやってるのかな……
クリスマスイブに俺が気づいた愛のトラウマの正体。それは『綺麗』ゆえに、周りの嫉妬をずっと浴びせられてきたということだ。
小学生はもちろん、中学生も考えが成熟していない。
女子の嫉妬は分かりやすいが、男子の気持ちも理解するのにそんなに時間はかからなかった。
要は愛情の裏返しだ。この場合、愛情という言葉が妥当かどうかは別として、綺麗な愛に、ほとんどの男子は好意や恋心を抱いてしまうだろう。ただ、みんながみんな自信を持っている訳では無い。
愛と自分を比べて、勝手に卑屈になって、絶対愛とは付き合えないだろうという思い込みが、男子をいじめへと駆り立てる。
そして、実際愛に告白して振られた男子がたくさんいたのだから、ほかの男子はみんな自分の考えが正しいと疑わない。
そして、卑屈さをなんとかしようと、今度は愛を自分より下の立場に置こうという考えに至るわけ。
そうすれば、自分は卑屈さとはバイバイできる。愛のことまで考える余裕なんてなかったのだ。
そんた男子たちを見て、自分たちは男子に相手されないのは、とりわけ、好きな男子が愛に告白したのは、愛が悪いと女子たちが思ってしまう。
だが、高校生になって、少し大人になった今、そんな彼らもそれに気づいてるはず。
自分を守るので精一杯だった。だからそのときは自分勝手で愛の気持ちなんて考えられなかった。
実際、俺も結月と付き合いだしたあとに必死で勉強を頑張った。結月に俺が劣っているという思いから、卑屈さから逃げたいと思ったからだ。
俺が取った手段は努力、彼らが取った手段は自分たちを卑屈にさせた相手の立場を自分たちより下に引きずり下ろすこと。
そこに善悪はなく、人間は自分が可愛いのだから。
だから、俺は決心した。俺の愛する人を助けるために、もう結月のときみたいにただ状況に流されないように、俺は芽依、結月、はると、れん、葵に頼み事をした。
5人は快く引き受けてくれた。
「姫宮さんがそんな思いしてるのは見てられないよ! ライバルだけど!」
「姫宮さんは私のお父さんのことをなんとかしようとしてくれたし、そして、こんな私に親切にしてくれて、最近結月ちゃんとも呼んでくれたから、私に出来ることがあれば、ぜひ」
「いつき、お前の愛する女のためなら俺も手を貸すぜ!」
「そうだぜ、いつき、お前と姫宮さんのあれを赤裸々に語ってくれたら手伝うぜ!」
「れん! お前は黙ってろ! そして一生童貞でいろ!」
葵はまたれんの頭に平手打ちをした。
「はは、冗談だよ、いつきと姫宮さんは友達じゃん! だから手伝うって!」
「もう!」
れんがてへへと笑ったら、葵はため息をついた。
「で、なにをすればいい?」
葵は俺に向き直った。
俺らは愛に隠れて、愛のお母さんから愛の小学校と中学校の名前と住所を聞いた。
そして、俺、芽依、結月とはると、れん、葵の2組に別れて、それぞれ小学校と中学校の愛の同級生の進学先を調べた。
別にクラスメイトである必要は無い。愛のことを知ってる人でいいんだ。
愛のお母さんが俺らの計画を聞いて、にっこりと笑った。
「なんなら、うちの旦那に探偵とか頼んで貰おうか~」
「大丈夫です! お母さん! 俺らは自分自身でやり遂げたいです!」
「あら、お母さんって、いつきくんはもう愛ちゃんと結婚する気満々みたいね~」
なんか愛のために動いてる現状にわくわくして、思わず愛のお母さんを「お母さん」と呼んでしまった。
俺は俯いて、あは、あはははと笑って照れ隠しした。めっちゃ恥ずかしい。
芽依は俺の膝あてに足蹴りをかましてきて、俺は思わず痛みで天を仰いで悲鳴をあげた。
結月も「お兄さんの幸せもの~」といいながら、追い討ちをかけるかのように、俺の右手の甲をつねった。
また1人、愛の同級生だった女の子を見つけて、インタビューを終えて、俺は芽依と結月に向き直った。
「2人とも、ほんとにありがとう!」
「なにをいまさら!」
「いつきくんじゃなくて、姫宮さんのためだからね」
結月はいつの間にかツンデレキャラの色が濃くなっているのは気のせいだろうか。
にしても、れんがいるあのグループの行動が不安だな。
まじでセクハラとかで逮捕されかねない。まあ、そのときはそのときでなんとかしよう。
そして、俺ら3人はまた駆け出した。
声かけられた女の子は、俺を怪しそうな目で見て、少し怯えた感じになっている。
「いっき! だから女の子は私と結月ちゃんに任せてって言ったのに!」
確かに、今の俺は傍から見たら、ナンパしてるちゃらい男子高校生にしか見えないだろう。見た目は真面目なのはともかくとして。
「ありがとうございました!」
芽依は大きな声で感謝の挨拶を述べて、俺にドヤ顔で向き直った。
「いっきって女心分からなさすぎ!」
「確かに、お兄さんは女の子の心とか分からなさそうだもんね」
なぜか結月も義妹モードで俺の批判をする。
「俺のどこが女心分からないっていうんだよ」
「「そういうとこ!」」
芽依も結月と随分仲良くなったな……俺の質問に対する返答が見事にハモった。
俺は一息ついて、はるとたちのことを考えだした。
はると、れんと葵の3人はうまくやってるのかな……
クリスマスイブに俺が気づいた愛のトラウマの正体。それは『綺麗』ゆえに、周りの嫉妬をずっと浴びせられてきたということだ。
小学生はもちろん、中学生も考えが成熟していない。
女子の嫉妬は分かりやすいが、男子の気持ちも理解するのにそんなに時間はかからなかった。
要は愛情の裏返しだ。この場合、愛情という言葉が妥当かどうかは別として、綺麗な愛に、ほとんどの男子は好意や恋心を抱いてしまうだろう。ただ、みんながみんな自信を持っている訳では無い。
愛と自分を比べて、勝手に卑屈になって、絶対愛とは付き合えないだろうという思い込みが、男子をいじめへと駆り立てる。
そして、実際愛に告白して振られた男子がたくさんいたのだから、ほかの男子はみんな自分の考えが正しいと疑わない。
そして、卑屈さをなんとかしようと、今度は愛を自分より下の立場に置こうという考えに至るわけ。
そうすれば、自分は卑屈さとはバイバイできる。愛のことまで考える余裕なんてなかったのだ。
そんた男子たちを見て、自分たちは男子に相手されないのは、とりわけ、好きな男子が愛に告白したのは、愛が悪いと女子たちが思ってしまう。
だが、高校生になって、少し大人になった今、そんな彼らもそれに気づいてるはず。
自分を守るので精一杯だった。だからそのときは自分勝手で愛の気持ちなんて考えられなかった。
実際、俺も結月と付き合いだしたあとに必死で勉強を頑張った。結月に俺が劣っているという思いから、卑屈さから逃げたいと思ったからだ。
俺が取った手段は努力、彼らが取った手段は自分たちを卑屈にさせた相手の立場を自分たちより下に引きずり下ろすこと。
そこに善悪はなく、人間は自分が可愛いのだから。
だから、俺は決心した。俺の愛する人を助けるために、もう結月のときみたいにただ状況に流されないように、俺は芽依、結月、はると、れん、葵に頼み事をした。
5人は快く引き受けてくれた。
「姫宮さんがそんな思いしてるのは見てられないよ! ライバルだけど!」
「姫宮さんは私のお父さんのことをなんとかしようとしてくれたし、そして、こんな私に親切にしてくれて、最近結月ちゃんとも呼んでくれたから、私に出来ることがあれば、ぜひ」
「いつき、お前の愛する女のためなら俺も手を貸すぜ!」
「そうだぜ、いつき、お前と姫宮さんのあれを赤裸々に語ってくれたら手伝うぜ!」
「れん! お前は黙ってろ! そして一生童貞でいろ!」
葵はまたれんの頭に平手打ちをした。
「はは、冗談だよ、いつきと姫宮さんは友達じゃん! だから手伝うって!」
「もう!」
れんがてへへと笑ったら、葵はため息をついた。
「で、なにをすればいい?」
葵は俺に向き直った。
俺らは愛に隠れて、愛のお母さんから愛の小学校と中学校の名前と住所を聞いた。
そして、俺、芽依、結月とはると、れん、葵の2組に別れて、それぞれ小学校と中学校の愛の同級生の進学先を調べた。
別にクラスメイトである必要は無い。愛のことを知ってる人でいいんだ。
愛のお母さんが俺らの計画を聞いて、にっこりと笑った。
「なんなら、うちの旦那に探偵とか頼んで貰おうか~」
「大丈夫です! お母さん! 俺らは自分自身でやり遂げたいです!」
「あら、お母さんって、いつきくんはもう愛ちゃんと結婚する気満々みたいね~」
なんか愛のために動いてる現状にわくわくして、思わず愛のお母さんを「お母さん」と呼んでしまった。
俺は俯いて、あは、あはははと笑って照れ隠しした。めっちゃ恥ずかしい。
芽依は俺の膝あてに足蹴りをかましてきて、俺は思わず痛みで天を仰いで悲鳴をあげた。
結月も「お兄さんの幸せもの~」といいながら、追い討ちをかけるかのように、俺の右手の甲をつねった。
また1人、愛の同級生だった女の子を見つけて、インタビューを終えて、俺は芽依と結月に向き直った。
「2人とも、ほんとにありがとう!」
「なにをいまさら!」
「いつきくんじゃなくて、姫宮さんのためだからね」
結月はいつの間にかツンデレキャラの色が濃くなっているのは気のせいだろうか。
にしても、れんがいるあのグループの行動が不安だな。
まじでセクハラとかで逮捕されかねない。まあ、そのときはそのときでなんとかしよう。
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