蟻喜多利奈のありきたりな日常2

蟻喜多利奈の、自称ありきたりな夏休み

5

翌日、再度ここを訪れた路歩子達が大喧嘩することになる。
しかし、そんなことは今の彼女らが考えつくわけもなかった。

「……いよいよ……いよいよ明日……ですね。」

「そうね楽しみ……本当に……。」
その言葉に微笑みながら相槌を打つ。

とある山間にある小さな村。
ゆっくりと流れる雲。

小さな公園。
その中にあるブランコ。
隣合って座り、漕いでいる二人。

テレビで見る芸能人などと比べ物にならない美貌。
二人とも美人だ。
しかし、それでも微笑んでいる方の少女は異常なほどであった。
浮世離れしたその美しさは、都会に出てしまえば皆が彼女を取り合うような事態になってしまうだろう。


ギコ……ギコ。
揺れるブランコ。

「……本当に……早く会いたいわ……利奈……。」
まるで遠距離恋愛をしている少女のように、恋い焦がれた声で呟くのだった。