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クラスメイトに友人がいないわけではない。
しかし、ゆかりとエルと登校していた為、一人きりだ。

寂しくないわけがない。
彼女の心中は、この晴天とは真逆であった。

教室に着き、クラスメイト達と挨拶をするかすみ。
そして、すぐに席へ座った。

いつもと同じ時間。
そのはずなのに、今日はやけに長く感じるのであった。


昼休みになっても二人と行動出来なかったらどうしようか。
そんな不安が過る。
しかし、それは杞憂に終わった。

「……かすみちゃん、お昼食べよう。」

「かすみさん!一緒に昼食を食べましょう!」

何事もなかったかのように彼女の教室へやって来た二人。

「え、う、うん。」


今朝来なかったことを聞いて良いのだろうか。
廊下を歩くかすみは、彼女らに対してそんな疑問を持っていた。

「あの……二人とも?」

「えぇ、分かってます。聞きたいことがあるんですよね?」

「……でもごめん、今は答えられない……答えたくない……。」

彼女が聞きたい内容。
それを分かっているのだろう。
エルとゆかりが言う。

「そ、そっか……うん、でも絶対に話してね?」

「はい、もちろんです。私の血に誓って必ずお話します。」

「……うん、大丈夫。……絶対に話す、私の存在に賭けて約束する。」

「ありがとう、二人とも。」
些か大袈裟過ぎるかもしれない。
しかし、もしかしたらそれくらいがちょうど良いのかもしれない。


昼食を食べるかすみ。
そして、そんな彼女を見ている二人。
何も食べないつもりなのだろうか?
そもそも、弁当等の食べ物はない。

そういえばとふと、ある考えが過る。
彼女らは普段どのようなものを食べていただろう?

記憶を辿る。
昼休み、彼女らと話をしていたことはあったが、あまり何かを食べていたという記憶はない。

辛うじて思い出せるもの。
それは、全てかすみに一口食べさせてから自身が食べるというものであった。

試してみようか。
箸で摘まんだ玉子焼きを一口齧る。

「ゆかりちゃん?」

「……うん?」

「た、食べる?」
彼女へ玉子焼きを向けるかすみ。

他人の食べかけ。
人によっては嫌がるようなものだ。
しかし、ゆかりやエルにとってはかすみの食べかけは真逆な存在であった。

「……い、良いの?」
目を真ん丸に見開くゆかり。
それはキラキラと光っていて、宝石のようで、驚きを隠す気のない様子だ。
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