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「……。」
たった百年。
なるほど。
長く生きてきた彼女らにとっては、そんな長い期間もわずかに感じるようだ。

「もしもだよ……?もしもの話……。」

仮の話。
それをこのタイミングで切り出すのだ。
必ず関係があるものに違いない。

「うん……。」

「もし、永遠の命が手に入るってなったら……かすみならどうする?欲しい?」

「え?」
関係があると思っていた。
しかし、そうだとすれば、この質問には真剣に答えなければならない。

命には限りがある。
そんなもの、誰でも知ってる当たり前なことだ。
しかし、その常識が覆るとしたらどうだろう?
どうするだろう?

それは変えようのないものだ。
しかし、だからこそ皆一度は考えたことがあるだろう。

無限の命。
不死の身体。

あり得ないものへの渇望。
それは、かすみにもないわけではなかった。


「その……今すぐに決めるのは無理だと思う……けど、ごめん、真剣に答えてほしい……。お願い……。」

「うん……分かった、考えてみるよ……。」

「ありがとう……本当に……ありがとうね、かすみ。私にチャンスをくれて……。」


沈黙。
この先何を話せば良いか、両者とも分からなかったのだ。

「わ、私……。」
先に口を開いたのは美咲であった。

「……?」

「きょ、今日はもう帰るね。」

「え?そ、そう……?」

「……。」

「美咲ちゃん?」

「うん、言いたいことも言ったし……。じゃあ私、行くね。答え、ちゃんと考えておいてね。」

「うん……。」

部屋を出ていく美咲。
そして、かすみは必然的に自室に一人きりになった。

「私……どうすれば良いんだろ……。」


かすみの家を出て少しした辺りで足を止める美咲。
その表情は悲しみに染まっていた。

「私が帰るの……止めてほしかったって思うのは……わがままだったのかな……?」


翌日。
今日も登校しなければならない。
いつもなら、ゆかりとエルが起こしに来る。
しかし、この日は誰も来なかった。

どうしたのだろう。
こんなイレギュラーなこと、以前揉めた時以外なかった。

二人の身に何かあったのだろうか?
制服に着替えながら、様々な考えが彼女の脳内を巡る。


結局、彼女が登校する時間になっても二人が来ることはなかった。


「いってきます。」
玄関を出て、一人歩き出すかすみ。
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