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「……私もする……いや、私の方がもっと凄いことやって上書きするっ……!」

「え、え?す、凄いこと?え?」
パニックになるかすみ。
思考が上手く回らないようだ。

「……。」
そんなことはお構い無しだという様子のゆかり。
掴んでいたかすみの肩にそのまま力を押し当てて倒す。

「あ、あの……ゆ、ゆかり……ちゃん……?」
これは流石におかし過ぎる。
今さらそう思うかすみから冷や汗が流れ落ちる。

「……もったいない。」
ゆっくりと近づき、かすみの首元に自身の顔を押し付けるゆかり。

「ちょ、ゆ、ゆかりちゃん!?」
上擦る声。
そして、ジタバタと抵抗するかすみ。
しかし、その小柄な身体で拘束したと思えないほどの力のゆかり。
全く動くことが出来ない。

「……。」

「ひっ!?」
首元を這う生暖かい感触。
それに反応し、鳥肌が立つ。

見なくとも分かる。
今、かすみはゆかりに首元を舐められている。
厳密に言えば、彼女から流れる汗を舐め取っているのだろう。

「……凄い……美味しいよ、かすみちゃん……。」

「ちょ、ま、待って!本当に待って!やめ、止めて!」
ジタバタ……ジタバタ……。
少ししか動けない。
全く意味のない抵抗。

「……。」
彼女の言葉など届いていないのだろう。
ゆかりは止めようとしない。

このままではまずい。
何がとは言えないが、かすみは何か大切なものを失ってしまう気がした。

どうにかしないといけない。
しかし、まるで抵抗出来ない。

絶体絶命。
何かないか?
必死に思考を巡らせるかすみ。


ブーブー……ブーブー……。
バイブ音。
かすみの携帯電話からの呼び出し。
メッセージではない。
電話だ。

「……。」

「……。」

静止。
動きを止める両者。
そして、二人の視線が同じ場所へ向かう。

「……こんなものでは私の邪魔にすらならない……。」

駄目だ。
続けるようだ。

ブーブー……ブーブー……。
依然として振動しているかすみの携帯。

「ま、待って、緊急の用事かも!」

「……私のこの思いも緊急……!」

「お願いっ!」

「……。」

「ね?駄目?確認だけさせて?もし、緊急のやつじゃなければ……その……。」

「……分かった。」

首の皮一枚繋がった。
誰かは分からないが、恩人だ。
そんな人物が誰かを確認する為に画面を見るかすみ。
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