上 下
100 / 151
14

14ー2

しおりを挟む
なんだそれは……。
心の中で、そうつっこんでしまうかすみであった。
「そ、そっか……。」

「さて、満足したし、朝ご飯食べに……。」

ガチャ。
開かれる、かすみの部屋の扉。
そこにいたのは、予想通りの二人であった。

「かすみさん!おはようございます!」

「……かすみちゃん、おはよう。来たよ、起きてる?」

訪れたのは、エルとゆかりであった。
昨日の出来事で、かすみと打ち解けれることが出来た。
もう何も後ろめたいこともない。
遠慮せず、堂々と文字通り正面から来れるようになったのだ。

「あっ、二人とも……お、おはよう。」

「ノックもしないのね、本当に無粋……。もしかすみが着替えてたらどうするの?貴女達の命じゃ釣り合わないわよ?何人たりとも穢せるようなものではないの。分かる?」
ギロリ。
彼女らを睨み、美咲がそう言う。

「あら、あらあら……。」

「……ふーん、そう。」

にやにや……。
腹立たしい含みのあるにやけ顔を晒すエルとゆかり。

幼馴染である美咲。
彼女よりもかすみに関して優位に立てることはない。
二人はそう思っていた。
しかし、どうやら美咲よりも優位に立てる機会が唐突に現れたようだ。

「な、なによ……気味が悪いわね……。」
彼女らの雰囲気が不満だったのだろう。
不機嫌そうな顔をする美咲。

「いえいえ、なんでもないですよ、なんでも。そうですよね、かすみさんの着替えなど、見れませんものねぇー……ふふふ。」

「……うん、なんでもない。ふふふ……」

「腹立たしい……何だって言うのよ、全く……。」

「なんでもないですよ、本当に……。さ、かすみさん?」
美咲との会話など早々に切り上げてかすみと話したい。
そんなエルの気持ちが見え隠れしていた。

「うん?」

「……いつも通りっ!そう、いつも通りにっ!着替えて?」
いつも通り、それを強調するように、今度はゆかりが彼女へ言う。

「は?いつも?毎日ってこと?」
混乱する美咲。

「えぇ、その通りです。私達はいつもかすみさんの着替えを見学と撮影をさせて頂いてました。もちろん、覗きや隠し撮りではありません。ご本人に許可をもらってます。私達の特権です。」

許可をした。
エルはそう言った。
しかし、かすみには、そんな覚えはない。
それに、やはり撮影は故意だったのか。
エルの発言に、苦笑いしてしまうかすみ。

「ずるい……。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

タイツによる絶対領域

御厨カイト
恋愛
お昼前の授業も終わり昼休みになると、いつも私は彼女である澪と一緒に屋上でのんびり話をしながら過ごしていた。今日も私の膝の間に座り、嬉しそうに体を左右に揺らす澪とまったりと雑談をしていたのだが、その話の流れで澪の足を触る事に。しかし、そこで澪は足が弱いことが発覚し……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

一口分の毒りんご

null
恋愛
人は愛されてこそなんぼだ。 アイドルとして順風満帆な人生を送っていた花月林檎は、自分の容姿、雰囲気、振る舞い…それらから得られる全てを享受しながら生きてきた。 そんな花月にも理解できないモノがあった。 友人もいない、愛想も悪い、本ばかり読んでいて、そして、私にも興味がない人間、時津胡桃。 一人孤独に、自分の中だけで生きている時津とちょっとしたことで共に行動することになった花月は、段々と彼女の隣で居心地の良さを感じるようになっていくのだが…。

処理中です...