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「は?」
今何と言った?

「……人工呼吸……かすみちゃんが……してくれれば……復活する……。……だから、やってほしい。……駄目?」

駄目だ。
駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!
そんなもの許して良い道理などない。
ゆかりのその願望は、何としてでも阻止しなければならない。

「そ、それで治るの?」

しまった。
先ほど混乱状態にさせたのが仇になってしまった。
「ま、待って下さい、かすみさん!」

「……治る。かすみちゃんが……なるべく唾液を……私の口に流し込んでくれれば……。」

「そんな羨ま……破廉恥なこと認めません!」

「で、でもそれで治るってゆかりちゃんも言ってるし……。」

「……うん、私が言ってる。」

いや、これは流石にもう駄目だろう。
「落ち着いて下さい!ゆかりさん、もう意識取り戻してるじゃないですか!」

「……あっ。」

「あっ、確かに……。」

良かった。
冷静になれたようだ。
一安心のエル。

「……ごばっ!」
再度の吐血。

「いや、もう駄目でしょう……。」
呆れた様子のエル。

「いや、と、吐血したけど……。」

「見苦しいですよ、ゆかりさん。」

「……。」
恨めしそうにエルを睨むゆかり。
その口からは泡と血が垂れている。

「でも口から泡と血が出るのなんて異常だよ!やっぱり病院に行こう?」

「……心配してくれるのは嬉しい。でもそれには及ばない。かすみちゃんが人工呼吸を……。」

「だからそれは却下と言っているでしょう!」
大声でゆかりの声に被せるエル。

「……でもまた倒れそう。」

「それでも人工呼吸は絶対に駄目です!」

このままでは言い争いになってしまう。
「わ、分かった!なら私が見てるからっ!」
声を荒らげるかすみ。

「え?」

「……うん。詳しく聞きたい。」

「言葉の通りだよ。今日学校休んで私がゆかりちゃんのこと見てるってこと。」

「なっ!?」

「……それは名案。」
ニヤリ。
エルが先ほどしたようにほくそ笑むゆかり。

むくり。
何事もなかったかのように起き上がるゆかり。
もう気絶しているふりをする必要がなくなったのだ。

「あっ、自力で起きれるようになったんだね。」
安堵のため息をつくかすみ。

「……うん、治った。でもかすみちゃんに看病してほしい。」

「治ったのなら三人で学校に行きましょう?ね?かすみさん……。」
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