あなたにかざすてのひらを

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「え？い、いや……そんなことないけど……。」

「……けど？」

「何か別の……例えば悩みとかですか？」

普段の暴走具合が嘘のような二人。
すぐにかすみの異変に気づき、声をかけた。

言うべきだろうか？
二人の喧嘩の元になってしまわないだろうか？
悩むかすみ。

「……私達、歳は違うけど友達でしょ？かすみちゃんの力になりたいよ。」

「当然私もです、かすみさん。」

心配そうにかすみを見つめる二人。
その姿には偽りの気持ちは含まれていなかった。

これは言わないと失礼だろう。
「ありがとう、二人とも。」

「はい！」

「……うん。」

「私達さ……幼馴染だよね。」

「え、えぇ。そうですね。」
かすみの言葉に困惑しながらも同調するエル。
いまいち要領を得ないようであった。

「なら言うね。……私、二人とつり合わないんじゃないかなって思って……。」

「はい？」

「……え？」

何を言っているのだ？
よく分からない様子の二人。

「だ、だから……劣等感というか……その……。二人は可愛いけど、私は平凡だし……。」
しどろもどろ。
改めて考えると恥ずかしい。

二人が美少女であり、自分が場違いである。
そんなことを言おうとしているのだ。
恥ずかしさで耳まで熱くなるのを感じるかすみであった。

「誰です……？」

「……それ、どういうこと？」

ぞくり。
背筋が凍るような感覚。
二人の雰囲気が変わった。

「ふ、二人とも……？」

「誰がそんな馬鹿げたことを言ったんですか？……その方、興味があります。二人きりでお話ししたいから教えてくれませんか？」

「……かすみちゃんよりも私達が可愛いなんてあり得ない。そんな節穴の目は潰した方が良い。……だから、教えて？誰？そんな馬鹿。」

物騒なことを言っている。
流石に冗談だよな？
たらり。
冷や汗が止まらない。

これはいけない。
このままでは無罪の誰かが断罪されてしまう。
「違っ、違うよ！私が勝手に思っただけで……。」

決して嘘ではない。
しかし、それが良くなかったようだ。

「庇ってるんですか？そんな者、庇う価値なんてありませんよ？」

「……なんでそんな酷いこという奴のこと庇ってるの？」

「いや、だから誰かを庇ってるわけじゃなくて……。」

「……もしかして、そいつのこと好きなの？」

……ピシッ。
空気が凍った。
立ち止まる三人。