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ある日の休日~閑静な住宅街にて起こる惨劇~
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「こ、恋話かぁ……。」
今までと違い、小声になる蝶華。
その表情は、困っているようとも嬉しそうとも取れるようなものであった。
「ほらほら、そこで寝てる白校の頭とはどうなの!?どうなのさ!?」
グイグイ。
華子が蝶華へと圧をかけながら聞く。
「ちょ、華子!声が大きいって!」
慌てる蝶華。
しかし、それは彼女の杞憂であった。
真っ赤な顔で、深い眠りにつく辰美。
それは、彼だけでなく、丸雄達も同じ状態であった。
「大丈夫、大丈夫!ほら、早くー、蝶華ー、早くしてよー!」
「……ま、まぁ……その……順調?なのかなー……えへへ……。」
恥ずかしがりながら蝶華が言う。
「へー、良かったじゃん……。」
ニヤニヤと笑う華子。
「はいっ!この話は終わりっ!」
「えー、もっともっとー!デートの話とか聞かせてよー!」
「で、デートなんて……遊びに行ったこともないのに行ったことないよ!ま、まぁ……出来るならしたいけど……。」
「……。」
それは本当に順調なのだろうか?
一瞬冷静になってしまう華子。
「私のことはもう良いの!これでおしまい!それで!?」
「うん?」
「華子の方はどうなの!?」
「え?えー?私は良いよ、別に……。」
目を逸らす。
この話題は避けたい華子の心が透けて見えた。
「駄目!私も話したんだし、話して!」
「い、良いって、ほら、落ち着いて。」
「駄目ったら駄目!言うまで許さないからー!」
そう言うと、蝶華は部屋の床に仰向けになる。
そして、あろうことか、その場でじたばたと手足を動かし騒々しくしたのだ。
「ちょ、ちょっと!?落ち着いてよ!」
酔っているといえ、彼女のその奇行には流石に動揺してしまう蝶華。
慌てて止めようとする。
「やだやだやだー!」
ドカドカドカ……。
更に動きが増す。
華子には、この光景に既視感があった。
そして、その正体がすぐに判明する。
スーパーマーケットやショッピングモール等でほしい菓子や玩具を買ってもらえずに駄々をこねる子供だ。
こうなっては華子にはお手上げだ。
子供の宥め方など、彼女には分からないからだ。
仕方がない。
諦め、口を開く。
「わ、分かったよ……。」
「お!?」
ピタリ。
聞こえるかどうかというか細い彼女の声に反応し、静止する蝶華。
「え、えっと……要するに、その……そういう意味で気になる人ってことだよね?」
今までと違い、小声になる蝶華。
その表情は、困っているようとも嬉しそうとも取れるようなものであった。
「ほらほら、そこで寝てる白校の頭とはどうなの!?どうなのさ!?」
グイグイ。
華子が蝶華へと圧をかけながら聞く。
「ちょ、華子!声が大きいって!」
慌てる蝶華。
しかし、それは彼女の杞憂であった。
真っ赤な顔で、深い眠りにつく辰美。
それは、彼だけでなく、丸雄達も同じ状態であった。
「大丈夫、大丈夫!ほら、早くー、蝶華ー、早くしてよー!」
「……ま、まぁ……その……順調?なのかなー……えへへ……。」
恥ずかしがりながら蝶華が言う。
「へー、良かったじゃん……。」
ニヤニヤと笑う華子。
「はいっ!この話は終わりっ!」
「えー、もっともっとー!デートの話とか聞かせてよー!」
「で、デートなんて……遊びに行ったこともないのに行ったことないよ!ま、まぁ……出来るならしたいけど……。」
「……。」
それは本当に順調なのだろうか?
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「うん?」
「華子の方はどうなの!?」
「え?えー?私は良いよ、別に……。」
目を逸らす。
この話題は避けたい華子の心が透けて見えた。
「駄目!私も話したんだし、話して!」
「い、良いって、ほら、落ち着いて。」
「駄目ったら駄目!言うまで許さないからー!」
そう言うと、蝶華は部屋の床に仰向けになる。
そして、あろうことか、その場でじたばたと手足を動かし騒々しくしたのだ。
「ちょ、ちょっと!?落ち着いてよ!」
酔っているといえ、彼女のその奇行には流石に動揺してしまう蝶華。
慌てて止めようとする。
「やだやだやだー!」
ドカドカドカ……。
更に動きが増す。
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そして、その正体がすぐに判明する。
スーパーマーケットやショッピングモール等でほしい菓子や玩具を買ってもらえずに駄々をこねる子供だ。
こうなっては華子にはお手上げだ。
子供の宥め方など、彼女には分からないからだ。
仕方がない。
諦め、口を開く。
「わ、分かったよ……。」
「お!?」
ピタリ。
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