はりぼてスケバン弐

あさまる

文字の大きさ
上 下
114 / 118
ある日の休日~閑静な住宅街にて起こる惨劇~

5

しおりを挟む
漸く華子の家に到着した。
その頃には秋姫も合流し、その空気の悪さはより一層増した。

それでも華子ならばこの空気を変えてくれることだろう。
僅かな希望を抱き、蝶華がインターホンを押した。


「いらっしゃーい。どうぞ、どうぞ、入ってー。」
満面の笑み。
心底嬉しそうに彼らを出迎える華子。
そんな彼女の無警戒な姿に、彼らはつい力みが緩むのであった。



「こっちだよ、さささ、お客様ご案内ー。」
彼らを自室へと案内する、るんるんな華子。
ぞろぞろと着いていく丸雄達には会話はなかった。

「ね、ねぇ、華子、華子……!」
華子の耳元で囁くのは秋姫であった。
一番後ろにいたが、そそくさと小走りで彼女の隣に来たのだ。

「うん?どうしたの?」
未だ嬉しさを噛み締めている。

「華子に招かれたのが嬉しくて、意気揚々と来てしまった手前、私が言うのもお門違いなのかもしれないけど……。」
そんな長い前置きを言い、秋姫は続ける。

「……?」
つまり、何を言いたいのだろうか。
引き続き、彼女の声に耳を傾ける。

「私、場違いじゃない?」

「えー?そうかなー?」

「だって、この人達滅茶苦茶恐いよ?」

「秋姫だって恐さなら負けてないよ?」

華子からしたら彼女もかつて大きな脅威であった。
そもそも、彼女達白百合高校の生徒達がきっかけを作らなければこのような大事件は起きなかったはずだ。

「……。」
彼女はたまに、とんでもないことを言ってのける。
つい絶句してしまう秋姫であった。


「さささ、適当に寛いでてね。私、お菓子とかジュース持って来るから。それに、頑張って料理もいっぱい作っちゃったんだからね!」
自室へ案内し終えると、華子はそう言い部屋から出ていこうとする。

そうは問屋が卸さない。
先に動いたのは秋姫であった。

次点で蝶華。
そして、最後に丸雄だ。
彼女に着いていく三人。

「……待って待って待って!置いてかないで、華子、置いてかないで!」
必死な秋姫。

「は、華子さん……!私、あの空気無理!」
珍しく冷や汗が多量な蝶華。

「俺も無理っす!姐さん、お願い、一緒にいてほしいっす!」
涙目の丸雄。

「あはは、皆そんなに友達の部屋だと緊張するのー?」
へらへら。
鈍感な華子。

何とも奇妙な四人パーティーが完成してしまった。
その目的地、キッチン。
そして、獲物は菓子とジュース、そして華子の手料理であった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

はりぼてスケバン

あさまる
青春
※完結済、続編有ります。 なぜこうなってしまったのだろう。 目の前の惨劇は、確かに自身が起こしてしまった。 しかし、それは意図したものではない。 病弱で、ろくに中学生生活を送ることの出来なかった鼬原華子。 そんな彼女は志望校に落ち、滑り止めとして入る予定のなかった高校に入学することとなる。 ※この話はフィクションであり、実在する団体や人物等とは一切関係ありません。 また、作中に未成年飲酒、喫煙描写が含まれますが、あくまで演出の一環であり、それら犯罪行為を推奨する意図はありません。 誤字脱字等ありましたら、お手数かと存じますが、近況ボードの『誤字脱字等について』のページに記載して頂けると幸いです。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

夫が留守のとき新妻が男に襲われた!! ああ、どうしたらいいの!!

マッキーの世界
大衆娯楽
新婚夫婦の新妻。 「あなた、いってらっしゃい」 新妻はかわいらしい笑顔で夫を見送る。 「ああ、いってくるよ」 玄関先で熱いキスをする2人。 マイカは出勤した夫を

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

お父さん!義父を介護しに行ったら押し倒されてしまったけど・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
今年で64歳になる義父が体調を崩したので、実家へ介護に行くことになりました。 「お父さん、大丈夫ですか?」 「自分ではちょっと起きれそうにないんだ」 「じゃあ私が

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

処理中です...