はりぼてスケバン弐

あさまる

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案の定、彼といたら華子はすぐに席へと案内された。
周囲は同世代を含め、老若男女が店内にいた。
家族連れが多いのが華子の中で印象に残った。

どれにしようか。
メニューを見て吟味する華子。
しかし、丸雄はチラリと見る程度であった。

食べるものが決まると、丸雄が店員を呼ぶ。
そして、慣れた様子で注文を伝えた。

十分ほど経過すると、料理が運ばれて来た。
冷めないうちに食べよう。
そんな共通意識の元、二人は味わいながら食べた。


もぐもぐと無言で食べている。
華子と丸雄は対面に座っている。

チラリ。
何気なく彼を見る華子。
そしてその口元へ、紙ナプキンを持っていく。

「……ね、姐さん?」
彼女の行動に気づいた丸雄が動きを止める。

「そのまま。ちょっと動かないで。」
真剣な声と表情。
真っ直ぐに丸雄を見ている。

「……は、はい……っす……。」
言われた通り、静止する丸雄。
そして、なぜだか目を瞑っていた。


ゴシゴシ……。
華子が彼の口元を擦り、その汚れを落とす。

「……よしっ!取れた。もう良いよ。」
満足げに華子が言う。
その顔には確かに笑みが浮かんでいる。

「…え?あ、はい……っす……。」
何を期待していたのか。
華子には分からないが、確かに彼はしょんぼりといていた。

「どうしたの?」

「いえ、姐さんは……やっぱり姐さんだったっす。」

「……ふふふ、まさかキスでもするかと思ったの?」
ニヤニヤ。
華子が鎌をかける。

そういえば、と思い咄嗟に出た彼女の言葉。
それは、昨日見ていた恋愛ドラマがきっかけだった。

高校生のヒロインが片思い中のクラスメイトに目を瞑るように言われた。
ゆっくりと彼の顔が近づき、慌てながらも言われた通りに目を瞑る。
すると、髪についた花弁を取っただけであった。

勘違いし、赤面する彼女。
それを見て彼がニヤニヤと煽る。

よくある内容である。
それに、性別が逆だ。
それでも丸雄への悪戯にはちょうど良い。

「なっ!?ちょ、ち、あ、ぽ!?」
その言葉が彼には予想外だったのだろう。
目を見開き、華子を見る。
そして、口をパクパクと動かし、言葉にならない声を上げる。

「ふふふ、何言ってるか分かんないよ。」
楽しい。
彼のリアクションに満足した華子がケラケラと笑う。


そんなこんな食事を終えた二人。
席を立ち、会計を済ませようとする。
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