はりぼてスケバン弐

あさまる

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なぜか。
なぜこんなことになってしまったのか。
決まっている。

彼女のせいだ。
華子のせいだ。

今回の発端は巳白と秋姫だ。
しかし、それに一枚噛んでしまった。
それは間違いない。
その事実が知られてしまった。

直に黒龍高校全体に知れ渡るだろう。
そうすれば、またしても丸雄からの好感度が下がってしまう。
それだけでなく、下手すれば兄である壱夏や双葉に知られてしまう。

最悪だ。
そんな状況、考えるだけで背筋が凍る。

それだけは合ってはならない。
それは回避しなければならない。
しかし、手駒はもうない。


「……あぁ、そっか……。最初からそうすれば良かったんだ……。」
ニタァ……。
不敵な笑み。
不気味なそれを浮かべ、一人言を呟く三花。

彼女が思い付いたこと。
それは、あまりにも酷いものであった。

それを実行するのはまだ早い。
しかし、悠長にはしていられない。

タイミングだ。
それが重要だ。

慎重かつ大胆に。
考えて行動しなければならない。

突破口が見つかった。
そのせいだろうか。
なぜだか嬉しい三花であった。


同時刻。
巳白にも、その知らせは届いていた。

黒龍高校、そして白辰高校。
両校に自身の存在を知られた。
そんな嘘の事実だ。

「いくらだ?後いくらあればお前ら黙る?」
財布を取り出し、中身を出そうとする巳白。

彼の目の前には何人もの輩。
三花が後から追加で雇った者達だ。

「……馬鹿か。もうやらないって言ってるのが聞こえないのか?」
ため息。
襲撃後でボロボロな輩。
彼は巳白の言葉に心底呆れているようだった。

「なっ、何馬鹿なことをっ!?こっちは金払ってるんだぞ!?」
声を荒らげ反論する巳白。

「はいはい、なら返すよ、お坊ちゃん。」

「ほらよ俺も返すよ。」

「……これで良いだろ。」

皆が無造作に地面に複数の札を投げ捨てる。
ぐしゃぐしゃになったそれは、かつて巳白が渡したものであった。

「ま、待て!ほら、その倍……いや、三倍……。」
彼らに縋るように詰め寄る巳白。
しかし、それは逆効果であった。

殴られ、そのまま倒されてしまった。
口の中が鉄の味がする。
切れてしまったのだろう。

「最後に一つ教えておいてやるよ。あいつらに今回の主犯はお前らだって教えておいてやったからな。」

「……は?お前、何てことを……!?」
巳白の声が震える。
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