はりぼてスケバン弐

あさまる

文字の大きさ
上 下
36 / 118
3

4

しおりを挟む
心司と辰美の会話。
それを見守る蝶華。

「申し訳ないんだけど、こっちの頭、まだ新人ちゃんだからそっちでも気を配ってくれると嬉しいんだけど、良いかな?」

「……こちら側のメリットは?」
鋭い視線。
辰美が心司を見る。

「メリットかー……メリットねぇ……。」
チラリ。
心司が自身の妹であり、白辰高校の中心人物の一人である蝶華へ目配せをする。

「あっ、ありますっ!」

「……?」

「メ、メリット……メリットならあります。」
震える声。
緊張気味に蝶華が言う。

「……蝶華、言ってみろ。」

「そ、その……黒高へ恩を売ることが出来ます。」

「……?協定を結んだ以上、そんなことは気にしなくても良いぞ?」

「あ、えっと……。」
オロオロ。
彼のその鋭い指摘に、蝶華がたじろぐ。

「まぁ、ぶっちゃけそっちにメリットなんてないんだよね。」
あはは。
あっけらかんに言ってのける心司。
そんな彼の態度に目を真ん丸に見開くと、キッと睨む蝶華であった。

開き直るくらいなら、助けを求めるな。
彼女は、先ほどの目配せの無意味さに苛立ったのだ。

「……よくもまぁ、開き直れるな……。」
つい、苦笑いする辰美。

「正直なのが長所だからねー。」
心司がケラケラと笑う。

「……兄さん、止めて。恥ずかしい。」

「まぁ、冗談はこれくらいにして、こちらに恩を売っておくのは悪くないと思うよ?」

「……。」

「……た、辰美さん。」

「……分かった。こちらからも何人か出そう。」

「流石、白辰の頭っ!そうこなくっちゃねっ!」
思惑通り。
満足げに心司が言う。

「……。」
これ以上彼のペースに飲まれるわけにはいかない。
言葉を発しない辰美であった。

「じゃあ、そういうことで、頼むねー。」
ヒラヒラ。
手を振りながらそう言うと、心司は廊下へ出て行くのであった。

「……あぁ。」
一応の返事をする辰美であった。


少しの時間が経過した。
室内には依然として辰美と蝶華がいた。

「蝶華?」

「っ!?は、はいっ……!」

「お前の兄の思惑通り……というところか?」

「え、えっと……。」
そう言われても困る。
蝶華にも、彼の考えなど分からないのだ。

「いや、すまない。少し意地悪だったな。」
ふふふ。
珍しいこともあるものだ。
辰美が微笑んでいる。

「い、いえ……。」
驚きつつ、蝶華が声を出す。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

はりぼてスケバン

あさまる
青春
※完結済、続編有ります。 なぜこうなってしまったのだろう。 目の前の惨劇は、確かに自身が起こしてしまった。 しかし、それは意図したものではない。 病弱で、ろくに中学生生活を送ることの出来なかった鼬原華子。 そんな彼女は志望校に落ち、滑り止めとして入る予定のなかった高校に入学することとなる。 ※この話はフィクションであり、実在する団体や人物等とは一切関係ありません。 また、作中に未成年飲酒、喫煙描写が含まれますが、あくまで演出の一環であり、それら犯罪行為を推奨する意図はありません。 誤字脱字等ありましたら、お手数かと存じますが、近況ボードの『誤字脱字等について』のページに記載して頂けると幸いです。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

夫が留守のとき新妻が男に襲われた!! ああ、どうしたらいいの!!

マッキーの世界
大衆娯楽
新婚夫婦の新妻。 「あなた、いってらっしゃい」 新妻はかわいらしい笑顔で夫を見送る。 「ああ、いってくるよ」 玄関先で熱いキスをする2人。 マイカは出勤した夫を

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

お父さん!義父を介護しに行ったら押し倒されてしまったけど・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
今年で64歳になる義父が体調を崩したので、実家へ介護に行くことになりました。 「お父さん、大丈夫ですか?」 「自分ではちょっと起きれそうにないんだ」 「じゃあ私が

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

処理中です...