甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「な、なんでもないよ……。ちょっと昨日よく寝れなかっただけ。」
上手く誤魔化せただろうか?
心配になる翔子。

「そ、そう……?」
誤魔化せてなどいない。
しかし、これ以上踏み込めない美成実。

こうしてまたかつてのように話せるようになった。
しかし、まだどこまで彼女との距離を詰めて良いのか決めあぐねていたのだ。


昼休み。
いつもなら、翔子は真優と昼食を食べる。
しかし、今日は違った。

「しょ、翔子……?」

「美成実ちゃん。その、良かったら一緒に……。」

「い、良いの?」

「うん!……真優ちゃん?」
ちらり。
真優を見る翔子。

「うっ……。」
賛同してほしい。
言わなくとも分かってしまう。

昨日、確かに和解した。
しかし、自身の個人的感情、つまり嫉妬心からあまり賛同したくはなかった。

「……駄目……かな?」

「良いに決まってるじゃないですか、全く。」
あぁ、我ながらなんと愚かなんだろう。

しょんぼりと質問する翔子。
そんな彼女の様子に耐えられなかった。
耐えられるはずがない。
彼女は深く考えずについ言葉を口にしてしまう真優であった。

「やったー!ありがとう、真優ちゃん!」
 満面の笑み。

「あぁ、もう……。ふふ、どういたしまして。」
自分だけに向けたこの笑顔を見れた。
それで良いか。
ため息をつき、そう思う真優であった。


中庭。
その一角に、ベンチと机がある。
三人は、そこで昼食をとろうとした。
しかし、そこで問題が発生する。

その席は四人がけのもので、二人づつ向かい合っているものだ。
そして、生じている問題は、それに関するものだった。

どちらが翔子の隣に座るか。
いつもなら、四人がけの席で隣合って座るのは不自然だと思い、向かいの席に座っている真優。
しかし、今日は違う。
三人だ。
美成実がいるのがやはり気に入らないが、これは自然と翔子の隣に座るチャンスでもある。

「さて……。」
我ながら自然に翔子の隣に陣取ることが出来た。
内心、口角が上がりながらそう思う真優。

「……。」
ちらり。
真優の方を見る。
しかし、何も言わずに机をはさみ、翔子の前の席を陣取る美成実。

「おっ、今日は真優ちゃん隣にいるね。」
にこにこ。
恐らく何も考えていないのだろう。
嬉しそうに笑みを浮かべる翔子。

「そうだね。でもまぁ、たまたまだよ。」
真優が言う。
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