甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

文字の大きさ
上 下
90 / 154
13

13ー6

しおりを挟む
「い、いやその……。」
オロオロ……。

「本人に直接言えば良いじゃないですか……。」

「出来ないよ、恥ずかしい!」

「えぇ……。」
困惑。
ただただ困惑する真優であった。


「分かりましたよ……。言います、言いますよ。それで良いでしょ?」

「ありがとう。雨枝さんならそう言ってくれると思ったよ。」

何をいけしゃあしゃあと……。
ため息をつく真優。
ただ根負けしただけであった。

「まぁ、またタイミングあったら言いますよ……。」

「いや、今言ってよー。」

「え?」
何を言っているのだ?
急過ぎないか?

「ほら、後ろ後ろっ!」

卯佐子の声。
それに反応し、振り返る真優。
「……あっ、え?海部……しょ、翔子さん……。」

そこにいた人物。
「あ、あはは……奇遇だね……。」
翔子であった。

奇偶。
そんなわけがない。
こんな人気のない場所、誰も寄り付かない。
だからこそ、卯佐子も選んだのだ。

「ちなみに前回もいたよね?」
苦笑いの卯佐子。
そんなことを言う彼女は、そっぽを向いている。

「え、えっと……その……。」
ぷいっ。
卯佐子のように、目を背ける翔子。
しかし、明らかに彼女とは雰囲気が違う。

やましいことがあるのだろう。
つまり、それは卯佐子に指摘されたことが、正しかったということを意味しているのだろう。

それは分かる。
おおよその見当はつくのだ。
しかし、卯佐子が目を背けている理由は分からない。

「う、うわぁ……あまりにも美人過ぎるじゃん……。もうこれは嘘じゃん、架空の人物じゃん……。近くで見ると顔小さっ……。足細っ……。まつ毛長っ……て言うか、綺麗過ぎて目が焼けそうなんだけど……。」
ボソボソ……。
卯佐子は頬を染め、そう呟いていた。

話が逸れてしまったようだ。
「ところで昨日遊んだのは、この人で間違いないありませんか?」

「う、うん。そうだよ、このお姉さんだよ。」

意外なところで繋がるものだな。
そう思う真優であった。

「くぅ……羨ましい……。」
ギリギリギリ……。
相等悔しかったのだろう。
歯ぎしりする卯佐子。

「な、なら今度三人でどこか遊びに行きませんか?」
完全に無意識。
脳内で言おうか迷っていたもの。
そんなものが、真優の口から出た。

三人。
自分も含めている。
決して卯佐子の為だけではない提案。
自身の欲も含むものだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛されたのは私の妹

杉本凪咲
恋愛
そうですか、離婚ですか。 そんなに妹のことが大好きなんですね。

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

異世界でゆるゆる生活を満喫す 

葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。 もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。 家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。 ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。

サレ夫が愛した女性たちの追憶

しらかわからし
ライト文芸
この小説は、某ブログで掲載していたものですが、この度閉鎖しアクアポリス様だけで掲載いたします。 愛と欲望、裏切りと再生をテーマに主人公自身が女性たちと交錯し、互いに影響をし合いながら変化していく、様子を描きました。暫く、公開を停止していたのですが、本日(2024年10月5日)より再公開させて頂きました。 表紙の画像はCANVA様からお借りしました。

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

【完結】婚約者は私を大切にしてくれるけれど、好きでは無かったみたい。

まりぃべる
恋愛
伯爵家の娘、クラーラ。彼女の婚約者は、いつも優しくエスコートしてくれる。そして蕩けるような甘い言葉をくれる。 少しだけ疑問に思う部分もあるけれど、彼が不器用なだけなのだと思っていた。 そんな甘い言葉に騙されて、きっと幸せな結婚生活が送れると思ったのに、それは偽りだった……。 そんな人と結婚生活を送りたくないと両親に相談すると、それに向けて動いてくれる。 人生を変える人にも出会い、学院生活を送りながら新しい一歩を踏み出していくお話。 ☆※感想頂いたからからのご指摘により、この一文を追加します。 王道(?)の、世間にありふれたお話とは多分一味違います。 王道のお話がいい方は、引っ掛かるご様子ですので、申し訳ありませんが引き返して下さいませ。 ☆現実にも似たような名前、言い回し、言葉、表現などがあると思いますが、作者の世界観の為、現実世界とは少し異なります。 作者の、緩い世界観だと思って頂けると幸いです。 ☆以前投稿した作品の中に出てくる子がチラッと出てきます。分かる人は少ないと思いますが、万が一分かって下さった方がいましたら嬉しいです。(全く物語には響きませんので、読んでいなくても全く問題ありません。) ☆完結してますので、随時更新していきます。番外編も含めて全35話です。 ★感想いただきまして、さすがにちょっと可哀想かなと最後の35話、文を少し付けたしました。私めの表現の力不足でした…それでも読んで下さいまして嬉しいです。

処理中です...