甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

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「もしかして、真優ちゃんのこと心配?」
そんな彼女へ向けられる言葉。

「……うん。」
こくん。
力なく頷く翔子。

「な、ならさ、私達でさ……。」

「うん。」


さて、困った。
どうしようか。
二年生の教室の前の廊下まで来た真優。
そこまで来て、彼女は単純な問題にぶつかった。
卯佐子の教室が分からない。

「……さ、三分の一。」
ぽつり。
呟いた真優。

「……何が三分の一なの?」
真優へ向けられた声。
それは彼女が知っているものであった。

「あっ、風野先輩。」
調度良かった。
安堵する真優。

卯佐子と関わってまだ日が浅い。
それでも、この場所での彼女の安心感は大きなものであった。

「ちょっと話をしたいんだけど良いかな?」

「はい。」
そのつもりできたのだ。
こくり。
卯佐子の言葉に頷いてみせる真優。

「海部江さんのことなんだけど……。」

「……え?私のことですか?」

「違う、違う。海の方、美人な方。」

「……。」
自分ではなく、翔子の方。
それを美人な方と言われるのは仕方がない。
しかし、それでも少し不快になる真優であった。

「……あっ、ごめん、そういうつもりじゃ……。」
真優の雰囲気が変わったのに気がついた卯佐子。
慌てて謝罪をするのであった。

「いえ、大丈夫です……。その……慣れてますので……。」

「あ、あはは……そっか……。」

気まずい。
妙な空気になってしまった。


「えっと、それで本題なんだけど……。」
再度声を出したのは、卯佐子であった。

「……あっ、はい。」

「海部江さんの中学の時の話、何か聞いてる?」

「中学の時の?……いえ、聞いてないですが……。」
話が見えない。
彼女は何を話そうとしているのだろう。

そもそもだ。
前提の話。
なぜクラスメイトである自分が知らないのに、翔子と面識のないであろう先輩である卯佐子が彼女の中学生頃の話を知っているのだろうか?
まさか、自分が知らないだけで、二人は既に知り合いで、仲が良いのだろうか?


「……さん?雨……。雨枝さん?大丈夫?」

「えっ?あっ、その……はい、大丈夫です。えっと、続けて下さい。」
しまった。
また考え込んでしまった。

「……大丈夫なら良いけど……。あの子の中学の頃のクラスメイトとこの前会ったんだ。」

「……クラスメイト。」
どこでどう繋がったのだろう?
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