甘え嬢ずな海部江さん。

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「かっ！？彼氏っ！？雨枝さん、彼氏いるのっ！？どんな人なのっ！？」
真優ではなく、翔子が反応する。
それも、大慌てであった。

ガタガタ……。
ふにふに……。
おう、揺れる揺れる。
呑気に後頭部の柔らかさを満喫する真優であった。
「違いますよ、先輩ですよ、先輩。風野先輩です。後ふかふかで頭が気持ち良いのでもう少し継続でお願いします。」

「あー、うさちゃん先輩かぁ……。」

「……ふかふか？継続？風野先輩？うさちゃん先輩？」
何一つ理解していない翔子。
頭上にいくつものクエスチョンマークを浮かべている。

「ふかふかと継続の件は気にしなくても良いです。」

「なるほど……翔子ちゃんの胸はふかふか……。後で触らせてもらおっと……。うさちゃん先輩ってのは真優ちゃんみたいに可愛い先輩だよ、通称は風野先輩なんだ。」

「いえ、逆ですよ……。風野先輩、通称うさちゃん先輩です。あと海部江さんの胸は触らせませんよ。セクハラになりますよ。」

翔子のことで盛り上がる真優と彼女らのクラスメイト。
件の翔子はというと、ただオロオロするしか出来ずにいた。

「……え、えっと、よく分かんないんだけど……雨枝さんは風野先輩というか、うさちゃん先輩に呼び出されてて、私の胸を触らせなければ良いってこと？」

「まぁ、大体はそういうことです。ここは私の特等席ですのであしからず……。」

「え、ちょっ！？ずるいよ！私も翔子ちゃん椅子に座りたい！」

「……ふっ。」
嘲笑うように鼻で笑う真優。
その顔は翔子には見えていない。

「で、でも先輩なんだったら尚のこと行かなくて良いの？」

「……だ、大丈夫ですよ、多分……。」
そう、多分。

ブブブ……。
ブブブ……。

これはおかしい。
何か変だ。

「や、やっぱり行った方が良いよ……。」
異変を察した翔子。
おずおずと真優へ言った。

「ちょ、真優ちゃん何かしたの？」
翔子の心配が移ってしまったのだろうか。
真剣な口振りの、真優へ向けた言葉。

翔子とクラスメイトが心配する。
流石にこれはそうなってしまっても仕方がない。

「……す、すみません。ちょっと行ってきます。」
もう見て見ぬふり、もとい無視は出来ない。

ピョンと跳んで、翔子の胸元から抜け出す真優。
そして、小走りで教室から出ていくのであった。


「……雨枝さん、大丈夫かな……？」
ポツリ。
呟く翔子。