34 / 154
5
5ー5
しおりを挟む
「……えっ?……あの、ぐえっ!?」
突如肩を掴まれる真優。
そして、そのまま引っ張られ、胸元に抱かれてしまった。
真優の鼻にほのかに香る良い匂い。
そして、顔にかかる柔らかく大きな圧。
じたばたと両手を動かし抵抗する真優であった。
しかし、彼女の抵抗は無意味であった。
「もー、お母さん!雨枝さんは私の友達だよ!」
ぷんすか。
再び怒る翔子。
違う、そうではない。
確かにそこを否定するのは正しいだろう。
しかし、それは今でなくとも良い。
それよりも、早く助けてほしい。
そう思う真優であった。
「お母さん、雨枝先輩苦しんでるから。……ね?」
良かった。
なんとか助かった。
そう思い、安堵する真優。
落ち着けたところで、海部江姉妹の母の姿をよく見る。
なるほど。
翔子の容姿は彼女ゆずりなのだな。
そんなことを思う真優であった。
「あら、なら梨華が代わりにぎゅってさせてくれるの?娘だからって遠慮しないけど良いの?」
にやり。
不適な笑みを浮かべる。
「……。」
無言。
しまった、やってしまった。
そう言いたげな表情をする梨華。
目が泳いでいる。
どうやら彼女は抱き締められるのが苦手なようだ。
「あっ!ぎゅってして!私なら良いよ、お母さん!」
にこにこ。
翔子が声を上げる。
そして、両手を目一杯広げた。
「えー?翔子は身長高いから無理よー。」
「えー!?」
「まぁまぁ、二人とも。お母さん、そんなこと言わないで?ね?……あと私は今から雨枝先輩を送っていくね。」
二人を宥める梨華。
そして、さらっと自身の逃げ道を作っている。
「あら、そうなの?なら私が送って行く?それなら車出すけど……。」
「い、いえ、そこまでして頂くわけには……。」
真優が言う。
「遠慮しないで?こんな可愛い子が夜に出歩いてたら危ないよ?」
「大丈夫だよ、私も着いていくから。」
「余計に不安よー。梨華も可愛いんだからー。」
梨華の言葉にそう返す。
二人とも、小柄だ。
端から見れば、小学生が夜出歩いているように見えてしまうだろう。
「えー!?私はー?」
「あんたは可愛いっていうより美人って感じだからなぁ……。」
ぷんすか。
本日三度目であった。
「いってきまーす。」
「お邪魔しました。」
軽く頭を下げる。
また来てね。
翔子が満面の笑みで手を振る。
彼女の母も微笑んでいる。
印象は悪くなかったようだ。
突如肩を掴まれる真優。
そして、そのまま引っ張られ、胸元に抱かれてしまった。
真優の鼻にほのかに香る良い匂い。
そして、顔にかかる柔らかく大きな圧。
じたばたと両手を動かし抵抗する真優であった。
しかし、彼女の抵抗は無意味であった。
「もー、お母さん!雨枝さんは私の友達だよ!」
ぷんすか。
再び怒る翔子。
違う、そうではない。
確かにそこを否定するのは正しいだろう。
しかし、それは今でなくとも良い。
それよりも、早く助けてほしい。
そう思う真優であった。
「お母さん、雨枝先輩苦しんでるから。……ね?」
良かった。
なんとか助かった。
そう思い、安堵する真優。
落ち着けたところで、海部江姉妹の母の姿をよく見る。
なるほど。
翔子の容姿は彼女ゆずりなのだな。
そんなことを思う真優であった。
「あら、なら梨華が代わりにぎゅってさせてくれるの?娘だからって遠慮しないけど良いの?」
にやり。
不適な笑みを浮かべる。
「……。」
無言。
しまった、やってしまった。
そう言いたげな表情をする梨華。
目が泳いでいる。
どうやら彼女は抱き締められるのが苦手なようだ。
「あっ!ぎゅってして!私なら良いよ、お母さん!」
にこにこ。
翔子が声を上げる。
そして、両手を目一杯広げた。
「えー?翔子は身長高いから無理よー。」
「えー!?」
「まぁまぁ、二人とも。お母さん、そんなこと言わないで?ね?……あと私は今から雨枝先輩を送っていくね。」
二人を宥める梨華。
そして、さらっと自身の逃げ道を作っている。
「あら、そうなの?なら私が送って行く?それなら車出すけど……。」
「い、いえ、そこまでして頂くわけには……。」
真優が言う。
「遠慮しないで?こんな可愛い子が夜に出歩いてたら危ないよ?」
「大丈夫だよ、私も着いていくから。」
「余計に不安よー。梨華も可愛いんだからー。」
梨華の言葉にそう返す。
二人とも、小柄だ。
端から見れば、小学生が夜出歩いているように見えてしまうだろう。
「えー!?私はー?」
「あんたは可愛いっていうより美人って感じだからなぁ……。」
ぷんすか。
本日三度目であった。
「いってきまーす。」
「お邪魔しました。」
軽く頭を下げる。
また来てね。
翔子が満面の笑みで手を振る。
彼女の母も微笑んでいる。
印象は悪くなかったようだ。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる