甘え嬢ずな海部江さん。

あさまる

文字の大きさ
上 下
10 / 154
2

2ー4

しおりを挟む
「な?良いだろ?」

「……え?で、でも私……。」

ようやく彼らの近くまで来れた真優。
周囲の音に遮られ、所々聞こえない箇所がある。
そんな中でもはっきりと聞こえるものもあった。

止めにはいるべきだろうか?
しかし、自分は第三者だ。
言わば、無関係な人間なのだ。
首を突っ込むべきではないのかもしれない。
そんなことを思う真優。
しかし、そんな彼女の考えも、次の彼らの行動ではっきりとする。

「ほら、皆もいるからさ!久しぶりに良いじゃん!」
しびれを切らしたのだろう。
男性の一人が翔子の腕を掴んだ。

あぁ、これは駄目だ。
見過ごせられない。
周囲にぶつかりながら、歩を進める。
そして、真優は彼らの間に割り込んだ。


「……うん?」

「離して下さい。彼女、嫌がっているじゃないですか。」
真優が伸ばした手。
それは、翔子の腕を掴んでいる男性の手首を掴んでいた。

見た目通り、非力な彼女。
掴まれた男性は顔色一つ変えず、彼女を見た。

「何々ー?君もしかして海部江さんの妹?やっぱ妹ちゃんも可愛いねー。」
ヘラヘラ。
誠実さの欠片もない。

妹?
今妹と言ったか?
こいつは何を言っているのだ?
目の前の男性の言葉が理解出来ない真優。
ただ一つ、馬鹿にされていることは分かった。

彼女の見た目なら、あのようなことは日常茶飯だろう。
それなのに、慣れている様子ではない。

「あ、あの……。」
翔子の口から辛うじて出たのはそんな情けないものであった。

「良いじゃん、良いじゃん!何なら二人とも今から一緒に行く?楽しいよ?」
まるで怯む様子のない男性達。
ヘラヘラとそう言う。

一方、翔子は何が起きているのか全く分からないようだ。
依然としてオロオロしているだけであったのだ。

時間の無駄だ。
真優は、今掴んでいる男性の手首をから手離した。
そして、別の物を掴んだ。
翔子の腕だ。

ぐいっ。
今度は腕だけでない。
体重をかけ、翔子を自身の元へと引き寄せる。

いくら翔子が細身とはいえ、彼女ら二人にはかなり身長差がある。
引っ張られた彼女に耐えられず、二歩三歩、後退してしまった。

「も、もう行きますよ!」
なりふり構っていられない。
翔子を乱暴に引きずるようにその場から連れ去るのであった。

途中、何度も人にぶつかって謝罪を繰り返した。
二人はなんとか人の少ない場所まで来れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

朝起きたら女体化してました

たいが
恋愛
主人公の早乙女駿、朝起きると体が... ⚠誤字脱字等、めちゃくちゃあります

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...