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藍堂流奈と蟻喜多利奈の日常

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「大丈夫だよ、調度起きなきゃいけない時間だったし……。」
利奈が微笑む。

優しい。
それが、ぬくもりとして二人の中に入っていく。

「ごめんね、利奈。この世間知らずの馬鹿がうるさかったよね?」

「なっ!?このポンコツが騒がしかったからです!」

「あはは、仲良いね。でもどっちもご近所に迷惑だから声量落とそっか。」
きっと、喧嘩するほど仲が良いという奴だろう。
気絶していた路歩子も大丈夫そうだ。
優しく諭す利奈。

「ご、ごめん……。」

「……すみません。」

「さ、朝ご飯にしよ?」

そうして三人は、リビングへと向かって行った。
それは、利奈を先頭に、睨み合う流奈と路歩子が続く形であった。


藍堂流奈。
彼女は、この星へと調査しに来た別の星の生物だ。
所謂宇宙人という存在だ。

この星の原住民である、個人名蟻喜多利奈と最初に接触した。
彼女がこの国の言語や文化等を教えてくれた。
故に、先輩。

最初は先生と呼んでいた。
しかし、どうしても止めてほしいと言われた為、折衷案としてそうなった。

来年度になれば、この呼び方を使う正真正銘の後輩が現れるだろう。
しかし、今年度は自分だけが呼べる。
そんな特別な響きが好きだった。

アイドル活動をすることで、様々な著名人とも会えた。
その結果、彼女以外に損得勘定なしで近づく者はいなかった。
人々の汚い部分を見てしまった。

この星には存在意義はないかもしれない。
しかし、利奈がいる内は母星へ攻撃要請はすることは出来ない。
もし彼女がこちらへ来てくれるとなれば、話は別だ。


「早く私のものにならないかな……私だけの先輩……。」

「……は?私の利奈だから!」

「もう、喧嘩しないの。」

利奈がここを離れれば、こんな不毛なやりとりはしなくても良い。
早くその日が来てほしい。
彼女はそう思うのであった。
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